2025年1月8日水曜日

メルボルン滞在記 ④アボリジニ文化センターへ

  メルボルン滞在4日目(12月28日)はメルボルン博物館のバンジラカ・アボリジニ文化センターに行きました。オーストラリアの先住民族アボリジニについて学ぶのは今回の旅行の目的の一つでもありました。

メルボルン博物館内のバンジラカ・アボリジニ文化センター入口。アボリジニの言葉で「ようこそ」という文字が書かれている

アボリジニのアート作品

 アボリジニは700を超える部族があったと言われ、それぞれが独自の言語を話していたそうです。文字を持たないため、部族に伝わる掟や様々な知恵を岩壁に描いたり、物語にして語り継いできたそうです。自然に畏敬の念を持ち、調和しながら生きており、北海道に住む北方先住民族のアイヌに似ています。

 アボリジニの人々は、イギリスの植民地時代に虐殺され、居住地を追われ、オーストラリアが独立した後も迫害され続けました。アボリジニの子どもや白人との混血児は親から隔離され、民族としてのアイデンティティを喪失させる政策も長い間取られました。

 アボリジニの市民権がようやく認められたのは1967年。オーストラリア政府がアボリジニに正式に謝罪したのは2008年です。娘が生まれた4年後で、いかにアボリジニの人々の闘いの歴史が長かったかを痛感します。

 今回、メルボルンを訪れて強く感じのは、国を挙げてアボリジニに敬意を表し、その固有の文化を守り、植民地時代から続く負の歴史も後世に伝えていこうとしていることでした。娘によると、大学の講義が始まる前には毎回、先生たちが「自分たちは今、先住民族アボリジニが住んでいた土地を使わせていただいている」という趣旨の言葉を言い、アボリジニの人々に感謝の意を表するそうです。

 また、娘が通う芸術・音楽の学部のキャンパスのあちこちに、大きな半円形のオブジェがあるのですが、これはこの土地にキャンパスを建てるときに掘った土を処分したり他の土地に運ばず、この地に置いたままにするためにオブジェの中に土を入れることにしたからだそうです。大学の入り口には「Welcome」(ようこそ)という文字の横にアボリジニの言葉「Wominjeka」が併記されています。

 メルボルンの街では、中心街に建つ壁にアボリジニのアートが描かれていたり、アボリジニの人々の肖像画が描かれている壁もありました。訪れたワイナリーではアボリジニのアーティストによる絵が飾られていました。

 今回、バンジラカ・アボリジニ文化センターで歴史を学んだ後、ギフトショップで義父母にアボリジニのアーティストが作った美しいカトラリーと木製の皿、母と私たちの家にもお皿を買いました。私たちはアボリジニの歴史・文化について学び始めたばかりですが、小さな工芸品を普段の生活で使うことで学びを深めるきっかけになればと考えています。

メルボルン博物館の入り口近くのモニュメント。この日は空が綺麗でした

メルボルン博物館の横に建つ王立展示館とカールトン庭園。世界遺産に登録されている


メルボルン博物館のギフトセンターで買ったアボリジニのアーティストが作った皿。一枚一枚に作家の写真とデザインの意味などが書かたカードが添えられている




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