2025年1月10日金曜日

おねぇねぇはアーティストだから

  昨日から、息子のお弁当作りが再開しました。私の日々の楽しみの一つなので、素直に嬉しい。夫も出勤だったため、張り切って家族全員のお弁当を作りました。


 今週は月、火と研究室に行き、水木と家で論文を書いていました。家にいるとやるべき家事が限りなくあるので、なかなか集中できませんが、娘と一緒にいられます。昨日はお天気も良かったので、近くの公園で娘と一緒にお弁当を食べようと計画しました。

 でも、我が娘は毎日、お昼近く(時にはお昼過ぎ)まで寝ています。娘は寝るのが大好きで、寝る子は育つということわざがあるように、身長がぐんぐん伸びました。でも、もう成人なので本来なら注意すべきなのでしょうが、娘の場合、なぜか注意をするのがためらわれるんです。娘が小さいころからそうでした。息子はいつも、「もう起きなさい!」「歯磨きなさい!」とうるさく注意するのですが。

 娘に注意することがためらわれ、息子には当たり前のように注意するのは、おそらく息子はあらゆる面で普通で、娘は感覚が少し普通とは違うからだと思います。たとえば、娘は注意したときの反応が普通ではないので、こちら側が注意する気がそがれるのです。というより、ここで注意をしなくてもいいのではないか?と逆にためらってしまう場面が多々ある。

 たとえば、2017年のブログ。このころ、すでに私は娘の躾について考えを巡らせています。https://ar50-mom.blogspot.com/2017/10/blog-post_29.html

 昨日もこんな反応です。

「もう10時だよ、起きてね。起きて、カーテン開けてね。毎日少しずつでもいいから部屋を片付けよう」

「ママ、いま私、とっても素敵な夢を見ていたの。もう少し寝ててもいいかな?」

 不機嫌そうに「分かった」とか言われれば(息子のように)、「さっきから分かったって言っているけど、起きてないでしょ」とか言えますよね。「休みぐらい寝かせて」とか言われると、「毎日休みでしょ。休みでも朝はきちんと起きたほうが生活のリズムが出来るんだよ」とか言い聞かせられますよね。

 娘のような反応をされると、素敵な夢を見ている娘を、起こすのはどうかな? と逆に自分自身に問いかけてしまうのです。以前も、「寝てばっかりいないで…」と注意したら、真顔で、「ママ、私は遊び歩いて親に心配かけるわけでもないし、悪いこともしていないんだよ。誰にも迷惑かけず、自分の部屋で、ただ幸せに寝ているだけなんだけど」と静かに反論されてしまいました。

 すると、そうだよね、出かけて夜遅くて親に心配をかけるわけでもなく、自分の部屋で娘が幸せに寝ている。お腹が空いたり、十分寝たら、起きてくる。だったら注意しなくても…と思わされる。

 一方で、母親としての心配もあります。たとえば、思い出すのは、遠い昔の従兄弟のYちゃんとの会話です。当時、Yちゃんは年下の可愛らしい女性と付き合っていました。Yちゃんによると、アパートにその子が泊まりに来て、Yちゃんが朝出勤して夕方帰宅すると、その子がまだパジャマ姿でいた。あまりのだらしなさに幻滅し、それが別れる理由になったという話。

 当時は、「そうだよなぁ、夕方までパジャマ姿でいるなんて、ちょっと…」とYちゃんに共感しました。でも、でも、我が娘だって、さすがに夕方まではパジャマ姿ではいませんが、午後までなら、頻繁にあります。娘に好きな人が出来て、その人のアパートに泊まりに行って、午後まで寝ていて幻滅されたら…。だったら、今のうちに母親の私がきちんと躾けたほうがいい。

 私はこうして、日々逡巡するのです。こんな悩みに息子が、ストレートな表現で考え方を提示してくれました。

「おねぇねぇはアーティストだから。ほらっ、アーティストって変わっている人多いっていうじゃん」

 おねぇねぇがお昼近くまで寝ていても許されるけど、自分はなぜか起こされてしまう。おねぇねぇはずっとアニメを見ていても許されるけど、自分はずっとゲームをしていると叱られる…。息子としては理不尽と感じているかもしれませんが、一方で「姉はアーティストだから、違うんだ」と受け止めている。おもしろいなぁと思いました。確かに、娘の絵とヴァイオリンの才能は、家族の欲目かもしれませんが、家族全員が認めています。

 さて、昨日は午前11時半ごろ、「お天気がいいから、公園でお弁当食べよう!もう11時半だから、起きたら?」という声掛けで、ようやく娘が起きました。ベッドからむくっと起きた娘は、「うっ、ふぅ~」とうぐいすのような声で第一声を出し、「おはよう、ママ」とご機嫌です。

 私は娘のこのうぐいすのような声が大好き。その声を聞くと、気持ちが明るくなります。こうして、親を明るい気分にしてくれる娘ですので、毎日、昼過ぎまで寝ていることぐらい、良しとしようと思ってしまいます。

 支度をして、お弁当とお茶を持って、近くの公園に行きました。娘は「お天気が良くて気持ちいいね」とにこにこと幸せそうでした。その楽しいひとときを味わうと、まぁ、いいかと、朝の私の心配はどこかに吹き飛んでしまったのでした。

 


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