書店で素敵な本を見つけました。彫刻家の故・舟越桂さんが子供たちに作った木のおもちゃの本です。お家や木馬、自動車などの写真に、それらを作ったときのエピソードが添えられています。
木彫を作っていると出る「木っ端」や、家にある古い材料を使って作ったおもちゃたち。どれもこれも、舟越さんの子供たちへの愛が感じられ、これらを作っていたとき、舟越さんは楽しかったのだろうなぁと私の顔までもほころんでしまいます。
世界に一つしかない、こんな素敵なおもちゃを作ってもらった子供たちは、幸せですね。
「木とブリキのクラシックカー」に添えられた文章が、とても印象深かったのでここに引用します。
「いつの日か子供たちが結婚したら、あの木の自動車も彼らと共に私の所から去るのだろうか。置いていかれるのもさびしいが、持っていかれるのも何か切ない気持ちがする。子供のためにと思って作ったことは作ったのだが、自分の手でものを作るということは、その作られたものの中に思いが込められていく。そして人間の思いというものは複雑で、あげたものがその人と共にいなくなることも、そしてその人に置いていかれるということも、どこか自分の心のやり場が見つかりにくい気がする」
舟越さんが表現する、さびしさも、切なさも、分かるような気がします。
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