2020年3月1日日曜日

ディズニーシーへ

新型コロナウイルスの感染が広がる中、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーが2月29日から3月15日まで臨時休園となりました。学校がお休みになると、子どもたちが行きたくなるのはアミューズメント施設など。人がひしめき合うそのような場所は感染が広がる可能性は大きい。すでに計画をしていた方々はとても残念だと思いますが、運営するオリエンタルランドの決断は賢明だったと思います。

がっかりされた方々には申し訳ないのですが、実は我が家は大騒動になる少し前の23日、ディズニーシーに行ってきたのです。学校が休みになると子どもたちはこう考えるんだと気付かされました。きっかけはその前日の娘のひと言でした。ひと足先に全面休校になっていた中国・新セン市のお友達(事態の悪化前に香港の祖父母の元へ行っています)とおしゃべりしていた娘がこう夫と私に言いました。

「もう何年もディズニーランドに行っていないから、行きたい。中国人観光客もいないし、コロナウイルス感染を心配する人は行かないから、きっと空いていると思う」
すでに10日以上も休校になり、じっと家にいることに飽きてきたお友達と話しているうちに、「ディズニーランドは空いているに違いない」という話になったらしいのです。

人混みが大嫌いで、短気な夫は娘の提案を聞くや否や爆発しました。
「誰の誕生日でもない、そして混雑が予想される3連休のど真ん中で、かつ真冬の寒いこの時期に、何でディズニーランドなんだ?」
「ダディ、私たちずっと行っていないんだよ。絶対空いているよ」
「嫌だ。絶対混んでいるに決まっている」と声を荒げます。さらに、娘に言います。
「何で、家族なんだ? ディズニーランドなんて友達と行くもんだろう」

娘の仲の良かったお友達はお父さんの転勤で韓国に帰国したばかり。お友達がいなくなった娘にその言葉は酷だろうと私は思います。でも、今、私がコメントをすると火に油ですから、私はだまって2人のやり取りを聞いていました。

夫は混んでいる場所が何よりも嫌い。1月の夫の50歳の誕生日ですら、「一緒に買い物行こう。特別な日だから奮発してスーツをプレゼントしてあげる!」と言っても、「いらない。買い物に行くぐらいだったら、物はいらない。そもそも僕は何も欲しくないんだ!」とぶち切れるほど。週末のデパート(紳士物が充実している新宿の伊勢丹メンズ館など絶対駄目です)とディズニーランド/シーは夫には禁忌なのです。

ここで、夫の扱いをよく知る娘と私は策を練りました。夫はすごい短気で、子どもたちを怒鳴り散らしますが、後に引かないのが良い点。ですので、子どもたちも一瞬だけ怒鳴られていれば、その後、すぐ機嫌が良くなり、一緒に遊んでもらえると分かっているので、気にもしません。さらに、夫は人から聞いた話や意見を、自分が考えたように言うくせがあります。それを逆手にとれば、今回のディズニーランドも大丈夫でしょう。

夫が落ち着いてから、言ってみました。
「確かにしばらくディズニーランドに行ってないよ。それに、15歳の娘が、家族でディズニーランドに行きたいと言ってくれるなんて、私は嬉しいなって思うけど。来年になったら、私たちから誘っても”友達と行くからいい”と行ってくれなくなるかもしれないよ」
「・・・」

しばらくして、夫の機嫌が直りました。いつものことです。
「いいか、ディズニーランドは8時にオープンだから、7時に家を出るぞ!ディズニーランドにするか、ディズニーシーにするか決めておくんだぞ!」

翌日の23日、朝7時に家を出ました。子供たちが相談し合い、今回はディズニーシーに行くことになりました。娘の予想に反して、ディズニーシーはとても混んでいました。皆、考えることは同じなのですね。

人だかりを見ながら、「だから、言ったんだ」と夫はブツブツ言いましたが、「ファストパス(短い待ち時間でアトラクションに乗れるチケット)はどこにするんだ?今日は戦略的に動かないと、あまり乗れないぞ」と前向きです。前日、爆発したことなどとっくに忘れています。子供たちも競ってダディにまとわりつきます。こうなると、ママの出番はありません。私はいつものように、3人の後ろ姿を眺め、肩から下げた一眼レフカメラで3人の姿を写します。

足早に乗り物に向かう夫と子供
ディズニーシーにはマスクをした人も多かったですが、やはり、皆とても楽しそうでした。アトラクションはどこも長い行列で、 待ち時間を表示した看板を見ると、人気のあるものは「250分」「200分」など、気が長い人でなければ絶対並ばないような長さです。それを眺めながら、「こんな長い時間並ぶなんて、信じられない」と夫はつぶやきます。


そこで、夫は地図を広げて、どこに行けば空いているか息子と相談します。どこも一緒でしょうが、2人は真剣です。
真剣に地図を見る息子と夫

混んでいようが空いていようが、ディズニーシーにいられるだけでハッピーな娘は、サングラスを試着して嬉しそう。可愛かったので、私とお揃いで買うことにしました。

娘はいつでも、どこでもハッピーです
結局は、「Tower of Terror」という高い所から落ちてくる乗り物をファストパスで乗った以外は、小さい乗り物をいくつか乗っただけであっという間に時間が経ってしまいました。でも、ポップコーンをほおばりながら歩くだけでも、ディズニーシーは楽しい場所です。娘の提案は急でしたが、思い切って来て良かったと思いました。夕方から夜にかけてのディズニーシーはことのほか綺麗でした。


さて、その翌日。夫はシカゴの両親にディズニーシーに行ったことをウェブ電話で報告していました。「娘も15歳だからさ、いつまで僕らと一緒にディズニーランドやディズニーシーに行ってくれるか分からないからね。来年当たりは誘っても”お友達と行くからいい”って断られるかもしれない。だから、思い切って行くことにしたんだ。混んでいたけど、楽しかったよ」

夫の両親は、ファミリーパパぶりを発揮する息子の話を誇らし気な表情をして聞いています。得意げに話す夫と幸せそうな両親の姿を見ながら、前日の子どもたちのはしゃぎぶりを思い出し、夫を説得して良かったと思ったのでした。

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