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国立がん研究センター中央病院。この後ろに研究棟がある |
日比谷線の築地駅には長い階段があります。もうずいぶん前にエレベーターができましたが、私が治療を始めた2003年にはありませんでした。体調が悪かった私には長過ぎる階段で、エレベーターが出来るまでは手すりにつかまりながら、休み休み、一歩一歩上っていました。
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日比谷線築地駅の階段。以前はとてつもなく長く 感じた |
私が17年間築地に通っている間に、街並みも変わりました。活気のあった築地市場は解体され、かつて市場があった場所はがらんとし、場外市場のみ残っています。新しいマンションやビルも建ちました。一方で、芥川賞・直木賞の選考が行われる料亭「新喜楽」は昔のまま、そこにあります。そして、がん研究センターも。
この築地は、私にとって闘いの場であり、かつ、再生の場でもあります。2度の再発と治療、2つの自己免疫疾患の発病と治療。いつのときも私はがん研究センター中央病院で入院治療し、治療のメドが立ってから、退院することができました。幾人もの同室患者が治療が効かず、もしくは治療法がなくなり、「緩和治療を行っている病院」への転院を勧められる中、私は何とかここにつながり続けることが出来ています。がん専門病院に通えるということは、治療法がまだあるということなのです。
さて、インターンシップの面談は、30分間でした。質問は研究テーマから私の闘病の話まで多岐に渡りました。「自殺を考えたことがありますか?」という質問も受けました。治療により外見が変わったり、将来を悲観したがん患者の自殺も大きなテーマなのだそうです。その質問にはきっぱりと「ありません」と答えました。次から次への襲ってくる病気と闘いながら娘を育てていたときは、とにかく一杯一杯で、逆に「死」は遠かったように思います。
IT関連企業の「サイバーエージェント」の藤田晋社長が最近、朝日新聞のコラムでこのインターンシップについて書いていました。「インターンシップや内定後のアルバイトで職場を体験する人が増えている」「ネットとインターンの広がりが、入社時点での差を広げている」と。私が若かったころは、新入社員は会社に入ってからみっちり育ててもらったものです。数週間の泊りがけの研修で、記事の書き方、写真の撮り方、フイルムの現像の仕方(!)までしっかり教えてもらったあのころ。私は幸運な世代なのでしょう。
担当の先生から今日、インターンシップは週1回4月中旬からという連絡がありました。50代の職業体験はどんな感じになるでしょうか? どんなことを学べるのでしょうか。若い学生たちが就職前に経験するというインターンシップとはどんなものなのでしょうか。楽しみです。
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