2023年12月29日金曜日

塾からの電話

  昨夜午後9時ごろ、息子の通う塾の先生から電話がありました。2月1日から始まる中学受験まであと1カ月と迫った今、まったくやる気を見せない息子について頭を抱えていたところでした。塾の先生は早速本題に入りました。

「お母さま、息子さんが全部の学校を落ちたときの準備はされていますでしょうか?」

「えっ、はい。一応、1月にインターの受験も考えてはおります。が、インターはこのタイミングは一斉試験はありませんので、欠員があれば個別の試験、ということになります。で、2つの学校にコンタクトは取りましたが、1つは試験は受けられますが、欠員はないので大変難しい状況だと言われています。ですので、インターも厳しい状況です」

「そうですか。1月受験は考えていますか?千葉県、埼玉県の学校です」

「いいえ」

「このままですと、息子さんの希望する学校への合格はかなり厳しいです」

息子は3校の出願を考えていました。そのうち1校は比較的入りやすいと言われている学校です。息子は11月に、理科社会をあきらめていますので、受験は英語・国語・算数の3教科、もしくは国語・算数の2教科の試験を設けている学校です。さらに息子は多くの学校が特別枠を設けている帰国子女ではありませんので、受験できる学校は限られています。

「そうは思っておりましたが、私もどうしてよいものか、考えあぐねておりまして。理社をあきらめた時点で、この受験は大変厳しいものとなることは覚悟はしておりましたが…」

「全部落ちた場合、近くの公立中をお考えのことと思います。ですが、この3年間受験に向け勉強してきて、全部落ちたら、仕切り直してすぐ高校受験へとは大人が考えるようには子供は簡単には切り替えができません。そして、公立中に入れば、中学校受験をしなかった子供たちが3年後の高校受験を目指して、一斉に塾に通い始めます。そして、首都圏では中高一貫校が増えていますので、受けられる高校は少ない。高校受験は大変厳しいものになります」

「そうですか。近くの公立中学校は良い学校と聞いておりましたので、そこでも良いかとは考えていましたが」

「もう少し、枠を広げて、息子さんが合格をいただける学校を受験し、そこに行かれることを考えてはいかがでしょうか。お母さまが考えるように、中学校受験で思うような結果が出なかった場合、気持ちを切り替えて高校受験で良い結果を出すーということがうまくいけば良いですが、そうはならないお子さんもいらっしゃる。息子さんがそうならなかった場合のことも想定して、今、できることをしてあげることをお勧めします」

「でも、息子は勉強が嫌いで…」

「はい。息子さんは勉強が大嫌いだと私にも言っていました。嫌いで嫌いで仕方ないと。そんな息子さんは、公立中学校に行った途端に、勉強が好きになるでしょうか? 公立中学校に行って、勉強が嫌いなままで、やる気がないままだとどうされますか? 反抗期も重なります。今よりもずっと対応が難しくなります。親の言うことはもっと聞かなくなるでしょう」

「確かにそうですね。では、先生、具体的にどこかおすすめの学校などはありますか?」

「九州の学校で東京で試験を受けられる学校があります。ここなら、息子さんも合格をいただけるでしょう。まずは、ここで実際に試験を受けて、合格をいただいて、自信をつけてあげてください」

「九州?」

「はい。●●大学の付属校です」

 事態は、私が想像していたよりずっと厳しいようです。

「分かりました。そこを受けさせます。息子はあと1か月というこの時期でも全くやる気を見せません。そして、焦りもしない。先日もきつく叱ったばかりです」

「お母さま、今の段階では叱っては駄目です。とにかく、良いところを見つけてほめてあげてください」

「…。勉強以外では、良い子なんです、とても。でも、勉強では褒めるところがないんです」

「分かります。でも、そこは何とかほめてあげてください。勉強を全くしないーそこをスタートとして、少しでも取り組んだ、少しでも良い点数を取ったーというところでほめてあげてください」

「息子を勉強嫌いにしてしまいました。先生、私はどこかで間違ったのですね。娘はほめて育てました。成長が遅かったので、何かできたらほめるーそうして育てました。中学受験でしのぎを削る激戦区の公立校ではとてもついていけなかった。だから、早々にインターに移しました。娘が大きく成長したのは高校に入ってからでした。それまでは親として待ち続ける日々でした。でも、息子は頭が良かった。他の日本人の子のように、息子は中学受験に挑めると考えた。でも、頭は悪くないのに、努力が嫌いなんです。そうしているうちに、一生懸命努力する子供たちからぐんぐん引き離されていったんです」

「男の子の成長は、女の子よりずっと遅いです。大学に行ってから伸びる子もいます。だから、息子さんの良いところを褒めて、待ちましょう」

 電話を切ってから、私は学校のリストとにらめっこしながら、いくつもの学校のウェブサイトにアクセスし、入学試験要綱をダウンロードし、息子にチャンスはないかどうか、探りました。そして、これまで全く考えなかった学校を数校付け加えて、出願締め切りや試験日程、合格発表日時を記載する「受験カレンダー」を作成し、今日夕方、塾に提出しました。


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