2023年12月14日木曜日

研究室へ

  今日は10日ぶりに研究室に行きました。週末をのぞくと、8日ぶりです。研究者仲間数人に病気のことは知らせており、私が元気だったため、皆に驚かれました。

 私の研究室はがんを専門に研究している人の集まりですので、私の姿を見て、「やっぱり、早期発見は大事なんだね」と口々に言っていました。私もそう実感しています。

 指導教員と研究者仲間に今回の入院について言うかどうか、随分迷いました。1週間ですので、言わない選択も出来ました。でも、嘘をつくのもはばかられたので、伝えることにしました。指導教員はとても忙しい人なので機会をとらえて話しかけ、新たながんにり患したことを言いました。具体的な入院日程についてはメールで伝えました。

 退院した日にその旨と復帰の日についてもメールで伝えましたが、返信がありません。「手術がうまく行ってよかったですね」とか、「お大事にしてください」とか、簡単でもいいのでメールを待っていましたが、ありませんでした。

 私の現在の指導教員は、昨年の指導教員が異動したため、自身の専門外の研究をする私を引き受けてくれました。私の比較的得意な分野の研究に携わらせてくれ、また、研究者仲間もいい人たちばかりなので感謝しています。が、指導教員が他の学生たちに話しかけたり、激励している様子を見ると、やはり気持ちが沈みます。

 こういうときは、順天堂大学医学部の小林弘幸教授が書かれた本の中の一節をいつも思い出します。「この世の中で、一番苦労をしているのは、求められていない場所で必死に求めている人だ」。私は求められていない場所で必死に求めているんだなと思います。

  博士課程はあと2年数カ月あります。指導教員の専門外の研究を自力でし続けること、また、指導教員の言葉掛けもない中で、私は持ちこたえられるだろうか? 博士課程の単位は取っても、論文が通らず学位を取得できない場合もあります。そうした場合は費やした4年が無駄になってしまう。そうなった場合でも、自分の能力を遥かに超える目標に挑戦したこと、難しい環境の中で努力したことで、自分を納得させることが出来るだろうか? そんな自問自答を繰り返してます。

 気持ちが不安定になりますが、作家で精神科医の帚木蓬生氏が提唱する「ネガティブ・ケイパビリティ」=答えの出ない事態に耐える力=を今、私はつけている最中なのだーとわずかでも前向きに考えるようにします。最近、帚木氏の「生きる力 森田正馬の15の提言」も何度も読み返しています。これは20世紀の初頭、精神科医の森田正馬が創出した「森田療法」という治療法を紹介した本。帚木氏はこの本の中で、「森田療法は普通人においてこそ、より強力な効果を発揮する」と評価しています。  

 悩みはさておき、現時点の瞬間瞬間に、自分の一生をつぎ込んで進んでいくー。

 自分の気分には左右されず、目の前の小さなやるべき事柄に集中するー。

 日々を前向きに生き、不安に押しつぶせられないようにするため、これらの本から言葉を拾い上げ、胸に刻みつけています。

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