2023年8月4日金曜日

母の朝食

  先週木曜日のこと。この日は週1回の平日休みの日のため、母を夕食に招待しました。母に「何食べたい?」と聞くと、「前、あんたのところでご馳走になったラーメンが美味しかったから、あれが食べたい」と言います。

 これは、札幌・平岸にある有名な札幌ラーメン店「純連」が販売しているスープ付き生ラーメン。味噌味と醤油味の2種類で、私はコクのある味噌味が大好き。東京でも、こうして故郷の味が手軽に楽しめるのを本当にありがたく思っています。

 ラーメンに入れるチャーシューもこだわり、あれこれ試して好みのものを見つけましたが、最近は自分で作っています。市販のものはたとえどんなに美味しくても、化学調味料の味・匂いがかすかにします。自分で作れば吟味して選んだ肩ロース肉で、味付けも醤油、酒、みりん、砂糖、生姜だけで作れます。多少の手間はかかりますが、断然美味しく、家族の評判もいいのです。

 ラーメンといえば、餃子。この夜のメニューは決まりました。冷凍庫から豚の肩ロース肉と挽肉を取り出します。東京の夏は暑いので、室内での自然解凍もスムーズ。自転車でスーパーに向かい、「純連」ラーメンと餃子の皮を仕入れました。

 この日は夫が地方に出張中で、娘も美術専門の塾に通い始めましたので、夕食を一緒に食べられるのは私と息子だけ。でも、家族全員がそろって夕食をゆっくりと取れる日は少ないので、夫と娘はいませんが、母を招くことにしました。

 母はアイスクリームのお土産を持って、来ました。ラーメンを美味しそうに食べ、「餃子も美味しいよ。私も週に1度は餃子を作るんだよ」と言います。「日本酒飲む?」と聞くと、珍しく「そうだね、いただくよ」と言い、「久しぶりに日本酒も美味しいね」と、お猪口に2杯飲みました。食後に息子と3人でトランプをして、大笑いし、機嫌よく帰って行きました。
 
 そして、その翌日のこと。午前7時に電話をしましたが、母が出ません。「まだ、寝ているかな?」と思い、8時過ぎに電話。出ません。「ゴミ出しに行っているのかな?」とも思いましたが、心配になってきました。久しぶりにお酒を飲んで、何かあったかも?と心がざわざわとしました。で、様子を見行くことにしました。

 自転車に乗り、母のマンションへ。母のマンションは我が家から自転車で数分の「スープの覚めない場所」にあります。マンションの入り口の呼び鈴を鳴らすと、「はーい」と元気に答えました。「大丈夫だった」とほっとしました。

 エレベーターで4階に行き、母の家へ。母はちょうど、朝食を食べようとしていました。母に電話に出なくて心配した旨話すと、「あぁ、いつもは電話を寝室から居間に移すんだけど、今日はうっかり忘れていた。ごめんね」と言います。「無事で良かった。昨日、日本酒飲んだから、心配していたの」と私。

 で、食卓を見て、私は感心しました。母は「食事は味も大切だけど、見た目も大切」と常に言っています。一人暮らしでも手抜きをすることなく、毎食を丁寧に作り、美しく皿に盛り付けて食卓に並べ、味わって食べているのです。こうして毎日の食事を大切にする母は偉いなぁと思いました。


 「お母さん、すごいね。毎回、こんなに丁寧に盛り付けて食べているの?」と聞くと、母は「そう? ほら、それでなくても食欲はないし、食べないと痩せちゃうから、工夫して少しでも食欲がわくようにしているの」と言います。

 偶然見た母の朝の食卓。85歳になる母が、きちんと暮らせるのはこうして3度の食事をおろそかにしないからなんだろうなと改めて思ったのでした。

0 件のコメント: