帰国した翌々日の朝のこと。起きてきた息子に、いつものように朝食に何を食べたいか聞きました。前日、スーパーに行き、いろいろ食材を仕入れていました。
「何食べる? 選択肢は、納豆ご飯、うどん、そーめん、トースト。納豆食べたいと思ったから、昨日買ってきたよ」
「うーん」と言いながら、冷蔵庫の中を見る息子。そして、冷蔵庫の扉を閉じ、お米や乾麺、缶入りの食材を入れてあるストッカーを開けて眺めました。そして、「ああ、これが食べたかったんだ!」と缶入りのコーンに手を伸ばしました。
「ママ、ベーコン買った?」
「買ったよ。あっ、コーンの料理だね」
「そう!」
「じゃあ、ママがタマネギをみじん切りしてあげる」
息子は缶を開け、コーンをざるに入れて水分を切りました。そして、冷蔵庫からベーコンを取り出し、切り始めました。
息子が聞きます。「ベーコン先だよね」
「ベーコンはすぐ焼けるけど、タマネギは時間がかかるから、タマネギが先」
「そうなんだ、ベーコンが先だと思っていた」と息子。
息子はフライパンに油を入れてタマネギを炒めて、飴色になったのを確認し、ベーコンを投入。最後にコーンを入れて塩・胡椒をして、皿に盛りつけました。「ママも食べる?」と聞いてくれましたので、「もちろん!」と答えました。
2人で食卓に座り、味わいました。これは、母が私に作ってくれた料理の中でも、私が大好きなもの。夫と娘は残念ながら嫌いなのですが、息子が大好きなのです。
一口食べて、息子がこうつぶやきました。
「ああ、これが食べたかったんだ」
「美味しいよね、やっぱり。何で美味しいんだろう?」
「なんかさ、古いっていうか、昔っぽいところがいいんだよね」
「昭和な味?」
「そう!昭和な味。平成じゃないんだよね」
「そうか、平成生まれの息子が、昭和の食べものを美味しいと思ってくれて、ママは嬉しいよ」
コーン、タマネギ、ベーコンの炒め物を食べる息子 |
北海道のむかわ町という小さな町から札幌に嫁いできた母が、私の子ども時代に作ってくれたこの料理は当時、コーンとベーコンを使った、洋風の新しい食べ物だったように想像します。時が経ち、それは、レトロな料理に。
でも、マイヤー家で、なんとか子どもに引き継ぐことが出来ました。私の作る豚汁や肉じゃがなど和食を好む息子は、これも「母の味」として、覚えてくれるに違いありません。娘がラザニアやミートパイ、アップルパイを母の味として覚えてくれるように…。
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