2023年8月17日木曜日

夫と友人の再会の場で

  ハワイ旅行最終日の9日、夫の高校時代の同級生フランクと彼の奥さんに会いました。シカゴ出身の夫は高校時代バスケットボール部に所属しており、そのときの友人です。

 フランクは高校卒業後大学に進学し、そのまま真っすぐ大学院修士課程・博士課程と進み、建築学で博士号を取得しました。夫は地質学で修士号取得後に就職。フランクはハワイ、夫は日本へ移り住み、長い間交流はなかったようです。が、今回、夫が連絡を取り、再会を果たしました。

 会ったのは、ワイキキの大きなショッピングモール・アラモアナセンター内のレストラン。実は私は大学時代に一度だけ、フランクに会ったことがあります。今回、久しぶりに会ったときの印象は「アメリカ人にしては珍しく、痩せているなぁ」ということ。アメリカ人は中年になると太る人が多いのですが、フランクはアメリカ人と中国人のハーフで、アジア人の血が混じっているせいでしょうか。フランクの奥さんは日系人で日本の大学に留学していたそう。奥さんもスリムで、ショートカットの似合う、素敵な女性でした。

 フランクがにこにこしながら、夫に聞きます。「大学時代、日本人の女の子と会ったのは覚えている。ムツミはあのときの女の子?」「そう、あのときの女の子」と、夫が大笑い。そうか、私も昔は女の子だったんだ、と私も大笑い。

 フランクと夫がひとしきり近況報告をし合った後、フランクが私に聞きました。「ムツミは今、何しているの?」

「博士課程の学生」

「そうなんだ。何を研究しているの?」

「医学系研究科でヘルスコミュニケーションの研究しているの。患者・医療者間のコミュニケーションや、医療情報をどう一般の人に伝えるか、とかそういう研究。私、昔、新聞記者をしていて、そのときにがんを患ったの。医療情報を発信する側から、患者になって医療情報を探す側になると、大きなギャップを感じて…。で、全ての病気が収まってから、ほぼ10年かかったんだけど、また、学び直しをしているの」

「がん」という言葉に、フランクは敏感に反応し、奥さんも身を乗り出すように、私の話に聞き入りました。

「何のがん?」

「悪性リンパ腫。血液のがん。2度再発して、自己免疫疾患も2つ患って、治療中に敗血症ショックで死にかけたり、心臓病を患って手術したりと散々だったけど、10年かけて、治ったよ。今は、とっても元気」

「そうなんだね。実は僕も2年前にがんになったんだ。珍しいがんで、膵臓と胃、そして腸の一部を切ったんだ」

「そうなの…。悪い所は全部取ったの?」

「うん」

 フランクが痩せていたのは、そういう理由だったのだなと合点がいきました。話は尽きなかったのですが、フライトの時間が迫っていたので、お別れすることに。レストランの前で皆で写真を撮りました。フランクが奥さんに「ジョンと二人で写真を撮ってくれないか?」と頼みました。フランクの言葉が、胸にじんときました。2人はとってもいい笑顔で写真に収まりました。

「また会おう。ムツミ、体調にはくれぐれも気を付けて」とフランク。

「フランクもね」と私。そして、再会を祈って、ハグをしました。

 空港に向かう車の中で、夫が言いました。「フランクは11月に日本に来る予定だったけど、来られないかもしれないって言っていたんだ」

「そう、体調が悪化していなければいいけど。随分痩せていたもんね」

「うん」

 フランクの体調が良くなりますように。そして、フランクと奥さんの来日が実現し、また、楽しくおしゃべり出来ますようにと願いました。

 

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