2023年8月24日木曜日

息子とのバトル再開

  16日から息子の塾が再開しました。この日の朝は大変でした。

「塾、行きたくない」を連発。ベッドに戻り、布団を被ってしまいました。それはそうだなぁと気持ちはよく分かりました。

 ハワイでの楽しい休暇の後、学校の宿題や夏休み自由研究など、比較的簡単なことをやり、なかなか塾の宿題に手を付けられませんでした。この間のんびりモードでしたので、また、朝から夕方までの塾なんて、私も息子の立場だったら絶対嫌だろうなと思いました。

 でも、そうは言っていられません。「塾に行かない選択肢はないの。ハワイで楽しかったでしょう?ハワイに塾の宿題持っていってもやらなかったでしょう?だったら、遅れた分、取り戻しなさい」

「嫌だ。もう、塾なんて行かない。同じなんだよ、塾変えたって、成績なんて上がらない。頭悪いから、どの塾行ってもダメなんだ」

「じゃあ、どうするの?何で生きていくの?水泳だって、かけっこクラブだって、サッカーだって、いろいろやったじゃない? ヴァイオリンだって、2歳からやっているでしょ? お絵描き教室も行った。でも、何一つ一生懸命やらないじゃない?何にも打ち込まなかったじゃない?だから、あなたの嫌いな勉強をして、皆と競争して、どこかの学校に行って、自分が食べていく手段を探さなければならないんでしょ?」

 小6の息子にこれはないなと、よくよく分かっています。でも、優しく説得しても、息子は聞きません。もう、叱るしかありません。息子は言い返します。

「何かに打ち込めば、受験しなくてもいいなんて知らなかった。それを知っていたら、何かやっていた」

「そういうことじゃないでしょ?受験勉強したくないから、スポーツを一生懸命やるの? 逆でしょう? 何かに打ち込んでいるから、受験勉強するよりも、それに打ち込んだほうがずっといいねって周りは応援するのよ。あなたのように、何にも本気にならない子を誰が応援するの?」

「とにかく、嫌だ。勉強なんて嫌いだ。塾も行かない。受験もしない」

「じゃあ、公立中学校に行く?いいのよ、それでも。近いし、知っているお友達も何人も行くし。でも、公立にいけば、今度は高校受験だよ。入学と同時にまた塾なんだよ。中学に行けば、今度は内申点といって、宿題をやったか、授業への参加態度はいいか、日々の生活が成績となって受験に影響するのよ。一発勝負で当日の試験の点数さえ良ければ合格がもらえる中学校受験とは違うの。それに、公立はきちんとしている女子が有利って何人ものお母さんから聞いた。普段の宿題さえやらないあなたが、どうやっていい内申点を取るの?それに、東京は地方と違って、沢山の私立学校が中高一貫校になっているの。だから、高校受験になると選択肢は狭まる。特に男子は。だから、皆、受験しているでしょ。スポーツが大好きで勉強嫌いそうだった●●君も、●●君も中学受験塾に行っている」

 大人の私が、周辺情報を仕入れて、息子にまくしたてる。ああ嫌だなぁと思いました。息子を叱り、追い込んでいく自分はつくづく駄目な母親だな、と思いました。でも、でも、です。ここで息子に何とか踏ん張ってもらわないと…と思うのです。踏ん張ってもらう方法が分からない。だから、とりあえず、塾に行ってほしいと思ってしまう。浅はかな母親。

  息子を叱りながら、心の中で愚痴を言います。私だって、サッカーばかりしている、ヴァイオリンに打ち込む、水泳が大好きというような息子を応援したかった。「勉強なんて、基本的なことで十分。あなたは自分な得意なこと、好きな事をやりなさい。ママは応援するよ!」と言いたかった。でも、残念ながら、我が息子はそういう意欲を小さなころから持たない子どもだった。どこか、冷めていた。だから、普通に勉強して、受験して…の道しか、なかったのです。

「じゃあ、インターに行く」

「インターを甘く見ちゃダメ。今の時点でインターにスイッチするための試験は難しいの。あなたの嫌いなエッセイだって、すごく長く書かなければならないんだよ。英語の塾だって、いつも宿題を提出していないって連絡が来るじゃない。本当にインターに行きたかったら、必死に勉強していたはずだよ」

 娘は発達が遅く、小4の3学期の授業参観で「この子は、もう少しのんびりとしたところで育てなければつぶれてしまう。中学受験をする子どもがひしめき合う東京の公立小学校にこれ以上いては駄目だ」と判断し、インターに移しました。

 でも、息子は頭もほどほどに良く、何でもそつなくこなしていた。スポーツも好きだった。お友達とも仲良くできた。だから、インターという選択肢を今の今まで真剣に検討しなかった。でも、選択肢を残しておくために、英語の塾にも通わせている。国・算・理・社の4教科に加えて、英語も勉強させている。でも、息子は帰国子女ではないので、英語が出来ても中学受験での特別枠である「帰国子女枠」は使えない。結果的に5教科を勉強させるという酷な事をさせているのです。

 「スポーツでもいい、音楽でもいい、絵でもいい。あなたに何かに打ち込んでもらいたかった。ママはいい学校に行きなさいとか、大学に行きなさい、とかあなたの道を決めるつもりはもうとうなかった。あなたはいつも、何を聞いても、別にという態度で、、、。いい?生きるって大変なの。際立った才能を活かして生きることが出来るのは、ほんの数パーセントなの。ママもダディも、特別な才能がないから、一生懸命努力したの。だから、こうして暮らせている。とにかく、勉強をして基礎力を付ければ、その間に、僕はこれがやりたい!ということが見つかるかもしれない。だから、今は勉強をしなさい」

 勉強が出来る子の親は「勉強をしなさい」と言わないそうです。あの大谷翔平君の親も、子どもを温かく見守っていたそうです。でも、勉強しなさいと言わないと勉強しない子、温かく見守っていたら、テレビばかり見ている子どもの親はいったい、どうしたらいいのでしょうか? 

 勉強しなさいと言わず、受験はしなてもいいよ、あなたが好きなことをしなさいーと見守っていれば、息子はどこかの時点で気付いて、方向転換してくれるのでしょうか? もし、そうならなければ、そのとき親はどうすれば良いのでしょうか? そうならなかったと気付いたときは「時すでに遅し」にならないのでしょうか? だから、今のうちに、親としてやれることはやっておくしかない。その方法として、嫌がる息子を塾に通わせることしかできないなんて、本当に私は駄目親だなと思います。

 大事な息子。病気の回復を待って、7年間凍結保存していた受精卵を子宮に戻し、46歳で産んだ息子。夫にも反対され、主治医にも相談せず、親にも友人にも言わずに、黙って産んだ子。愛おしくて、愛おしくて、たまらない息子。それほど大切な息子をこうして追い込んでいく自分が本当に嫌です。可愛い、可愛いと抱き締めながら育てたい。

 息子はぶすっとした顔をして、もう、返事もしません。音を立てて、テキスト類をバックパックに詰めました。夫が「ダディが車で送っていくよ」と息子に言いました。「ご飯をたべていきなさい」と言っても、息子は私を一切無視。夫とは会話しながら、何とか家を出ました。でも、心を込めて作ったお弁当だけはバッグに入れてくれました。

息子の大好きな生姜焼き肉弁当。娘と夫にも作りました

ああ、息子に嫌われちゃったなと思いました。悲しいけど、嫌われてもいい。でも、嫌われてもやらせることが、息子が嫌いな勉強をさせることだなんて、私はいったい何をやっているのだろうと、また、落ち込むのでした。

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