2021年1月2日土曜日

元日の速達

 元日の午後、ドアベルが鳴りました。スピーカーから「郵便局です。速達です」という声が聞こえます。「お正月早々どこからだろう?」と不思議に思って玄関に出て、郵便配達員さんから受けとったのは、なんと、息子が冬期講習に行っていた塾からの封書です。中身は12月30日に行われたテスト結果でした。

 結果は無残でした。12月初旬に受けたテストよりも、さらに点数を下げてしまいました。4教科500点満点の348点。平均点は388点。平均点より40点も低いのです。

元日に届いた速達

 友人からの結婚報告の年賀状が届き、しばし幸せな気分に浸っていましたが、すっかりしぼんでしまいました。結果の詳細を見ると、理科はかろうじて平均点より上ですが、算数は9点、社会は12点、国語にいたっては20点も低い。当の息子は「理科、やった!平均点より上」と自慢げ。「えっ? それ自慢になるの?」ともちろん、娘と私でツッコミを入れました。

  息子のテスト結果を見ていると、先日戻ってきた「生物統計学2」の課題の結果を思い出しました。ものすごく頑張って500点満点の430点(86%)も取ったのに、平均点と同点数だったのです。努力しても、医師・薬剤師ら頭の良い人たちの中で競うとママのような普通の頭の人間は平均点しか取れないんだよ。君は、単純に努力が足りないんだよ!などと、小3の息子に言っても仕方ありません。何せ、すでに、いかに楽に努力しないで世の中を渡っていこうか考えている息子です。

 娘はあらゆる勉強の理解に時間がかかりましたが、素直に勉強しました。“牛歩”のごとく、でも着実に進みました。が、息子は違います。"脱兎”のごとく宿題を終わらせますが、終わらせることに主眼を置くため、全く覚えていないという始末。そういえば、息子はうさぎ年生まれでした...。

 受験まであと3年あるといっても、皆その間ずっと頑張るのです。この段階から、頑張っている子供たちの間でどうやって成績を上げて、受験に臨めば良いのでしょう?

 東京では中学校受験の競争が激しいため、お母さんたちがとてつもない努力をして、小学校受験で子供を私立や公立の一貫校に入れようとします。その過程を「お受験」と言います。娘が幼稚園のとき、男子のお母さんのうち何人かが「夫がお受験に反対なの」と不満を漏らしていました。「中学校受験の競争ぐらい勝ち抜かないと、世の中の競争についていけるはずがない」というのが夫側の理由でした。

 そういう父親は大抵、自分が東京で熾烈な中学校受験を勝ち抜いてきた人か、地方で普通に公立の小、中、高校と進み、大学受験で勝ち抜いた人たち。私は当時、娘しか子どもがいませんでしたので、「そうなんだ~」と聞いていましたが、今、息子を塾に入れるべく東奔西走(大げさ過ぎ?)して、その意味が少し分かってきたような気がします。

 そして、思います。うちの息子が競争に勝つのはかなり難しいだろう、と。でも、その競争の中に放り込むしかないのです。音楽や絵など芸術的なセンスがあり、そういう面での”可能性”を感じさせ、親として何とかそちらを伸ばしてあげようと思わせてくれる娘に比べ、息子は運動こそ得意ですが、人よりずば抜けているわけでもなく、本当に普通なのです。平たく言うと、夫や私と同じ。だから、今から現実を生き抜く力をつけてあげたいのです。

 今年のおみくじには「何事にも手を出してはいけません」と書いてありました。昔は気にもしなかったおみくじの言葉も、死産や度重なる病気を経て、気にせざるを得なくなった私です。私自身が外に向かっていくのではなく、目の前にいる息子に向き合うようにという神様からのお告げだと素直に信じることにします。 

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