2024年5月6日月曜日

日本酒を飲みながら、先輩と語り合う

  私が心からお慕いする新聞社時代の元上司のYさんと1日、美味しい日本酒を飲みながら、語り合いました。

 Yさんは奥様の絵画展が東京で開かれるのに合わせて、こちらにいらっしゃいました。昨年に引き続いて我が家の近くにあるお店にお連れしました。

 Yさんと初めて東京でお会いしたのはもうかれこれ10年ぐらい前だと思います。最初は、最寄り駅近くにあった鉄板焼きの店に行きました。もう閉店してしまいましたが、父母が東京に来たときに良く行った、亡父が好んだ店でした。Yさんとはお互い同じ病気を患った縁で、再びお会いすることができ、そのときも闘病生活のこと、家庭のこと、会社のこと、時事問題など語り合いました。

 新聞記者時代、同僚との飲み会での話題は多岐にわたりました。政治、経済、文化、医療、そして多分に漏れず会社内部の噂話。闘病期間が長く、そのような会話を渇望していた私にとって、Yさんとお酒を酌み交わし、美味しい食べ物をいただきながらの数時間はそれは楽しい時間でした。

 それから、ほぼ毎年、Yさんが奥様の絵画展の日程に合わせてこちらにいらっしゃるときは、お声がけいただき、お会いするようになりました。

 次にお連れしたのは隣駅近くにある和食店。丁寧に作られた料理が評判のこの店はYさんも気に入ってくれ、何度かこの店でお会いしました。

 前回と今回は、我が家に比較的近い所にある日本酒をメインにしているお店です。このお店は一昨年の12月に開店したばかりですが、地元に馴染み、近隣に住む常連客が友人や家族を連れて、マスターの仕込んだ美味しい料理や全国各地からの日本酒をいただきに行きます。

 今回も注文したのは、お猪口1杯分を5種類飲める、楽しい日本酒セット。1杯1杯、マスターが酒蔵の説明をしてくれるのですが、印象に残ったのは東京の若者が単身で地方のつぶれかかった酒蔵に行き、周囲の人に指導を受けながら一から酒づくりを学んで作ったというお酒。ラベルの後ろに「タンクにお酒を仕込み終えてから入院してしまい搾れないという事態が発生しました。このお酒です。県内の他の酒蔵の皆様のお蔭で無事搾れた感じです」と書いてあります。

「ラベルにこんなこと書いちゃうんですね。面白いですね」と驚いていると、マスターが「一人でやっているから、何でもできちゃうんですよね。前の職業はシステムエンジニアだったらしいですよ。今年は入院して万事休すというところで、県内の酒蔵の人たちが駆け付けてくれたらしいです」と説明してくれます。

 そんな話を聞きながら、Yさんと「習い性で、こういう心温まるエピソードは”書けるかも”と覚えてしまいますよね」と笑い合いました。Yさんも私も新聞記者の仕事を離れて久しいですが、やはり、こういうエピソードが大好きなのです。

 私はあまりお酒が強くないので、4杯目で終了。5杯目はYさんに飲んでもらいました。Yさんはこの後も、芋焼酎のお湯割りを飲みながら、私の研究の話、子どもたちの話などじっくりと聞いてくれました。

 いつもご馳走になっているので今回は…と思うのですが、またYさんにご馳走になってしまいました。帰りは、駅までお送りしました。名残惜しい気持ちでお別れの挨拶していると、ホームに電車が来てしまいました。ドアが閉まっても、にこにこして手を振ってくれるYさんに、私も何度も手を振りながら、また、来年もお会いできますようにと願ったのでした。

東京の若者が一人で作ったというお酒

入院したときに、県内の酒蔵の人たちに助けられたというエピソードが記されたラベル


 

 

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