2024年5月27日月曜日

同期会

  先週末、札幌に帰省したのは同期会に参加するためでした。同期の一人が定年退職で関連会社に行くことが決まったため、その送別会でした。

 私は既卒者を多く採用した1992年秋入社で、記者の年齢幅は広く、5年ほど前からぽつぽつと定年退職者が同期から出るようになってきていました。今回は私より3歳年上の記者でした。

 とても優秀な社会部記者でした。取材は深く、そして、文章がとにかくうまい。歯切れのよい短文で、胸の奥深く染み入る文章を書く記者でした。「一番、印象に残った取材は何ですか?」と聞いてみました。たぶん、あの記事だろうなと予想をしていました。その通り、彼は、ある元死刑囚の散骨に立ち会ったときの取材の話をしてくれました。

 元死刑囚の故郷・網走の海での、元妻による散骨。漁船に乗った記者は、彼と同僚記者だけだったそうです。彼だから取材が出来たのだと思います。それほどまで、元妻に信頼を得ていたのだと思います。

 私は彼と厚生労働記者クラブで席を並べ、医療・社会保障・労働問題の取材・執筆をしていました。私が退社の相談をしたのも彼です。「制度を組み合わせれば、通常より長く休めるはずだ」と引き留めてもらいましたが、がん治療後の39歳での初めての妊娠で、しかも双子だったことから私の決意も固く、退社に至りました。

 その後、一人を死産しましたので、「あのとき会社にとどまっていたら、念のための早めの入院をし、息子を救えたかもしれない」とどれだけ後悔したか分かりません。彼はそんな思い出のある同期なのです。

 彼への私からの送る言葉は「書き続けてください」でした。きっと彼なら、書き続けるだろうと信じています。

 

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