2022年10月1日土曜日

金曜日の楽しみ

  毎週金曜日に大学院のゼミがあります。私の発表は2週間に1度。持ち時間の1時間のうち30分は発表、そして残りの30分は、博士号を持つ研究者たちに様々な指摘を受けます。とても勉強になりますが、皆さんの意見をひと言でいうと「あなたは駄目」ですから、気持ちはかなりダウンします。

 昨日は私の発表の日ではなく、研究者らが学会で発表するプレゼンテーションの予演会でした。3人が発表し、私の指導教員も立派な発表をしました。

 彼女のテーマは、がん患者への情報提供について、いかに医療者が患者や家族に分かりやすく伝えるかーという内容でした。医療のバックグラウンドのある研究者らが、患者はどう受け止めるかーということについて意見を言います。指導教員は参加者の一人一人を名指しして、意見を聞きます。そして、最後まで私を無視しました。

 私はがん患者として長い闘病経験があります。彼女はそれを知っています。ひと言「あなたはどう思う?」と聞いてくれたらな、と思います。が、「あなたの意見など聞くに値しない」ということなのでしょう。私に能力がないと彼女が判断しているということがあるでしょう。一方で、「患者がのこのこ、医療・研究の現場に来るな」というメッセージかな、とも思います。

 こういう”無視”や理不尽な対応が半年続いていますので、もう限界だなと思います。でも、ここで辞めると困難なことから逃げるようで、将来困難を乗り越えなかったこと・闘わなかったことを後悔し、自己嫌悪に陥るだろうとも考えます。

 私はこういうやっかいな自分の性格を良く知っています。夫もそこのところを十分承知していますので、「決断するのは君だ。僕は責任を持てない」と言います。で、まだ、決断をし切れないでいます。将来、苦しみから逃げたと自己嫌悪に陥るであろう自分を納得させられないのです。今の私の苦しみは研究の苦しみではないことが、さらに残念でもあります。

 このように昨日も辛かったですが、実は金曜日は私にとってとても楽しみな日でもあります。息子を英語教室に迎えに行く日なのです。だから、ネガティブな気持ちを研究室に置いていくよう気持ちを切り替えます。研究室を出るときにこらえていた涙が出てきそうになりましたが、息子の笑顔を思い浮かべました。

 40分ほど電車に揺られ、息子の教室の駅に着きました。息子には朝、「ママいつものところで待っているからね」と伝えてあります。息子の教室の斜め迎えにカフェがあり、そこでグラスワインを飲みながら、息子を待つのが楽しみなのです。

 昨夜はなんと私が大好きなスパークリングワインがメニューに加わっていました。「ラッキー」と思いながら頼んでみると、店員さんが200mlのミニボトルを氷入りのワインクーラーに入れて持ってきてくれました。息子の大好物の「オニオンリング」も注文しました。スパークリングワインとオニオンリング合わせて950円です。価格もとても嬉しいのです。


 幸せな気分になり、息子を待ちました。ほどなく息子が「よっ!」と言い、店に入ってきました。息子をぎゅっと抱き締めました。私の幸せはここにあるとしみじみと感じました。そして、しばし、辛い出来事を忘れることが出来ました。



0 件のコメント: