大学院生の私は週3,4回研究室に通っています。朝、1時間かけて息子のお弁当を作り(私の楽しみの一つ)、息子に朝ごはんを食べさせて見送った後キッチンの片づけをし、洗濯物を外に干し、支度をして家を出ます。満員電車に体を押し込み、携帯電話でニュースを読みながら、研究室に向かいます。研究室は国立がん研究センターの研究所内にあります。
現在博士課程の3年目で、先月データの解析が終わり、現在は論文執筆中です。私の指導教員は大変忙しい人なので、30分1時間の時間を取ってもらえるのは年に数回。あとは会議の後に捕まえて、こちら側からの報告を立ち話でします。
こういう状況ですので、誰かに指導をしてもらうことはありません。ですので、質問や相談は研究所内の研究者たちにします。皆、親切に教えてくれます。でも、普通の会社のように気軽におしゃべりをすることはほとんどありません。私は研究所に雇われている研究員ではないので、立場が違いますので、おしゃべりの中に入れないのです。
そのような中、「おはよう、調子はどう?」といつも声をかけてくれる人がいます。私の机の後ろの部屋で仕事をしている外国人の女性Sさんです。Sさんと「おはよう」の挨拶を交わし、何気ない話題でちょっとした雑談をする。それだけで、私の気持ちを夕方まで持たせることができます。そのSさんが来年1月でこの研究所を退職し、インドネシアの研究所に転職することになったと昨日知りました。
研究という分野では、転職はおそらく普通の企業よりも頻繁で、皆そうやってキャリアを積んでいきます。この研究所内で研究員としてのキャリアを積むには博士号はもちろんのこと、その上に医療資格を持たなければなりません。かなり上の地位まで行くには医師の資格が必要だそうです。Sさんは東大で博士号を取得して研究員としてキャリアを積んでいますが、医療資格を持っていませんので、いろいろと考えたのかもしれません。
Sさんは結婚をしていて、2人のお子さんがいます。ご主人は仕事を辞めて、Sさんについて行き、子育てに専念するそうです。頼もしい女性です。Sさんは皆にフレンドリーで親切なので、皆にとってもSさんがいなくなってしまうのは寂しいと思います。私の場合、Sさんとの会話が救いでしたので、昨日はショックで思わず涙が出たほどでした。
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