2016年1月11日月曜日

銀座の雑踏

 気持ちが沈んだとき、人通りの多い場所に行きます。雑踏を眺めながら、自分の抱えているものなど、小さなことなのだと思うようにします。昨日の日曜日、所用で久しぶりに1人で銀座に行き、銀座三越の前にあるドトールでコーヒーを飲みながら、人混みを眺めました。昨日は沈んでいたわけではありません。気持ちを奮い立たせたころを、懐かしく思い出していたのです。

 銀座は、私がよく入院していた築地の国立がん研究センターにほど近い場所にあります。電車で2駅隣り、タクシーですと、10分もかからない場所です。
 治療の見通しがたたなかったり、検査の結果が悪かったり、でも、外出許可は下りるー。そんなときは、がん研究センターの前でタクシーをひろい、銀座に行きました。三越の周りを歩き、カツラだったり、顔が風船のようにむくんでいたりする自分の姿を、三越のショーウインドーにうつして、「悪くないよ。大丈夫だよ」と自分を励ましました。

 そのあとは、いつも、三越の斜め向かいにあるドトールのテラス席で、コーヒーを飲みました。行き交う人々を見ながら、「皆、それぞれに何かを抱えているのだ。私だけでないのだ」と自身に言い聞かせました。そうやって、1、2時間をつぶして、病室に戻りました。

 昨日は、8丁目までぶらぶらと歩きました。すがすがしい気分でした。絶望的な気持ちから、こうやって、這い上がることが出来る。生きることのすばらしさ、生きられることの幸せをかみしめました。
                

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