2016年1月10日日曜日

一姫二太郎

 今年の一番の目標は、「子供たちと遊ぶこと」です。実は私、子供の世話は好きなのですが、子供と遊ぶのがあまり得意ではないからです。具体的に言うと、子供の好きそうな工作用品や遊び道具などをそろえる労力は惜しまないのですが、「いろいろそろえたから、あとは自分で遊んでね」というタイプ。で、それでは駄目だろうと反省し、今年は少し遊ぶ努力をしようと決意したのです。

 まず、三が日が明けて夫が出社した4日、3人分のお弁当を詰めて、サッカーボールを持って近くの公園へ行くことにしました。お天気も良く、子供と遊ぶのには最適の日です。

 その公園には、広いグラウンドがいくつかあります。地域の子供たちが学校帰りに遊んだり、週末親子で運動をしたりする場所です。この日もサッカーボールをける子供たちや、野球のボールを投げ合う子供たちがいました。

 さて、グラウンドの横にあるベンチでお弁当を食べ終わると娘が、弟は少し太り気味なので、まずはグラウンドを走ってくると言います。姉に従順な息子は、素直に従います。2人はかなり広いグラウンドを3周します。11歳の娘には何でもないでしょうが、4歳の息子には結構たいへんそうです。が、息子はへとへとになりながらも、ついていきます。子供と3人で穏やかに遊ぶ予定が、何やら、違う展開になってきました。

 次に、2人でサッカーボールをけり始めます。何となく、ママが不要なようなので、私は傍観します。しばらくすると、グラウンドの横で、足し算を始めました。

 「2+2は」と娘が聞くと、息子は「4!」と答えます。
 「すごいね。じゃあ、4+4は?」。息子は「8!」と大声で答えます。足し算の概念は分からず、ただ、語呂で覚えさせられているのは明らかです。
 私は思わず、口を出します。「グラウンドは勉強する場じゃなくて、遊ぶ場でしょ。ボールでもけりなさい」。
 「ママ、私はね、弟には私のようになってほしくないの! 計算が得意で頭が良い子になってほしいの。だから、今から鍛えているの!」
 説得力のある言葉に、私は「そう」とだけ言い、ベンチに引き下がり、再び傍観者になります。結局、ベンチで見ているのも寒いので、子供たちをせかせて帰ることに。

 帰宅後、娘の”スパルタ教育”は続きます。
 「では、次はお手伝いです」
 「はい!」と直立して答える息子。さながら、どこかの訓練所の様相です。

 息子は小型の掃除機を使い、階段やダイニングなど、ほこりが目立つところをビュンビュンと掃除していきます。
 私はここでも、傍観者です。「弟ばかりにやらせないで、あなたが少しお手伝いしなさい」という言葉を飲み込みます。「まあ、家がきれいになるなら、いいや」とつい、自分に有利な判断をしてしまいます。

 そして、かいがいしく働く息子を見ながら、「きっと、この子は掃除も料理も出来る男子に育って、何も出来ないお嫁さんをもらうんだろうな」とぼんやりと将来を想像します。

 娘は弟にハッパを掛けます。「いい? 花丸がたまったら、パーティするから、頑張って!」
 「花丸?」「パーティ?」。聞き慣れない言葉に、私は反応しました。企みを暴くため、娘の部屋に行きました。
 すると、なんと部屋の壁には、弟育てのための、一覧表が貼られていたのです。何をしたら花丸がもらえるかというリストと、花丸をつけるポイント表が・・・。

 私は娘に聞きました。「で、パーティって?」
 「私の手作りクッキーを、素敵に飾ったテーブルで、家族で食べるの!」
 「・・・」。

 息子はそのためだけに、あの”苦行”に耐えている。いや、おそらく、何の疑問も抱かず従っているのです。

 昔から言われている、「一姫二太郎」。あれは、当たっています。
 
 
 

0 件のコメント: