「あーあ、おねぇねぇ、いないんだ」
今朝、目覚めた息子が発した第一声です。昨夜、イギリスのサマースクールに行く娘を成田空港で見送ったのです。
「あら、昨日は軽口をたたいていたのに、おねぇねぇいなくなって寂しいんだ」
「家族の中で一番分かり合える人が行っちゃった」
小5にしては深い一言です。
「ママじゃ駄目なの?」
「駄目。だって、おねぇねぇとは一番血がつながっているから」
「ママの方が血がつながっていない?だって、ダイレクトにつながっているんだよ」
「違うよ。おねぇねぇと僕はママとダディから半分ずつDNAを受け継いでいるんだ。だから、DNA的には一番近いんだ」
確かに。そういえば、私が血液がんを再々発させたときに、主治医から勧められた「造血幹細胞移植」。この治療は、患者とドナーの白血球の「型」が同じでなければ出来ません。「一番型が合う確率が高いのはきょうだいです」と主治医から説明を受けて納得したことを思い出しました。
きょうだいは両親から同じDNAを受け継いでいますので、白血球の「型」が合う確率が高い。私の場合、一人っ子だったこと、両親が高齢だったこともあり、骨髄バンクの利用を勧められました。結局、その治療はしませんでしたが、このときの経験が、息子を出産するときに臍帯血を保存する決断につながりました。血液疾患を3つ患った私のDNAを引き継ぐ子どもたちが、将来、血液疾患を患うことになってしまったときに、この臍帯血を使ってほしいと「保険」を掛けるような気持ちでした。
そんなことを思い出しながら、息子と会話を続けました。
「そうなんだ。一番血がつながっていて分かり合える人がいなくなると、寂しいんだね」
「うん。寂しい」
そう言って、息子はベアのぬいぐるみをギュッと抱き締めました。そして布団を被ってしまいました。
日頃は娘に邪険に扱われたり、勝手に物を使われたりして、理不尽な思いをすることも多い息子。でも、一方で娘にはとても可愛がられていることも確か。やっぱり、娘のことが大好きなんだなぁと娘の不在を寂しがる息子をとても愛おしく感じたのでした。
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