2016年2月12日金曜日

薬局で考える

 息子の風邪がうつり、高熱が出た日の翌日から咳き込み、それと同時に頭痛に悩まされました。頭痛に効く薬と言えば、「ロキソニン」。これまでも、頭痛や歯痛がひどかったときにこの市販薬をドラッグストアで購入し、服用して一時的に痛みが和らぎましたので、今回もさっそく飲みました。

 薬箱の中にあった2錠を飲み切ったため、息子が幼稚園に行っている間にドラッグストアに行きました。レジの前で「ロキソニンをください」と言うと、「ロキソニンはここでは販売していません。一番近いところで、この坂を下りたところにある、S薬局でご購入できます」とのことです。

 以前、このドラッグストアで購入したことがある私の頭には、即座にクエスチョンマークが点滅しました。
 「今、この店に薬剤師がいないの?それとも、基準が変わってドラッグストアでロキソニンは売れなくなったの? 」
 理由を聞いてみたくなりましたが、そんなことよりもまず、薬を購入しなければーと、質問を飲み込んでS薬局に自転車を走らせました。

 S薬局には、息子が通う幼稚園の同じ年少組にいる男の子のお母さんが、薬剤師として働いています。三十代前半の、とてもきれいなお母さんです。薬局に入ると、後ろの調剤室から出てきて、「おはようございます」と明るくあいさつをしてくれました。

 「おはようございます。ロキソニンを買いたいのですが」
 「はい。では、この用紙にお名前と生年月日をご記入いただけますか?」
 
 「市販薬を買うのに、名前と生年月日がいるの?」と予想外の展開に驚き、一瞬「どうしようかな」と考えました。

 私の戸籍の姓は、日本の名前です。外国人と結婚する場合、姓は自分の姓をそのまま使うか、相手の姓に変えるか、いずれかを選べます。私は結婚したときは仕事をしていて、かつ、夫婦別姓を支持していたので、当然のように姓をそのままにし、夫の姓に変えませんでした。娘が生まれてからも、しばらくは戸籍名を名乗り、娘にも戸籍名(娘はアメリカ国籍もあるため、名前が2つあります)で通していました。

 ところが、夫の姓と娘や私の姓が違うと、面倒なことが多い。つまり、「娘さん、どうしてパパと名前が違うの?」「夫婦別姓なの?」などの質問にいちいち答えなければならなかったのです。子供が出来る前は夫婦別姓にこだわりがありましたが、子供が出来て仕事を辞めてからは「子供にとって良いほうで」と考えも変わりました。で、今は11歳になる娘の幼稚園入園に合わせて、私も娘も、夫の姓を名乗ることに。そうすると、物事は一気にスムーズになりました。

 今は私に関しては、子供の学校関係、子供を通じて知り会った人、家族の一員として世間に名乗る場合は夫の姓を、私の友人知人はそれまでと同様戸籍の姓にし、完全に区別しています。

 さて、ロキソニンです。薬を購入するには、本名を名乗るべきでしょう。が、購入するのは、市販薬です。保険証の提示も求められていません。私は、少し迷って、「マイヤー睦美」と書きました。その後に続く、生年月日と年齢がインパクトがあり過ぎる情報だからです。

 名前も違う、年齢も4歳の子供の母親としてはありえないような、あっと驚く年齢だと、ともすれば「この人、怪しい・・・」と余計な警戒感を与えてしまうのではないかと瞬時に判断したのです。別に悪いことはしていませんが、気が引けるとでも言うのでしょうか・・・。

 生年月日の欄には当然ですが、「昭和39年・・・(51歳)」と正直に記入しました。私の年齢を知らなかった彼女は驚いたでしょうが、職業柄、平然とした表情で現在飲んでいる薬など、用紙に書かれた質問をしてきました。が、「妊娠の可能性はありますか?」の質問は、私に直接聞かず、勝手に「いいえ」にまるを付けました。

 「51歳で妊娠をするはずがないと判断したのか、『ロキソニン』は胎児や妊婦に影響を及ぼさないので聞く必要がないということなのか、51歳の女性にそもそも聞くのが失礼だと思ったのか、どの理由で『いいえ』に勝手にまるを付けたのだろう」
 
 と、素朴な疑問がわきましたが、「ロキソニン」をドラッグストアで買えなかったときと同じように、今回も、疑問を頭の中から追い出し、とりあえず薬を購入しました。

 頭痛薬を買うだけなのに、思考?を巡らせなければならないないなんて・・・。私は「他の薬局で買えばよかった」と少し後悔をしたのでした。

 

 
 

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