4日間の札幌滞在を終えて、私は高齢の親を見舞う50代の娘から、4歳と11歳の子供を育てるアラフィフママに戻りました。
札幌で風邪を引いて高熱が出ている息子を小児科につれて行き、薬を飲ませたり、「冷えピタ」を何度も張り替えたり、おしりに解熱剤を入れたり、と忙しくしていました。夫と娘にうつると困るので、なるべく近付けないようにし、夜は息子と2人で寝ました。当然のことですが、私にも風邪がうつり、札幌から帰った翌日に熱が出てしまいました。
その日は、熱が引かない息子と一緒に終日ベッドに寝ていました。翌朝は39度近い熱がありましたが、頑張って6時半に起床。娘のお弁当を作ろうとしたときです。珍しく、私より早く起きた娘が言いました。
「昨日ね、ダディに、ママが具合悪いから、夜のうちに自分でお弁当作りなさいって言われたの。で、自分で作ったんだよ」
「あら、そう、偉いわね。ありがとう」と少し驚いて、私は娘に礼をいいます。お弁当はすでにお弁当袋の中に入っていました。
「中身、見ていい?」と聞いてみました。
「うん!いいよ」とニコニコしながら、娘は自分で作ったお弁当を見せてくれました。
その二段弁当を見て、私は娘がいとおしくなりました。「そうだよなあ」と思いました。自分が好きなもので、簡単に作れて、そして、きれいに見えるもの、にしたのでしょう。
二段弁当の一段は、大好きなバジルペーストをからめたパスタがギチギチに詰まっていました。もう一段には、食欲が全くない息子のために買ってあったフルーツゼリーが入っています。冷蔵庫の一番取り出しやすいところに入れてあったものです。そのゼリーの横には、仕切りを挟んで、シャケフレークをまぶしたご飯が。ゼリーはケースに入れず、そのまま入っています。今は何となく形になっていますが、通学途中に揺れて、ゼリーの水分が仕切りの下から横にもれて、ご飯にしみるのは時間の問題でしょう。でも、せっかく初めて作ったお弁当にケチをつけるのは悪いような気がして、私は何も言えませんでした。
私は「おいしそうだね、写真撮らせて!」と言い、娘が初めて作ったお弁当として、記念にカメラでパチリと写真を撮りました。
さて、帰宅した娘。お弁当箱をキッチンに持って来て、こう言いました。
「ママ、ごめんね。ご飯食べられなかったの。もったいないけど、捨てていい? ゼリーがしみて、すごい気持ち悪い味なの」
「やっぱり」と思いながら、私は何食わぬ顔で、「あら、そう。今度から、お弁当にゼリーは入れないほうが良いかもね」と娘に言います。
「ご飯を無駄にしたら、目がつぶれるよ」と母に口が酸っぱくなるほど、言われて育った私。が、この日は母の教えに反し、私は目をつぶって、ご飯を捨てました。心の中で、「お母さん、教えを守らず、ごめんね。でも、ゼリー味のご飯はどうしても食べられない」と言い訳しながら。
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