2015年12月31日木曜日

2015年 私の挑戦 ベスト5 ①200㍍を走る

 「2015年 私の挑戦 ベスト5」のトップは、何と言っても200㍍を走ったことです。これは、事前の準備も心構えもない中での、アラフィフママの無謀過ぎる挑戦でした。が、私は走り切りました。たとえ、歩いているような速さで走ったとしても・・・。

 秋に開かれた、娘の運動会でのことです。この春、地元の公立小から、横浜のインターナショナルスクールに転校して初めての運動会。一事が万事、”ゆるい”インターですので、すべて、ギリギリになるまで分かりません。当然、父母へのお知らせもありません。娘が黄色のTシャツを着ることは前日に判明。慌てて、私のユニクロのTシャツを引っ張り出して、娘に着せたほどの、適当さです。

 プログラムは当日の朝、グラウンドの保護者席で配布。ですので、どの種目が何時にどこで行われるかもギリギリまで分かりませんでした。また、グラウンドに着くまで、保護者席はどこにあるのかも分からず、とにかく、すべてがきちんとしている日本の小学校の運動会とは全く違うため、とまどってばかりの運動会でした。

 4方に引っ張る綱引き、何回でも走れる徒競走、ただただゴールにボールを入れ続けるバスケットボールなど、度肝を抜かれる競技ばかり。整然とした、時に手に汗を握る日本の運動会とは違い、整列も行進も競争もない、こういう緩い運動会も良いなあと楽しんでいたときに、小学生の部の最後の競技になりました。父母も参加してくださいとアナウンスが入りました。

  出張中で来られなかった夫の代わりに、たまたま、スニーカーを履いていた私は、「試しに」と参加することにしました。娘もグラウンドから「ママ!」と呼んでいます。前年、地元の公立小で参加した、父母が力を合わせる「大玉運び」のような競技をイメージし、グラウンドに進みました。

 ところが、です。生徒と父母が集まったところで、リレーを走ることが判明したのです。それも、6人1組となり、1人200㍍、つまり、グラウンドを一周するというのです。組み分けには、日本の学校のように、男女バランス良く配置し、勝敗に極端な差がつかないようにするなどという配慮は全くなし。いかにも日頃鍛えていそうな、体の引き締まった父親たち6人がさっさと組を作ってしまいます。私は、あれよあれよという間に、母親がほとんどのチームに。もう、引き下がれません。

 誰も信じてくれませんが、私は小学校から高校までずっとリレーの選手でした。アンカーは走りませんでしたが、いつも1番走者か2番走者。前の走者を抜いていく、あの、たまらない感覚は忘れていません。ですので、たとえ、何十年走っていなくても、秘かな自信があったのです。

 私は3番走者でした。トラックを走る走者の順位が入れ替わるたびに、ゴール付近で待つ次の走者の、インコースからの順番が入れ替わります。昔の記憶が蘇ります。自分の組の走者が近づいてくると、左手を後ろに差し出し、少しずつ走りだします。バトンを左手で受け取り、そく、右手に持ち替え、前方を見て全速力で走る・・・はずでした。が、自分の体が覚えている動きと、実際の動きが違うのです。初めの30メートルぐらは走りました。「私もまだ、走れるんだ」と勘違いしそうになりました。が、その後が全く続かない。足が、動いてくれないのです。もたついているのです。

 そうこうするうちに、前の男性がころびました。私は、慌てて迂回します。そこで、インコースに入るつもりが、足がうまく動いてくれません。そして、次から次へと抜かされます。「なんで、足が動かないのよぉ!」と心の中で叫びながら、ゴールに向かって走っていると(観客には歩いているように見えたかもしれません)、前方に悠々と、いや、堂々と歩いている大柄な女性が見えました。娘のアメリカ人の同級生の母親です。私はその姿を見て、「さすが、アメリカ人」と感動すら覚えながら、ゴールまで走り切り、次の走者にバトンを渡したのです。

 「ママ、頑張ったね!」と娘に迎えられ、私は少し照れながら、保護者席に戻りました。気分は、爽快とまではいかないですが、「ナイス トライ!」と心の中で、一応、自分をほめました。

 このリレーには後日談があります。運動会の後に開かれた保護者会で、悠々と歩いていたアメリカ人の女性と、私の前で転んだ男性の奥さんと話をする機会があったのです。いずれも、娘の同級生の親です。

 アメリカ人の女性は言いました。「私はこの体格よ。走れるはずないじゃない。でも、息子にママ出てよ!と言われたら、出ないわけにいかないじゃない」。
 転んだ男性の奥さんは、「あの後、起き上がって、しばらく走ってまた、ころんだのよ。娘はダディ恥ずかしいっていうし。私はたくさんの知り合いに、旦那さん2度転んだけど大丈夫?って聞かれるし。もう、その話には触れないでって感じ・・・」と苦笑いしていました。

 お父さんもお母さんも、子供のために体を張って?頑張るんですね。
 

 

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