2024年2月7日水曜日

塾の先生の助言

  中学校受験3日目の朝、息子はなかなか起きてきませんでした。8時半の集合時間に余裕を持って着くように、「7時15分ぐらいには出よう」と声をかけましたが、布団をかぶったままです。何度か声をかけて、ようやく起きてきた息子は、疲れた表情で着替えました。朝食は息子の好きなおじやにしましたが、食も進みません。何とか食事を終えた息子と私を、夫が駅まで車で送ってくれます。

 車から出るときの夫の「Good Luck!」という声掛けにも、力ない返事をした息子。まだ笑顔もあり、冗談も言っていた前日とは違います。1日、2日ともに午前・午後に試験を受けているので、精神的にも疲れているのでしょう。ちなみに1日午前の学校は英語と面接、午後の学校は国語・算数。2日午前は英語・国語・算数、そして午後は英語でした。1日目午前と2日午後は同じ学校です。

 3日午前、向かったのは第2志望校です。この学校は、昨年行った学校説明会で私が最も感銘を受けた学校でした。学校説明会では、3人の生徒が自分たちが学校で学んでいることについて発表してくれました。そのうち2人は英語での発表。よどみない英語は、まるで娘が通っていたインターナショナルスクールの生徒たちの発表のようでした。この学校のレベルの高さが、見てとれました。学校祭にも息子を連れていきましたが、子供たちの表情が明るいのが印象的でした。

 この学校の試験科目は英・国・算の3教科プラス面接。算数は英語での出題でした。学校によって算数は英語で出題されるところと、日本語で出題されるところがありますので、息子もそれに応じて塾で対策を取ってきました。

 息子が今回受験する中学校のほとんどは、日本語で学ぶコースと、英語で学ぶコース、科学に特化したコースなど複数のコースを持っています。息子が今回、受験するのは算数・理科などの各教科を英語で学ぶコース。ですので、競争相手は帰国子女か英語にかなりの力を入れてきた子供になります。

 帰国子女(海外の滞在歴●年など条件がある)はすでに12月に実施される帰国子女枠で受験していますが、それで希望校から合格をいただけなかった子が、2月の一般枠で受験します。息子は、その生徒たちと競うという厳しい戦いをしています。

 何度かこのブログでも書きましたが、当初、息子は学校の選択肢がたくさんある通常の国語・算数・理科・社会の4教科で準備をしてきましたが、昨年の秋に、英語を含む受験に変更しました。ですので、最初から英・国・算で照準を定めた子供たちよりも、かなり出遅れました。

 3日の午前に受験した学校の定員は15人。この枠に、首都圏各地から帰国子女を含む受験生が殺到します。この枠に入るなど、奇跡に近いのですが、息子はこの学校で学ぶことを希望し、受験したのです。この日も英語・国語・算数・面接の試験を受ける息子を、試験会場に送り出しました。生徒たちの親が、子供の肩や腕に手を回し、それぞれの言葉がけをし、送り出す中、私は息子をぎゅっとハグをしました。息子はほとんど無表情で、試験会場へ向かいました。

 試験の時間が長いのと、自宅からはさほど遠くなかったので、一旦自宅に帰ることにしました。前日午前に受けた学校の結果は息子が試験を受けている間にネット上で発表されることになっています。自宅に戻り、発表時間にアクセスしました。合格発表は、受験番号とパスワードを入れて個々の結果が出るかたちと、従来のように番号がずらりと並び、その中で番号を探すというかたちがあります。今回は、並んだ番号の中で、息子の番号を探しました。何度見返しても、息子の番号は見当たりませんでした。

 続けて、前日午後に受験した学校の発表がありました。息子の受験番号とパスワードを入力します。「どうか、合格していますように!」と祈りながら、エンターを押しました。

「残念ながら、不合格です」。

 息子を迎えに行き、この結果を伝え、昼ご飯を食べさせ、次の学校に連れていかなければなりません。どうしよう、どう伝えよう。こんな思いをさせて、私は親としてどこで何を間違ったのか? 息子が6年間、のびのびと日本の学校で学べるように、中高一貫校の受験を選んだ。でも、それは間違っていたのだ。今日受験した15人の中に息子が入るとはとても思えない。どうやって、慰めたらいいのだろう?

 そうこうしているうちに、塾長先生から電話がありました。結果を伝えると、3日の午後の受験について、より簡単なほうを受験するようにアドバイスを受けました。1日2日の結果次第で、3日午後の受験校を決めようと、2校出願していました。そのうち1校は1日の午後に受験し、不合格だった学校です。この学校はもう一つの学校より合格をもらえやすいという理由で、先生は勧めます。でも、一度度落ちているところにもう一度受験しても本当に受かるだろうか? 息子はすでに1日午前に受験し不合格だった学校に2日午後に再チャレンジし、不合格になっています。まして、受験科目は国語・算数。息子の得意な英語が入っていない。

 もう一つの学校は、1日2日には受験しておらず、3日午後に初めての挑戦になります。人気が高まっている学校で受験科目は英語・国語・算数。3日午前の学校で英語・国語・算数・面接試験を受けた後での、3科目受験。試験が終わるのが5時半。翌4日に出願しているのは2校です。もし、3日目の2校で合格をもらえなかったら…。体力・気力がもう持たないかもしれない。とも考えました。

「先生、息子なりに3年間頑張ってきました。娘がインターナショナルスクールに行っておりますので、インターの選択も出来ました。でも、息子は日本人気質ですし、日本人のお友達の中でとてもうまくやっている。運動も好きなので、日本の中高一貫校で思う存分部活に打ち込んでほしいと思っていました。親としての私の選択の何が間違っていたのか、考えています」

「お母さま、お気持ちは分かります。が、そのお話は後にしましょう。まずは、息子さんに1校でも合格をいただだき、何とか、良い着地をさせなければなりません。中学校受験で苦い経験をし、仕切り直して地元の公立中学校へ行き、塾へ通い、高校受験をする。そこで、中学校受験の経験がトラウマになって、思う存分力を発揮できない子も実際にいます。それだけは、避けたい。今の段階では、そこを見据えて、今できることをしましょう」

 比較的入りやすいと言われている、国語・算数の2教科で受験する、1度不合格だった学校に再挑戦するか。それとも、初めて受験する、人気が高まっている学校で、英語・国語・算数の3科目受験にするかー。最終的に決めるのは息子ですが、私なりに、親として判断をすべきです。息子を迎えに行く時間になりました。まずは、息子にご飯を食べさせ、この話をうまく切り出さなければー。でも、堂々巡りの考えはまとまらないまま、学校に着いてしまいました。

 


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