2024年2月4日日曜日

苦戦

 中学受験2日目の午前は息子の第一希望の大学付属中学校でした。自宅から電車とバスを乗り継いで到着したその中学校は、人気が高く、校舎の前にはたくさんの親子がいました。

 前日受験した2校は、ホールで親子一緒に集合時間まで待ちましたが、この学校は校門の前で親子が分かれました。親が次々に「頑張ってね!」と激励して、子供を試験会場に送りだします。私も息子をぎゅっとハグし、送り出しました。

 子どもを見送った保護者らは、同じ敷地内の大学校舎に向かいます。そして、普段は大学生が講義を受けている大講義室で4時間ほど試験終了まで待ちます。本を読んでいる人、パソコンを開いて仕事をしている人、スマホを眺めている人、など様々です。

 私の気持ちは沈んでいました。前日午前と午後に受験した学校の試験結果が前日22時と23日にネット上で発表され、息子は2校とも不合格だったのです。各学校の合否発表ページに受験番号とパスワードを入力すると、「残念ですが、不合格です」とシンプルな言葉がポップアップされました。

 その結果を受け止めつつ翌朝を迎え、支度をして、息子と一緒に電車・バスを乗り継いで学校に向かいました。合否を気にしていた息子には「ママもまだ結果見ていないの。あなたが試験を受けている最中に見ようと思って」と伝えました。

 大講義室でパソコンを開いて作業をしていると(あまり集中できませんでした)、息子の塾から電話がありました。塾長先生からでした。

「昨日の結果はいかがでしたか?」

「2校ともダメだったんです。息子にはまだ伝えていませんが…」

「そうですか。で、今日の午後はどうなさいますか? 2校書かれていますね?」

どちらを受けても良いように、2校出願していました。2校とも前日受験した学校です。

 中学校受験では、偏差値が高く、人気が高い学校は1日しか試験日を設けていません。その学校に合格した生徒のほとんどが入学するため、生徒確保の心配がないからです。しかし、合格を出してもより人気の高い他校を選んでしまう生徒が多い学校では、2月1日午前午後、2日午前午後、3日、4日…などと複数の試験日を設けます。息子の場合、1日に受験した2校について、2日午後に出願していたのです。

「はい。いずれも昨日落ちた学校ですので、難しいかと思います。ですので、どちらにするかは息子に結果を伝えて選ばせたいと思います」

「以前お伝えしました通り、息子さんにとってこの受験は厳しい戦いになると予想されます。1日から4日までの受験校には、息子さんの現在の力で合格をいただける学校が入っていず、いずれも難しい、または、近年人気が高くなっている学校だからです。今日の午後は、●●をお勧めします。▲▲よりは、合格をいただける可能性があります」

「ご助言ありがとうございます。はい、試験が終わりましてから息子に聞いてみます」

 息子がこの日午前に受験したのは、英語・国語・算数の3科目。12時30分の試験終了時間が近付いてくると、親が次々と講義室を出ていきました。私も広げていたパソコンを閉じて、学校へ向かいました。校舎の前で子供を待っていたのは、何百人の親でした。「この日に向けて、必死に努力してきた子供たちの親なんだろうな。太刀打ちできないな…」と思いました。

 一人、二人と子供たちが出てきました。親に向かって安堵の笑顔を見せる子もいれば、きょろきょろと親を探す子もいます。我が息子は無表情で出てきました。私が近づくと、「よっ」といつもの一言。

「どうだった?」

「まぁまぁ、できたよ。昨日よりは出来た」

「そう、それは良かった。英語のエッセイのテーマは何?」

「これまで挑戦してきたことで、自分の考えがポジティブになった経験は何ですか?というような設問だった」

「そう。昨日の”幸せはお金で買えますか?”よりは書きやすそうなテーマだね」

「うん、結構書けたよ」

 この後、移動途中に前日の結果を息子に知らせました。息子は予想していたようでした。その上で前日午前に受験した学校をもう一度受けたいと言います。これは塾の先生が勧めた学校(合格する可能性がある)ではありませんでしたが、息子にはまだ挑戦したいという気持ちがありました。

 昼食を食べさせ、息子が選んだ学校に向かいました。15時の集合時間の1時間前に着きました。ホールに入ると、前日、見かけて印象に残った親子が幾人かいました。この子らは前日の「不合格」という判定を真摯に受け止め、再チャレンジしている子たちです。

 前日と同様、私は午前の試験では保護者控室で息子を待って、試験会場から戻ってくる息子を迎えて、昼食を食べさせ、次の学校まで息子を送り届けてから、自宅に戻りました。夫は夕方、息子を迎えにいく役割を担ってくれました。

 2日続けて午前午後と試験を受けた息子はさすがに疲れたらしく、午後9時ごろにはベッドに入りました。中学校受験は大変だな、と改めて思いました。2日の結果は翌日3日です。


 

 

 

 

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