2023年11月4日土曜日

胃がんを報告 娘の場合

  この2週間、いろいろなことがあり、ブログでの報告の順番が逆になりますが、関西の大学に通う娘に胃がんの報告をしたときのことをお伝えしたいと思います。

 娘に話をしたのは10月26日午後、国立がん研究センター中央病院の主治医から前週の内視鏡検査の結果について電話があった4日後でした。26日は娘の大学入試のズームでの面接日。この前に知らせて動揺して影響すると困るので、夫と相談し面接が終わってから報告することにしていたのです。

 がんのお母さんたちの会に参加すると、「子どもにどう伝えていいか分からない」というお母さんもいらっしゃいます。そのように子どもの心を気遣うお母さんに育てられた子どもなら大丈夫だとは思うのですが、話すタイミングについてはその子の性格により考える必要があるかもしれません。

 私の場合、主治医から電話で報告があった直後に、夫と息子に話しました。聞いた瞬間息子は泣きましたが、すぐ、ケロリとしましたし、その日のうちに「勉強しなさい!」「ユーチューブ見るの、もういい加減にしなさい!」と私に叱られる行動パターンに戻りました。息子は大丈夫だと思っていましたので、自然に話すことが出来ました。

 でも、娘の場合は繊細で物事を深く考える子なので、重要な面接は普通の精神状態で臨んでほしいと思いましたので、報告を4日間待ったのです。

 フェイスタイムで話しました。早期発見であること、腫瘍が小さければ内視鏡で取れること、最悪でも胃を3分の2切除だけで大丈夫であることを伝えました。娘は「何で別のがんになるの?」と涙をボロボロとこぼし、私の話を聞いていました。娘の心の在り様に影響しては困るので、「ママは大丈夫だからね。とにかく自分の夢に向かって進んでね。それがママにとって一番嬉しいことだから」と念を押しました。さらに、明るい見通しについて話しました。

「月曜日に先生から電話があったときは仰天したけど、昨日診察があって、胃外科と内視鏡科の先生とも話して、早期発見だという話を聞いて安心したの。この勝負、勝てるなと思ったよ」

「ママ、そういう受け止めは駄目だと思う。ママは、ネガティブにならなくてもいいところでネガティブになって、ネガティブに捉えて慎重にならなければならいところでポジティブになる性格だから。たとえ早期発見でも、がんだし、ママたくさん病気もしているから、慎重に受け止めて行動したほうがいいよ」

 娘にたしなめられました。

 確かに、「病院に入る前までは元気で、冗談を飛ばしていたのに」という話はよく聞きます。以前、入院していたとき「別荘に行ってくるわって、皆に言ってきたのよ」と強気だった女性が、大変な治療であちこちの臓器にも影響が出て、入院してきたときの美しさが治療でここまでになるのかーという外見に変わり、私もとても辛く悲しかったことを思い出します。

 で、病気に対する強気な態度を引っ込め、この新しいがんに対し、謙虚に対処することにしました。

 娘は小さいころから、体調の悪い私を見てきました。幼稚園のときは、ベッドに寝て点滴をする私の手を握り、側についていてくれました。小学生のときは、体調が急に悪化した私を見て「119」に電話をし「来ます!来ます!」と叫ぶだけの夫から(夫は、来てくださいと言いたかったのだと思います)受話器を取り、「ママが具合が悪くなって、動けないんです。うちの住所は……」と冷静に対応してくれました。床に横になったまま、娘の姿を見て、「これで、何かあっても大丈夫」と安心したものです。

 様々な経験を経て、娘は新しい病気には謙虚に対処すべきと母親を諭すほどに成長しました。あれこれと娘を心配した日々は、懐かしい思い出になりつつあります。

 

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