2023年11月12日日曜日

確定診断

 国立がん研究センター中央病院で11月8日、胃がんの確定診断を受けました。その日からいろいろ考えを巡らせていたため、報告が遅れました。このブログの前の2つ「3世代で回転ずしへ」「冬支度」は診断の後のことですので、報告の順番が前後しました。

 診断は10月26日のブログでお伝えしたように、胃の「印環細胞がん」で病期は1期でした。腫瘍の大きさは1.2㌢で、内視鏡手術で取ることができるようです。ただ、顕微鏡で確認し、予想より腫瘍が大きければ、外科手術となるでしょうということでした。先生は「内視鏡の検査を定期的にしていたので、早期に発見できました」と言い、完治を狙えると前向きな発言をしてくれました。

 原因について聞くと、ピロリ菌か以前行った放射線治療かもしれないとのこと。胃の印環細胞がんは予後が悪く、術後2年以内の再発は約50%、5年生存率は約30%と言われています。早期発見といえども、油断はできないなというのが本音です。ただ、治療できる段階で見つかったのは本当にありがたいことです。

 親しい友人から「悪性リンパ腫の再発より、ずっといいと思う」と言われ、本当にそうだなと思いました。悪性リンパ腫が今度再発したら、かなり厳しい治療になるのは必至ですので、内視鏡手術で取り切れることに感謝です。

 私が13年前に再々発の診断を受けたときは看護師さんが待合室に来て、入院の説明をしてくれました。が、今回は8階の相談支援センターというところで、説明してもらいました。

 相談支援センターは広々としていて、7,8人の相談員の方がいました。「今回初めての入院ですね」と担当者の女性。「いいえ、もう何度も入院しています」というと、「えっ?」と驚いてコンピューターを見ます。「最後に入院したのはいつですか?」「13年前です」「そうですか。3年以上経っていると、もう一度説明させていただくんです」とのこと。私もすっかり忘れていますので、ありがたいです。

 まずは入院中のスケジュールなどについて10分間のビデオを見ました。次に書類の記入。部屋は4人の患者がいる大部屋の窓側か通路側、そして4つランクがある個室のうち第1希望と第2希望を書くことになっています。一番高い最上階の個室は一泊の追加金額が11万円(税込み)します。もちろん、私は大部屋。大部屋は患者同士でおしゃべりができて、楽しいのです。以前は運が良ければ窓側になることがありました。今は追加料金が一泊6,600円もかかります。ちょっと高いですが、1週間ですし、気持ちが明るくなるよう窓側を選びました。

 私が入院していたときはパジャマ持参でしたが、病衣を選べるようになりました。実はこれは、私が要望書をご意見箱に入れて後、すぐ導入されたもの。家族がいない患者さんは体調が悪い中、コインランドリーで洗濯をするのがとても大変なので病衣を取り入れてほしいと書きました。何だか嬉しくて、「病衣は10数年前、私が要望書を書いて導入されたんですよ」と心の中で、ちょっぴり自慢げにつぶやきました。いま、ここにいる職員の方々はおそらく、そのころはこの病院にいなかったでしょう。私はもう20年もここに通っている、古参の患者なのです。

 付き添ってくれた夫が、窓から外を見ます。「築地市場、なくなっちゃったね。君を見舞った帰り、お母さんとあそこに行ってお寿司を食べたんだよ」。長い年月の間に、築地も変わりました。

 看護師さんからも説明を受けました。一定金額以上の治療費については健康保険組合が負担してくれる高額療養費制度の説明もありました。この制度は知らない人も多く、説明してくれない病院もあるらしく、やはりがん研究センターはしっかりしているなと思いました。

 看護師さんからは「今回、先生からどのような説明を受けましたか?」「分からないことはありましか?」と聞かれました。患者がどれぐらい理解できているのか、確認しているのですね。気が動転して、大切なことを聞き逃した患者さんもいると思いますので、こういう対話は重要だなと改めて思いました。

 このようにいろいろチェックして、患者感覚をアップデートしました。私はがん患者さんへの情報発信についての研究をしていますので、最新の患者感覚を持つのはとても大切です。今回は新しいがんを罹患し、情報収集もたくさんしましたので、新たにがんと診断された患者さんが病院やインターネットでどれくらい情報収集できるのか、確認できてよかったです。

 朝9時の診察でしたが、お会計を済ませると11時半になっていました。その日は午後から講義があったので私は大学へ。夫は会社に向かいました。

 夜は月2,3回は夫と一緒にいく近所のバーに行き、「とりあえず、早くに見つかって手術も内視鏡でできるから、よかった」と乾杯しました。マスターに事情を説明すると、驚いたようでしたが、「早期発見良かったです。これは私のおごりです」とスパークリングワインを1杯ごちそうしてくれました。

 がんを甘く見てはいけないですが、落ち込んでいいことはありません。ポジティブに対処していくつもりです。

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