2022年5月27日金曜日

藤井さんのヴァイオリン

  息子が昨日、音楽の時間に皆の前で演奏するのだと言い、ヴァイオリンを学校に持っていきました。息子は2歳半からずっと週に1度ヴァイオリンを習っていますが、いつまでたっても、やる気が出ませんでした。でも、あることがきっかけで、ヴァイオリンが弾けることに誇りを持ち始めたのです。私の敬愛する先輩・藤井さんから、貴重なヴァイオリンを引き継いだときからです。

藤井さんのヴァイオリンで練習する息子

 藤井さんは私が北海道新聞に勤務していたとき、厚生労働省記者クラブで席を並べていた女性記者です。他紙の記者でしたが、取材の仕方、記事のまとめ方、企画記事の組み立て方など、たくさんのことを教えてくれました。

 ちょうど、藤井さんと担当が一緒だった時期に私はがんを発病しました。治療途中で復帰し、抗がん剤の副作用で体調が悪かったときも、仕事もメンタルな面でも助けてもらいました。私が退社した後も、ずっとお付き合いをさせていただいています。

 藤井さんは定年退職され、今は、九州で若手の女性リーダーたちを育成しています。そして、所属していたオーケストラも辞め、ヴァイオリンをどなたかに引き継ごうと考えていらっしゃったときに、私から、息子へ譲っていたたけないでしょうか? とお願いしたのです。

 藤井さんは私の申し出をとても喜んでくれ、ヴァイオリンをわざわざ調整して、息子に贈ってくれました。とても高価なヴァイオリンで、もちろん、お代はお支払いするつもりでお願いしたのですが、藤井さんは「私のヴァイオリンを弾いてくれるのが嬉しいから」とお代はいらないと仰います。お気持ちがとてもありがたく、お言葉に甘えて、ありがたく引き継がせていただきました。

 我が家は娘もヴァイオリンを弾いていて、学校のオーケストラに所属しています。ヴァイオリンが届いたとき、娘もそれは喜んで、息子と一緒にZoomで藤井さんに演奏を披露しました。藤井さんは、とても喜んでくれました。今度、発表会があったとき、藤井さんをご招待したい!と娘も息子も張り切っています。

 藤井さんのヴァイオリンはイタリア製で、音色がとても華やかです。音は弾き手によって変わるので、娘が弾くと、それは美しいのです。息子は技術がまだまだですので、本来の音は出せません。でも、いつか美しい音を出せるようになってほしいと期待しています。

 昨日はクラスメートの前で弾き、皆に「すごい!」と言われたそうで、息子は誇らしげでした。藤井さんが愛用してきたヴァイオリンはこうして、マイヤー家で大切に引き継がせていただきました。将来、息子や娘の子どもたちが弾いてくれることを、私は夢見ています。

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