2022年5月21日土曜日

プロムの日に ②

  子どもが受け入れてくれるからって、いつまでも子どもについて行くのはやめようー。昨日行われた、娘のプロム(ダンスパーティ)はそんなことに気付かされた日でした。

 プロムの前夜、娘から急に「ママ、プロムは終わる時間が9時過ぎるし、遅いからそのままレイの家に泊まっていい?」と聞かれました。

 娘は、午前中の授業が終わった後は学校から比較的近いレイちゃんの家で着替えをして、プロムの前の記念写真撮影に行くというスケジュールを立てていて、それは聞いていました。でも、そのままお泊りというのは聞いていません。

「えっ?それいつ計画したの?」

「一週間前ぐらいから、レイと話していて、お母さんにもOKもらっているよ」

「そうなんだ、ママ、プロムの会場まで迎えに行こうと思っていたんだけど」

「そうなの? じゃあ、迎えに来てもらおうかな」

 もしかしたら、娘は海外の大学に行ってしまうかもしれませんので、今、娘に関われる機会があれば、関わりたいと思っています。が、プロムの会場に迎えに行くのは邪道かもしれません。娘に再度確認しました。

「本当に迎えに行っていいの?」

「もちろん! プロムの後は皆二次会っていうの?それを計画しているみたいで、私も誘われたんだけど、私はレイと一緒にお泊りしたほうが楽しいから、断ったの。でも、ママが迎えに来てくれるなら、帰るよ。友達とパーティに行って、そのままお泊りすることはこれからたくさんあると思うけど、ママが迎えに来てくれるのはこれから数えるほどしかないと思う。そっちの方が大切だから」

 娘はこういうところが、優しい。人の気持ちを汲み取ることが出来るのです。娘の素直さに心が癒されましたが、一方で、高2の子の親としては私は子離れできていないかもしれないーとも思ったのです。

 でも、娘が楽しそうにパーティ会場から出てくる様子もやはり見てみたい。他の親は行くかどうかも分かりません。結局、前の晩は迎えにいくという結論になりました。

 そして、昨日。レイちゃんのお母さんも写真撮影の場に行くというので、4人でランチをすることにしました。ランチの後は、子どもたちが着替えをして写真撮影の場所に行くまでどこかで時間をつぶそうと思っていました。すると、お母さんが「うちに一緒に来る?」と誘ってくれました。「いいの?」「もちろん!昨日、家の中を掃除したの。うふっ」。レイちゃんのお母さんは気さくな人なのです。

 マンションにお邪魔し、着替えを手伝いました。お母さんは嬉しそうにレイちゃんにメイクをし、髪を整えてあげています。娘は私よりずっとメイクも髪の手入れも上手ですので、「ママ、手伝おうか?」と聞いても、「ママはメイク下手だから、大丈夫」。で、私はカメラマン役に徹しました。

 お母さんは、娘に対しても、自分の娘に接するようにしてくれて、とても安心できました。「今日、泊まっていく?」と聞かれ、「いいの? じゃあ、お願いします」と、すんなりとお願いすることが出来ました。娘がレイちゃんと会場から楽しそうに出てきて、そのまま電車に乗り、レイちゃんの家に来て2人だけの”二次会”を楽しむ様子が目に浮かんだのです。

 さて、夜、10時半ごろ、娘からフェイスタイム(ビデオ電話)がありました。シャワーをあびて、スッキリした様子です。「パジャマ借りたの」とご機嫌です。プロムはとても楽しかったこと、会場は素敵だったこと、料理についても詳しく報告してくれました。

「大きな皿に、ホタテ一個と葉っぱがちょこんとついているという感じ。カモ肉の量が多かったから、お腹いっぱいになった。デザートはチーズスフレでめっちゃ美味しかったよ」

「いっぱい音楽がかかって、11年生も12年生も一緒になって踊って、歌ったの。にぎやかで、本当に楽しかった。カップルで来た子はね、スローダンス躍ったんだよ。素敵だったよ」

 そして、カップルの中で、学年で一番頭が良く皆の世話役の学年委員をしている女子とその子を誘ってカップルになった男子の話をしてくれました。そのカップルのお母さんたちとも、私はランチをしたり、お茶をしたりしており、よく知っています。

 「〇〇(女子)のドレスは、●●(男子)のお母さんが決めたらしいよ。男子のお母さんが、ドレス選びをするのってユニークだよね」

 内実はどうか分かりませんが、きっと、お母さん同士で事前に話し合いでもしていたのかもしれません。そのお母さんたちも写真撮影の場所に来ていましたので、私のように「子どもたちに出来るだけ関わりたい」と思っているのでしょう。娘に聞いてみました。

「お母さんたちで誰か、会場に迎えに来ていた?」

「ううん、一人もいなかったよ」

 ああ、良かった、迎えに行かなくてー。と私は胸をなで下ろしました。レイちゃんの家で一晩お世話になる判断をして良かったーとつくづく思いました。会場に迎えに行けば行ったで、娘は機嫌良く「ママ~」といって、腕に手を回して一緒に帰ってくれるでしょう。でも、やはり、それはしないほうが良いのです。

 「レイがね、帰りのタクシー代1200円払ってくれたの。で、お返しに私がおやつを買ったの。それを食べながらこれから映画を見るところ」と娘が言います。後ろからレイちゃんが私に手を振ってくれました。

 2人だけのプロムの二次会はきっと、深夜まで続いたに違いありません。娘のプロムは、親の私にとっても、とても楽しく、そして子への関わりについて学んだイベントだったのでした。

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