2020年6月7日日曜日

母入院

 母が入院しました。4日間高熱が続いた後、最寄りの病院に連れて行き、その日に入院となりました。幸い、新型コロナウイルス感染症ではありませんでした。

 「38度の熱があるの」と母から連絡があったのは5月28日木曜日。翌29日、様子を見に行くと少しやつれ気味でしたが、薄茶を点ててくれました。「今日は胃カメラの検査の予定だったんだけど、熱が出たらできませんと言われていたから、さっきキャンセルの電話をしたの。膀胱炎の症状があって、気持ちが悪い」と言います。とりあえず、解熱剤と膀胱炎に効くという漢方薬をドラッグストアに買いに行きました。

 翌30日土曜日、夕ご飯の差し入れを持って様子を見に行くとマンションにいません。どうしたんだろう?と不安になり始め、マンションの外に出ると、母が帰ってきました。「リンゴが食べたかったから、買いに行ったの。でも、熱が38度から下がらない」と言います。「買い物行けるなら大丈夫かな?」と判断し、帰宅しました。私は前日の夜から、「生物統計学」の中間試験に取り組んでいました。

 母からSOSが来たのは31日日曜日の夜7時過ぎです。「熱が39度になった」と訴えます。すぐ電話を切り、夫に様子を見に行ってもらい、私はまず東京都の新型コロナウイルス感染症の相談窓口に電話しました。母の症状を説明すると、「かかりつけのお医者さんに電話をしてみてください」と言います。4日連続38度以上の発熱だと、診察を断られる確率は高いかもしれないと思いつつ、母のかかっている病院に電話をしました。

 その病院は、私の自宅から徒歩10分のところにある、二次救急指定病院です。そこで母は内科と外科にかかっていました。電話に出た受付の男性に、母が「逆流性食道炎」で通院していること、29日に胃カメラ検査の予定でしたが病院から「熱が出たら電話をください」と言われて、キャンセルしたことを説明。繰り返し、「病院から”熱が出たら来ないでください”と言われていた」と伝えました。

 さらに、「母は外出もほとんどしていなく、接触しているのは私たち家族だけ。私たちもほとんど外出してない。新型コロナウイルスに感染している可能性はとても低い」と強調しました。「逆流性食道炎が悪化したのかもしれません!母は病院に遠慮して、熱が出ても我慢していました。診察をしてください!」と訴え、ようやく「先生に聞いてみます」と言ってもらえました。

 しばらくして、受付の男性が電話口に戻ってきました。「では、連れてきてください。付き添いの方はマスクを忘れずに」。安堵しました。正直に告白しましょう。私の口調は強引でした。でも、それくらいでないと、このご時世、救急患者は引き受けてもらえないと考えました。ですので、とにかく引き受けてくれるまで諦めない、引き下がらない、電話を切らないと決めていました。

 夫から電話にメッセージがあり、「オカアサンはかなり悪そうだ」と言います。車で母と夫を迎えに行き、病院へ。車の中で母が言います。「やっぱり、普段から病院に行っておくとこういうときにちゃんと引き受けてくれるんだね」。私の”努力”は買ってもらえませんでした。昨年、母に気に入ってもらえるよう懸命にマンションを探したときも、「こんなに良いマンションが見つかったのは、ご先祖様のお陰」、今回近くの救急病院に行けたのも「日頃の自分の行動が適切だったから」。ああ、「あんたのお陰で」がなくて残念だなぁと思いましたが、まぁ、とにかく最寄りの病院で診てもらえるので、良しとしましょう。

 院内はしんとしていました。まずはCT検査をして、肺に異常がないかを確認。医師は「新型コロナウイルス感染による熱ではないでしょう」と説明。が、血液検査では白血球の値と炎症反応を示すCRPという項目の数値が高いことから「細菌が体内に入ったことにより、免疫が働いて高熱になっていると考えられます」とのこと。まずは、新型コロナウイルス感染ではないことに、胸を撫で下ろしました。

 最初は「解熱剤と抗生剤を処方します。今日は帰宅して、明朝泌尿器科受診を」と言われましたが、母が「手が震えるんです」と訴えると、医師の表情が変わり、「では、入院して様子を見ましょう」と言われました。安堵しました。入院してくれれば、医師・看護師の方々に頻繁にみてもらえますので、安心です。

 病院に来る途中、母に「病院から帰ったら、とりあえず家に来て」と頼みましたが、「あんたの家は落ち着かないから、自分のうちに帰る。あんたがうちに来て付き添ってくれたほうが良い」と言われていました。私は翌日提出の中間試験に取り組んでいる最中で、母にはもちろん大学院に行っているなどという余計なことは話していませんので、「困ったなぁ」と思っていたところ。ご先祖様ならぬ、あの世の父の采配でしょう。

 翌日、泌尿器科の医師から「腎盂腎炎」という診断の説明を受けました。母はその後、少しずつ回復しています。ご飯も翌日からしっかり食べていると看護師さんが説明してくれました。

 新型コロナ対策でお見舞いは出来ませんが、毎日、洗濯物や果物などを届けています。洗濯物の受け渡しのときに、母が正面玄関の近くに立って待っていてくれ、私に手を振ってくれます。私が行けないときは、子どもたちに病院に行ってもらいます。

 今回の入院で、母から「引き出しに入っている下着を持ってきて」などといくつか頼まれましたが、母は私と違って整理整頓が得意なので、すぐ、探せるので助かりました。また、気丈な人なので「トイレが大変だったらオムツを使ってくださいね」と看護師さんに言われながら、「トイレは絶対に自分で行く!」と頑張ってくれているようです。また、「ベッドに寝てばっかりで歩けなくなると困るから、廊下を歩いているの」とのこと。
 
娘が母のために作った「ボーロ」。口の中でほろりと溶けるので、入れ歯の母にも食べやすい
新型コロナの札幌での感染拡大、そして、今回の母の入院…。もし、母がまだ札幌にいたなら気が気でなかっただろうなと想像すると、昨夏母をこちらに連れてきて良かったとつくづく思います。81歳での引っ越しは大変でしたが、母も「思い切って本当に良かった」と思ってくれているようです。熱はなかなかすっきりとは下がりませんが、体力があまり落ちないうちに退院してくれれば良いなと願っています。

0 件のコメント: