メルボルンから帰国して間もなく、ママ友2人と夕ご飯を食べました。豪雨となった10日です。中2の息子が通っていたインターのプレスクールのママ友です。会ったのは本当に久しぶり。1人は事業を興し、もう1人はフルタイムで働き出しており、その明るく前向きな暮らしぶりを聞いて、私も元気をもらいました。
久しぶりに会ったSちゃんに、「お母様、お元気?京都芸術大学で学ばれていたよね。相変わらずおしゃれ?」と聞くと、Sちゃんは「えっ、それ私の母じゃないかも。まぁ、おしゃれは好きだけど」とにっこり。あっ、しまった!最近、立て続けにある”記憶間違い”です。
でも、素敵なお洋服を着こなしたお母さんとSちゃんが一緒に歩いている姿は記憶に残っています。そして、お母さんが70代になってから京都芸大に入り直して、染め物について学んでいるといる具体的な記憶もあります。おそらく、記憶の中にあるおしゃれな人がSちゃんのお母さんで、同じプレスクールに通っていた他のママさんのお母さんが大学に行っていたのでしょう。
こういうことがあると、私の記憶は当てにならないなぁとつくづく思います。そして、最近は人の名前が思い出せないことも増えました。少し前に、何回も我が家のリフォームをしていただいている建築士さんの名前を夫も私も思い出せず、夜考え続けても思い出せず、とりあえず寝たら朝、目覚めた瞬間に思い出したということもありました。
今朝は、1週間ほどどうしても思い出せなかったことをあるきっかけで思い出しました。というか、現物が出てきました。長い話になりますので、お付き合いください。
オーストラリアに行く前、「するべきことリスト」をこなしている中、図書館で借りていた絵本2冊を出発直前に返却しました。2冊とも息子に読み聞かせ、1冊があまりよくなく、もう1冊がとても良かった本です。
その本を先週の小学校での絵本の読み聞かせで読もうと思ったら、どうしてもタイトルが思い出せない。どこかに記したはずで、記したという記憶もあります。手帳や日記など思い当たるところを全部調べても、ありません。
そして、すごいことに、良い本だったことは覚えているのですが、どんな内容だったかも、何が絵本に出てきたかも、さっぱりと忘れているのです。探し当てるための、きっかけさえつかめない状態でした。
まずは、息子に聞きました。
「ママがメルボルンに行く前に絵本を読み聞かせたでしょう?良い本だって言ってくれたけど、内容覚えている?」
「まったく、覚えていない」
「何が出てきたか、とか。きっかけになりそうなものは覚えていない?」
「まったく、覚えていない」
まぁ、そうでしょう。息子にとっては、母親の絵本の読み聞かせに付き合わされただけのですから。
さて、ここから私は”リサーチ”を始めました。まずは、図書館のウェブサイトの「マイページ」です。そこでは自分の借りている本や予約している本が分かり、本の検索も出来ます。本を「お気に入り」に登録できます。でも、自分の借りた本の履歴がなぜか出てこない。
覚えているのは図書館の絵本の部屋の「雨」のコーナーに展示されていた本だったということ。さっそく、検索で「雨」「あめ」「つゆ」など入れてみました。ずらりと出てきた書誌の中に、借りた2冊の本の中で、あまり良くなかった1冊の本が出てきました。でも、良かったもう1冊がどう検索しても出てきません。
図書館に電話をし、まずは借りた本の履歴はどう見るのかー聞いてみました。すると、「現在、お借りになっている本の履歴は出てきますが、返却された本の履歴は消えてしまいます。ですので、覚えておきたい本は”お気に入り”にご登録ください」とのこと。
そうか、履歴に残らないのかぁ。あとは、6月の「雨」にちなんだ絵本を紹介するコーナーから、その本を借りた記憶しかありません。
「すみません、先月の雨の絵本のコーナーにあった本がとても良い本だったので絵本の読み聞かせに使いたいと思っているのですが、タイトルも、恥ずかしながら内容も思い出せず、ウェブで検索しても分からないので、お電話をしていました」
「そうですか。何か絵本に出てきた動物とか、虫とか、思い出せることはありますか?そこからですと、探せるかもしれません」
「それが、本当にお恥ずかしいのですが、良い本だったこと以外、何も覚えていないんです。でも、何とか思い出したく、このようにお電話をしているのですが…」
こういう電話に、図書館の担当者はそれは誠実でした。
「そうですか。私は絵本のコーナーの担当ではなく、今、担当者が席を外しているので、折り返しお電話させていただいてもいいですか?」
「はい、よろしくお願いします」
まもなく、絵本のコーナーの担当者からお電話をいただきました。「絵本をお探しと伺いました。6月にご紹介した絵本は100冊以上あります。雨にまつわる本ですので、カタツムリとかカエルとか、出てきたもののご記憶はありますか?」
「それが、良い本だったことしか記憶になくて…。お恥ずかしい話なのですが。そのリストは見せていただくことは出来ますか?」
「内部の資料なのでお渡しすることは出来ませんが、こちらにいらしていただければお見せすることは出来ますよ」
「では、今度伺います。何かに書き留めたはずなのですが、それも思い出せなくて…」
「そうですか! 書き留められたのですね。それが見つかると良いですね」
そして、今日、図書館に予約をした絵本を取りに行く前に、たまたまダイニングテーブルの上に散らかっていた息子の学校の紙類を整理し、テーブル下の引き出しに入れたとき。ふと思いつき、全部の引き出しを確認したら、なんと、一番下の引き出しに、ドーンとその絵本の表紙のカラーコピーがありました。そして、絵本の読書日記の中に記した、息子の感想も。その感想には、表紙を縮小コピーして切り取ったものさえ貼り付けてあります。
これほど、丁寧に記録をしている絵本のタイトルも内容も、読書日記に記録したことも思い出せないなんて…と自分にあきれました。でも、思い出せて良かった。これから、借りに行き、もう一度この絵本を味わいたいと思います。
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良かった絵本のコピーと読書日記。日記の右は娘が小学生のときに書いたもの、左は息子が今回書いたもの。「本の中でも、まだまだあいてのしょうたいがわからないのがおもしろい。小4までいける」。中2が書いたとは思えない、ひらがなばかりの感想ですが、「小4までいける」と私の読み聞かせへのコメントが嬉しい |