2021年12月1日水曜日

「空気読めない?」

  小4の息子が通う地元の公立小学校では、3年生の3学期から多くの子どもが中学校受験に向け塾通いを始めます。息子も、息子のお友達も、近所の同級生も皆どこかの塾に通っていて、塾に行っていない子はほとんどいません。ですので、放課後にお友達と遊ぶことがほとんどなくなってしまいました。

 先日、久しぶりに学校が早く終わる日がありました。夜6時15分から始まる水泳教室まで時間がありましたので、前日息子に「誰かお友達を誘って、公園にでも行っておいで!」と勧めました。息子は「うん!同じクラスの子に声かけてみる」と嬉しそうでした。

 翌日の放課後、息子にお菓子を持たせて送り出しました。息子は張り切って自転車に乗って出かけました。ところがしばらくして、息子が落ち込んだ様子で帰ってきてしまったのです。

「どうしたの? お友達いなかったの?」

「いや、いたよ」

「皆ゲームを持ってきていて最初は皆がゲームをやっているのを見ていただけ。『せっかく公園に来たから、遊ぼうよ』って誘って、『どろけい』をすることになったんだ」

 「どろけい」は、子供たちの間で人気の、泥棒と警察の2グループに分かれて遊ぶ鬼ごっこです。

「楽しそうじゃない」

「うん、最初は楽しかったんだ。でも、しばらくして、誰も探しに来ないから、様子見に行ったら、皆ゲームに戻っていて『とっくの前に終わっている』と言われた。だから、帰ってきたんだ」と残念そうな顔で言います。

 息子は外遊びが大好きですが、どうもお友達は皆ゲームとかが好きなようで、一緒に遊んでくれないようなのです。

 その話を夜、娘にしてみました。娘は「私もそういうことよくあったなぁ。私たち、空気読めないのかなぁ」と苦笑いします。

 私も遠い昔のことを思い出しました。小学生のときです。お友達にグラウンドで遊ぼうと誘われて、喜んで行ったら、誰もいなかった。グラウンドの端にあった鉄棒にぶら下がってグラウンドを眺めました。結局、待っても、待っても誰も来ませんでした。今でも、折々に悲しい気持ちで眺めた広いグラウンドを思い出します。

 息子も将来、待っても待っても友達が探しに来ない広い公園のことを思い出すのかなぁと考えると、ちょっぴり切なくなりました。

 娘の言葉に呼応し、「ママも同じだよ。友達に誘われてグラウンドに行ったけど、誰もいなかった。寂しいよね、そういうときって」と言うと、娘が「じゃあ、3人とも空気読めないのかなぁ?」「そうだね」と3人で大笑いしました。

 少ししてから、息子がまた寂しそうな表情に戻り寝室に行ってしまいました。様子を見に行くと、息子はベッドにもぐりこんでいます。布団をひっくり返して、ぎゅっとハグしました。息子はまだ、抱き締められるくらい小さくて(181㌢の娘をハグするときは背伸びし、娘も前かがみになります)、愛おしさで胸がいっぱいになりました。

 息子にとっては少し寂しい日でしたが、娘と3人でそれを笑って受け止め、穏やかに一日を終えることができました。たぶん、これで息子は大丈夫だと思うようにしています。

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