2020年8月14日金曜日

お盆は母と二人で

 盆の入りの8月13日は、母と過ごしました。昨年の夏の終わりに東京に引っ越してきた母にとって、東京で迎える初めてのお盆です。

 毎年、父の遺骨を納めてあるお寺にお参りに行っていたのですが、今年は出来ません。お盆にはご先祖様が帰ってくると言います。父は迷わず、こちらに来てくれるかな。札幌の自宅に間違って戻り、「あれっ、今年は誰もいないな?」と寂しがっていないかな、と心配になりました。父に「今年は東京で待ってるよ」と伝えるため、母の寝室にある仏壇のりんをいつもより大きく鳴らしました。

 「お昼ご飯、お寿司とる? それとも出掛ける?」と聞くと、母は「ずっと出掛けていないから、たまに外で食べたい」と言います。新型コロナウイルス感染を防ぐため、スーパーや病院に行く以外はずっと家にいた母。たまに外食をしたい気分になったようです。

 隣駅の商店街にある、老舗のお蕎麦屋さんに行くことにしました。おしゃれなノースリーブのワンピースに着替えた母は、「そうそう、帽子をかぶろう。これ、あちこちで褒められるんだよ」と言い、クローゼットから見覚えのある麦わら帽子を取り出してきました。

「お母さん、これ、あの麦わら帽子だね。旅行に行く前に買った帽子。行けなくて残念だったけど」と私。

 3年前、夫と私は母の傘寿のお祝いにオーストリア・ハンガリー旅行を計画していました。が、直前に母が体調を崩して、キャンセルになったのです。(参照:「母の麦わら帽子」http://ar50-mom.blogspot.com/2017/09/blog-post.html

 その麦わら帽子を被った母と商店街を歩きました。他愛のないおしゃべりをしながら、お蕎麦屋さんで「天ぷら蕎麦」を、おしゃれなケーキ屋さんで「桃のタルト」を食べました。

 「ほら、見てごらん。みんなこの桃のタルト食べてるよ。一番美味しそうだったからね」と母は周りを見渡しながら、嬉しそうです。カントリー調の店内は明るく、ゆったりとしたつくりです。そして、そのタルトの美味しかったこと。

 私にとって切ない思い出をまとっていた母の麦わら帽子。でも、昨日の外出で、母と、美味しいお蕎麦と桃のタルトを食べて、おしゃべりを楽しんだ暑い夏の日をの思い起こさせるものになりそうです。

お気に入りの麦わら帽子を被って歩く母

 サングラスの飾りがついた麦わら帽子は、母によく似合っていました。

 

 

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