2016年12月28日水曜日

雪が恋しい

 パソコンのオペレーションシステム(OS)・Windows7が、Windows10に自動更新されて半年。更新後は電源を入れるたびに、画面に写真が映し出されるようになりました。風景写真が多く、定期的に更新されますが、どれもこれも好きではありませんでした。

 なぜ好きではないのか? 美しい風景なのに、自然ではない。色のコントラストが極端だったり、風景そのものが異様だったり、作り込み過ぎている感じがするのです。デジタルカメラで撮影した写真は修整することが容易なため、加工し過ぎてしまい、不自然な出来になってしまうのかもしれません。少なくとも私は、勝手に送られてくる写真の多くについて、そういう感想を持っています。

 そのような中、2週間ほど前に好みの風景が画面に現れました。森に密生した針葉樹に雪が降り積もっている写真です。「この写真、好きだなあ」と思いました。他の写真に比べて躍動感もダイナミックさも感じられませんでしたが、その”しんとした”感じが実に良かった。

   「何だ、私は単に雪国の風景が好きなんだ」
    はっとさせられました。熱帯の森林も、西欧の美しい街並みも、荒波の中に切り立つ岸壁も、霧の中に浮かぶ灯台も、私の胸を打たない。やはり、生まれ育った土地を彷彿させる風景が好きなのだ、と気付きました。
 
   故郷から遠く離れた土地に居を構えた。「冬は雪がないほうが、ずっと楽」と長らく思っていたのに、気付いたら、雪が無性に恋しい。冬場に故郷に帰れない期間が長かったため、「故郷イコール雪」という気持ちになっているのかも知れません。

   先日、約10年ぶりに、12月の札幌に帰省しました。東京に帰る日、札幌から新千歳空港に向かうバスの窓から見えた風景に、胸を打たれました。思わず、バッグからスマートフォンを取り出し、カシャカシャと写真を写しました。

 「この景色を、今度はいつ見られるのだろう」
 そう考えると、少し切ない気持ちになりました。

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