2024年7月16日火曜日

グローブ

  中学生になってから、めっきり口数が少なくなった息子。1カ月前に帰国した娘は「私がオーストラリアに行っているこの数カ月間に、すっかり変わってしまった」と落胆するほどです。

 小学校時代の笑顔も、優しさも、楽しいおしゃべりも無表情の陰に隠れてしまいました。中学校受験の弊害かもしれないと後悔の日々。中学校受験ですっかり変わってしまった子供たちを前に、苦悩する親の体験談を探しては読み、親として別の選択肢があったのではと思わない日はありません。

「あの子の良いところが、ほとんどなくなってしまった」と嘆く娘。それでも、娘と一緒にいるときは時に大笑いし、おしゃべりもします。そんな二人の姿を見て、胸をなで下ろします。

 息子は平日の朝は、6時過ぎには起きて、パソコンを開いてゲームをします。ひとしきりゲームを終えた後は登校の準備をし、午前7時過ぎに家を出ます。学校に登録してある「安心でんしょばと」という子供の登下校時間を知らせるメールが7時50分過ぎに私の携帯電話に届きます。

 週3回はバスケットボールの部活に出ます。その日は「安心でんしょばと」から午後6時過ぎに学校を出たという連絡メールが来ます。部活のない日は友達とスターバックスやコンビニエンスストアに寄る日もあるようです。中学生になって変わってしまった息子ですが、こうして毎日、学校に行ってくれるだけで良いと思うようにしています。

 それでも、「ぎゅっして!」とハグをすると、拒否することはありません。「大好きだよ」と言うと、しばらく間を置いてではありますが、「大好きだよ」と言い返してくれます。だから、毎日、ハグをします。ハグをしてもまだ嫌がらないでくれるー。だから、「これで十分」と自分に言い聞かせています。

 今朝、朝食をとりながら、「ママとの一番の思い出は何?」と聞いてみました。「朝から、うざい」という表情をしましたが、息子の道具がいろいろ置いてある玄関に行って、あるものを取ってきて、無言で差し出しました。野球のグローブでした。

 私は昔ソフトボールをしていたことから、男の子が出来たらキャッチボールをしようと夢見てました。息子にも野球のグローブを買い与え、近くの広場でよくキャッチボールをしました。お父さんとキャッチボールやサッカーをしている小学生はたくさんいましたが、お母さんとしている子は誰もいませんでした。が、息子は嫌がらず、私とキャッチボールをしてくれました。


 私にとって大切な思い出を、息子もそう思ってくれたんだー。「これで十分じゃない?」と私はまた、自分に言い聞かせたのでした。

 

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