今年は元同僚に会う機会に恵まれてます。月曜日は、新聞社時代の同僚Tさんと朝ご飯を食べました。
Tさんは横浜出身で大学も東京ですが、生まれ故郷で過ごした年月よりも長く北海道で暮らしています。私たちが若いころは仲間たちと一緒に鍋を囲んだり、飲みに行ったり、と楽しく遊びました。
4,5年前にお父様を、2年前にお母様を亡くされました。今回はお母様の3回忌でこちらに戻ってきました。
「いやぁ、暑いなぁ」とTさん。Tさんは私より3歳年下ですが、もうそろそろ定年後のことを考え始めているようです。
「定年延長するの?」
「一応は63歳まで働くつもりだよ」
「それって、お給料下がるんだよね」
「うん、うちの会社は60歳が定年だからね、その後は63歳まで雇用延長という形で会社にいられるんだ。給料は半分ぐらいだと思うよ。でも、僕は取り立てて才能もあるわけではないから、このまま働かせてもらおうと思う」
Tさんは若いころは外勤記者として取材・執筆し、中堅となってからは校閲や整理(紙面製作)部門で働いてきました。
Tさんの良いところは、穏やかでガツガツしていないところ。同期が出世しても、「大変だろうなぁ。あんなストレスの多い仕事はしたくない」と考えるタイプ。いつも、のんびりしていて、私はそういうTさんがいいなあと思います。
今回は、仕事を覚えられない中堅社員が職場で干されており、「いたたまれなくて」管理職の同僚に「僕が責任を持つから」と指導係を引き受けた話をしてくれました。私もなかなか新しいことが覚えられず研究室で干され気味ですので、Tさんのような思いやりのある上司に恵まれたその社員の幸運を自分のことのように嬉しく思いました。
Tさんは友人を大切にする人で、帰省時には毎年、私や大学時代の友人数人に連絡を取り、それぞれと食事をして、近況報告をし合っています。私は彼の友人たちには会ったことがありませんが、「ほら、僕の友人で●●に勤めているヤツ。あいつとも定年後の話になってさ…」と話をしてくれるので、勝手に親近感を抱いています。
今回はたまたま予定が入っていたので、夕ご飯をゆっくりということは出来ませんでしたが、北海道に帰る当日に朝ご飯を付き合ってくれました。「今回はあまりいいもの探せなかったんだけど、このコーンスープはうまいよ」といつものように北海道産のお土産を持ってきてくれました。
私も美味しい紅茶屋さんのフレーバーティーや人気のお菓子屋さんのクッキーなど持っていきますが、どんなオシャレなパッケージも、新千歳空港のロゴが入ったクシャクシャのビニール袋に入ったコーンスープや、ホタテの珍味には迫力負けするなぁと思います。素敵さやオシャレ感で勝負するしかない東京と、素材で勝負の北海道の違いでしょうか。というより、彼が、東京で会う友人たちのために、空港内の店であれこれお土産を買い、リュックサックの中にぎゅうぎゅう詰めする様子を思い浮かべて、心が温まるからなんだと思います。
2時間おしゃべりし、午前10時にカフェを出ました。一緒に歩いて駅に向かい、路線図を見上げたTさんは、「夕方の便なんだ。少し時間があるから、渋谷の雑踏でも見に行こうかな」とつぶやきました。「渋谷のスクランブル交差点、落ち込んだときよく行った。あの雑踏の中に身を置くと辛いのは私だけじゃないと思えて、元気が出るのよ」と私。
「じゃあ、心身共に無理せずに」と、こちらに向かって手を挙げ、私とは反対方向のホームに向かったTさん。私も「また、来年会おうね!」と手を振りました。
私は高校時代、大学時代ととても良い友達に恵まれましたが、2つの職場でも良い同僚に恵まれました。Tさんは、私が病気になっても健康でも、失敗しても成功しても、不幸のどん底にいても幸せに浸っていても、変わらず友人でいてくれる人だと信じています。こういう友達を大切にしたいーとつくづく思ったのでした。
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