2024年6月21日金曜日

雲になりたい

 娘と二階のデッキでご飯を食べていたとき、空がとても綺麗だったので、二人で空を見上げました。娘がつぶやきました。

「私、死んだら雲になりたい。

 ゆっくり、のんびりと動いていて、形にとらわれなくて、誰の手にも届かなくて。

 世界を旅できるし、綺麗な街並みや人の動きを上から眺められて楽しいし。

 私の魂は、雲のあるところにいるべきだと思うの」

 娘が小さいころ、寝かし付けるときに、よく雲の上に行くお話をしました。私が車になって、娘の小さな体を抱いて、「ぶーん、ぶーん」と空に向かって運転するのです。雲の上につくと、ふわふわな地面の上に小さなおうちがあります。表札は「アンディ」。娘の双子の弟です。

「 覚えている?」

「もちろん、覚えているよ。真っ赤な車だったよね」と娘。

 娘はすくすくと育ち、海外の大学で学ぶほどに成長しました。娘の双子の弟は、今も小さな骨壺の中に入って、私のベッドの横にいます。魂は、娘が思い描くように、雲の上をのんびりとしながら、私たちを見守ってくれているのでしょうか。

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