2022年9月21日水曜日

学校だから

  今朝もいつものように、登校する息子を見送りました。小さな背中からはみ出るほど大きかったランドセルが、すっかり小さくなっています。去年まではこちらを振り返ってくれましたが、今は、もう振り返ってくれません。それでも、毎日見送っていると、本当にたまにですが、こちらを振り返って手を振ってくれます。その一瞬を楽しみに毎日、息子の背中が小さくなるまで見送ります。

 今朝は珍しく、出掛けに玄関に仰向けに寝そべってしまいました。

「学校行きたくない」とつぶやく息子。

「どうして?」

「学校だから」

 ……。いやぁ、感動しました。我が息子ながら、何と粋な答えだろうと。学校に行きたくない理由を、これほまでに簡潔に明瞭に言える息子の表現力に感心しました。ブログに書こう!と頭のメモ帳に記しました。

 塾では、毎回、とてつもない低い点を取ってくる息子。長文読解の宿題は毎回、12点中0点です。何を書いているか、親の私にもさっぱり分かりません。ましてや、他人である国語の先生に分かるはずがない。それも、中学受験を勝ち抜こうとしている優秀な子たちを教えている先生です。

 先日は、「他の人が字を読めるように丁寧に書きましょう」とまで書かれてきました。息子は、次頑張ろう!などという殊勝な態度で宿題に向かうことなどありません。でも、ひょうひょうとした態度で、めげずに(気にもせずに)淡々と宿題をやり、0点を取ってきます。国語力は伸びませんが、こういう息子もある意味すごいのでは、と思ってしまいます。

 さて、息子の一言に戻ります。たとえば、大人たちが会社に行きたくない理由は人により様々でしょう。嫌いな上司がいる、取り組んでいるプロジェクトが難航している、など。でも、一言でいうと「会社だから」。オジサンが家に帰りたくないのは、口うるさい奥さんが待っているなど様々な理由があるでしょうが、端的に言うと「家だから」。

 それでも、多くの人はそこに向かう。大げさな言い方かもしれませんが、それが生きるということなのでしょう。息子も「あーあ」とため息をつきながら立ち上がり、玄関ドアを開けました。私は一瞬どうしたものかと考え、とりあえず思いっきり息子を抱き締めました。

 「大好きだよ。君が生まれてきてくれたことが、ママにとって人生で一番嬉しいことだった」と力一杯抱き締めました。しばらく、私に抱き締められるがままになっていた息子が言いました。

 「ママ、ありがとう…。ママ、ママ、僕もう行かなきゃならないから」

 そういって、息子は私から離れ、学校に向け駆け出しました。後ろ姿を見送りました。今日も振り返ってはもらえませんでした。明日は振り返ってくれるかな? 明日に期待をしましょう。

 

0 件のコメント: