2021年12月31日金曜日

2021年 私の挑戦 博士課程に出願

  31日午後5時半、修士論文の初稿を指導教官に提出しました! 数日前までは今年中の提出は絶望的だと思っていましたが、ギリギリの追い込みで提出できました。昨日から準備していた「うま煮」も合間に作り、これもギリギリのタイミングで夕食に間に合いました。

 今日も息子がずいぶん助けてくれました。キッチンの掃除も、フロアの水拭きとオイル塗りも、昨日から水に浸していた「豆きんとん」用の豆の皮むきも、全部手伝ってくれ、本当に助かった。夫もレンジ周りの掃除など率先してやってくれました。マイヤー家の男子は働き者なのです(娘はずっと部屋にこもっていました)。

「豆きんとん」用の豆の皮をむく息子

 さて、2015年にこのブログを初めてから、毎年大晦日にその年に挑戦したことを書いています。論文を提出し、夕食も終わり、「豆きんとん」も作り終えましたので、いまパソコンに向かって今年1年を振り返っています。毎年大晦日の夕食後が一番落ち着く時間なのです。

 病気から回復途上の2015年は社会復帰に向け、こわごわと一歩を踏み出したことを書いています。その後も、小さな挑戦を続け、一昨年当たりから大きなことにも挑戦するようになっています。

 今年の挑戦は、これまでのように社会復帰や趣味のため一歩を踏み出すというよりも、自分のこれからの人生の方向性を決めるような挑戦でした。自分の年齢や今後の生き方も含め、様々なことを考えて悩みましたが、「もし、駄目だったら落ち込むかもしれない。でも、挑戦してみよう!」と心を決めました。

 現在、私は都内の私立大学の大学院で学んでいます。先ほど提出した論文が通れば、来春修了予定です。論文に取り組む中、「研究を深めたい」という思いが強くなり、今夏、ある国立大学の博士課程の説明会に臨みました。

 オンライン会議システム「ズーム」で開かれた博士課程の説明会。各専攻の教授や準助教授らがそれぞれの専攻について説明します。そのうちの一つが、私の現在の研究テーマに近いと考え、早速、準教授に連絡をしてみました。

 博士課程の場合は、出願前に指導教官を選んでからでなければ、出願できません。まずは、指導教官を決めて、自分が持っている研究テーマを説明し、了解してもらえれば出願できます。現在の大学院の博士課程には、私の希望する専攻がなく、思い切って他を探すことにしたのです。

 説明会で「この指導教官なら」と狙いを定めた教官に連絡を取り、会いに行きました。厳しそうな人でしたが、私の研究テーマに理解を示してくれました。

 その後、米国の大学に成績証明書を、現在の大学院には成績証明書と修了見込み証明書を依頼。英語能力測定試験「TOEFL」を数回受け、志望動機と研究テーマを記したエッセイを書き、書類を揃えて出願。11月、「ズーム」で開かれた口述試験を受けました。

 口述試験はガタガタでした。表情の険しい教授陣による厳しい質問が続き、開き直って笑顔でベラベラしゃべりまくってしまいました。挙句に「答えは短く」と不機嫌な表情で返され、「あぁ、これが国立大の厳しさかぁ」と妙に納得。リラックスした雰囲気のなか英語で行われ、笑いもあった私立の大学院の口述試験とは違い、国立大の日本語での試験はとにかく厳しかった。

 「やっぱりダメだった。でも、挑戦して良かった」とサバサバした気分でいたところ、合格発表の日、大学のホームページ上に自分の受験番号を発見。夫、娘、息子に確認してもらい私の番号に間違いないことを確認し、数日後、郵送で届いた合格通知書を見て、ようやく合格の実感がわいたのでした。

 ということで、来春から、私は博士課程に進みます。希望して出願し合格をいただいたのに、今回論文書きにかなり苦労したので、ずっしりと気が重い。自信がまるでない。ですが、この年齢の私にチャンスをくれたことに素直に感謝したい。与えられた機会を大切にし、来年も毎日を大切に生きていこうと思っています。

 

今年も無事年越しそばを家族で食べることが出来ました。もちろん日本酒は「久保田」

2021年12月29日水曜日

息子の独り言

「受験になると、普通の呼吸がため息になっちゃう」

 朝食を食べているときに、息子がこうつぶやきました。24日に2学期が終了し、すぐ25日の朝から塾の冬期講習が始まりました。毎日3時間の塾での勉強に加えてその復習、昨日は算数の個別指導塾に行き、今日は国語の個別指導塾です。

 本来なら集団塾だけにしたいのですが、そこに任せていると頭の良い子はどんどん進みますが、出来の悪い子は理解しないまま遅れていき「お客さん」になってしまいます。 息子はすでに「お客さん」状態。これを打破するには丁寧に教えてくれる個別指導塾でフォローをしてもらわないと、とても受験など無理なのです。

 それでも、小4の息子はまだ素直ですのでブーブー文句を言いながら、勉強してくれます。私も、修士論文の執筆が遅れ、お尻に火がついています。ですので、私がパソコンに向かってキーボードを打ったり、唸ったり、「どこに行っちゃったの!」と叫びながら大量に積まれた資料をガサゴソしている横に座り、「お互い、大変だよね」と言いながら勉強してくれるのがありがたい。

カオス状態の私の机の横に座り、漢字練習をする息子

 クリスマスやお正月など、おざなりにできないイベントが続きますので、本当に忙しい。クリスマスには子どもたちの好物の料理やケーキを作ってあげたいし、お正月に母が楽しみにしている日本酒や和菓子も買いに行きたい。美味しいものは皆が買いますので、品切れする前に買いに行かなければなりません。すでに、いつも行く百貨店で目当ての日本酒が品切れており、昨日、別の店に買いにいったばかりです。

 娘のコートが小さくなったので、買いに行かなければ…。息子の習い事の日程の調整をしなければ…。来年早々に2人のヴァイオリンの発表会があるので、練習をさせなければ…。「うま煮」や「きんとん」の材料も買いに行かなければ…。

 さらに、娘がお友達とうまくいかず、落ち込むという”事件”がありましたので、フォローも必要でした。「二人で美味しいケーキを食べに行こう!」と気分転換に一緒に出掛けたり、涙をこぼす娘の話をじっくりと聞いたり。昨日、アドバイスしたことがうまくいき、今日お友達と待ち合わせをして昨日買ってあげた新しいコートを着て娘が嬉しそうに家を出て行ったときは、本当に安堵しました。

 クリスマス明けまでに出す予定だった論文の初稿がまだ、出来ていません。このブログを読んでくださる皆さんも、きっと目が回るような忙しさではないでしょうか? 有難いのは、これらの用事をこなせるだけ私の体調が良く、健康になったということ。感謝しながら、パソコンに向かいます。


 

 

2021年12月27日月曜日

シルクハットとステッキ

  今年も、小4の息子と高2の娘のところにサンタさんが来ました。いつもは別々に寝る2人もクリスマスイブは娘の部屋で一緒に寝ます。サンタさんが部屋に入って来やすいように、梯子を窓の横にセッティング。もちろん、窓の鍵は開けておきます。お腹が空いているだろうサンタさんのために、アップルパイとお水も準備しました。そして、25日の朝、子どもたちが目覚めたときには今年もちゃんとプレゼントが届いていたのです。

 アートが好きな娘にはイラストブック。娘は「これが欲しかったの」と嬉しそう。目や鼻などの体のパーツや動物、草木などについて細部にわたる描き方のコツを教えてくれる本です。アートのクラスで、人物の目などを何度も描き直している娘にとっては、ドンピシャリのプレゼントでした。

 息子には、シルクハットとステッキでした。息子は「サンタさんにこれを頼んだんだ」と大はしゃぎ。早速、帽子を被り、ステッキをつきながら家の中を歩き回りました。

 今年のクリスマスはとてもスムーズでした。イブは夕方に教会に行き、料理担当の私がチキンとマカロニチーズグラタン、アップルパイを作りました。

クリスマスイブの食卓

 25日の早朝は夫の両親とオンラインの「ズーム」でお話しました。義父母が送ってくれたプレゼントを開け、その様子をリアルタイムで義父母が見られるのは、とても良かった。

 義父母と1時間ほど話をした後、息子は塾の冬休み講習へ。午前8時45分から11時45分まで3時間です。塾が終わった後、私の母と娘と待ち合わせして、サーティワンアイスクリームへ。私の母にアイスクリームケーキを買ってもらい、帰ってきました。

母が買ってくれたサーティワンのアイスクリーム

 25日は夫も料理を作ってくれました。アジとトマトのお料理と、クラブケーキ(カニのコロッケのようなもの)です。私が作ったのは、サーモンのローズマリー風味と、ポテトのお料理、ステーキです。母は肉とチーズなど乳製品が苦手で、かつ、歯が悪いので硬いものも食べられません。ですので、母も食べられる料理を準備するために、2日に渡ってクリスマスの食事を作りました。子どもたちはご馳走を続けて食べられて、大満足です。

25日の食卓。子どもたちにはステーキ、母にはお魚の料理

 シルクハットを被りながら、塾へ行く準備をする息子を見ると少し可哀想になりましたが、帰宅後はクリスマスプレゼントのDVDを見られるので、良しとすることにしました。今年は心配事もなくクリスマスを祝うことができ、本当に良かったです。 

サンタさんにもらったシルクハットを被りDVDを観る息子


2021年12月23日木曜日

やっぱり札幌ラーメン

  高2の娘が通うインターナショナルスクールは、息子が通う地元公立小学校より1週間早く学校が終わります。国際バカロレア(IB)という各国共通の大学入学資格を得るためのプログラムで勉強し、課題に追われる日々を送っている娘にとって、一番の楽しみは「札幌ラーメン」を食べに行くことでした。

 何度かこのブログでも書いた、隣駅の商店街にあるラーメン店。ここの味噌ラーメンは本場の札幌ラーメンそのもので、本当に美味しいのです。いつ行っても店の前には人が並んでいるほど。

 息子の学校の振り替え休日の日に、息子と私がこのラーメンを食べに行ったことが不公平に思えたらしく、娘は「ママと2人でラーメンを食べに行きたい!」と言います。で、夫と息子、私と娘の2グループに分かれて、ランチを食べに行きました。ちなみに、男子グループが行ったのはハンバーガー店(アメリカ人の夫にとっての故郷の味)です。

 満を持してラーメン店に行った娘が注文したのは、もちろん「厚切りチャーシュー入り札幌ラーメンの大盛り」。私は大盛りは食べられませんが、厚切りチャーシュー入りを2度食べたことがあります。その2度の挑戦で「私には無理」と分かりました。で、今回は普通のラーメンにしました。

 娘によると「厚切りチャーシューが食べられるかどうかは、若いか年取っているかという判断基準なんだよ」とのこと。「たとえ、お爺さんでも厚切りチャーシュー入りラーメンが食べられるということは、若いということなの」。なるほど。何となく分かるような気がします。

 先日、息子と一緒に行ったとき、息子もこの厚切りチャーシュー入り札幌ラーメンの大盛りを注文しました。小4の息子が食べ切れるかどうか疑問でしたが、息子はスープの最後の一滴まで飲み干し、完食。

 蕎麦を粋にすする江戸っ子ならぬ、味噌ラーメンを豪快にすする”道産子”の血が彼に流れていることを、私は実感したのでした。生粋の道産子の私としては、その息子の姿を誇らしくさえ思いました。

 さて、娘です。最近、体重の増加が止まらない娘はさすがにスープを飲み干すのは控えましたが、チャーシューも麺も全て食べました。「あぁ、美味しかった」と満足気な娘の顔を見て、私も幸せな気持ちになった1日でした。

厚切りチャーシュー入り大盛り札幌ラーメンを前に、手でハートマークを作る娘


2021年12月22日水曜日

続く訃報に…

  歌手で俳優の神田沙也加さんの訃報に、気持ちが落ち込んでいます。18日は札幌で大雪が降りました。札幌出身の私は、灰色の空からしんしんと降る雪を眺めるときの気持ちが分かりますので、窓から外を眺めたときの沙也加さんの心の在り様に思いを馳せてしまいます。

 報道によりますと、事件性は否定され、沙也加さんの死は転落によるものだということです。唯一の救いは、慕っていたというお父さんの神田正輝さんと当日の朝電話で話していたこと。沙也加さんが荼毘に付された21日は、神田さんの誕生日だそうです。大好きなお父さんにいつまでも自分のことを愛していてほしいーと沙也加さんは願っていたんだろうな。辛いことがたくさんあった中、せめてその願いは通じたんだねーと考えてしまいます。

 子どもをこのような形で突然に失ってしまった神田さんと松田聖子さんの悲しみはいかばかりかと胸が痛みます。我が子を失う以上の悲しみはないと思います。なぜという気持ちと、あのときああすればという後悔の気持ちが交じり合い、心が張り裂けそうな状態だと思います。

 東京から札幌は遠い。私の父が亡くなった夜のことも思い出しました。最終便に間に合わず、まんじりともせずに朝を迎えて翌朝羽田空港発の第一便で新千歳空港に向かったあの日。すぐ駆け付けたくても駆け付けられないー。松田さんも神田さんもきっとそういう気持ちだったのだろうーと想像します。

 沙也加さん、どうぞ、天国ではのんびりと穏やかにお過ごしください。あなたのお父さんとお母さんはいつまでもずっとあなたを想っていますよ。

 昨日21日は、イル・ディーヴォのカルロス・マリンさん(53歳)の訃報が伝えられました。イル・ディーヴォは私が最も好きなグループです。コンサートには母を連れて、そして、私のメンターで大学時代からの友人のIさんとも一緒に行きました。

 情熱的な深い歌声と人懐っこい笑顔がとても素敵な人でした。世界中の多くのファンを魅了したカルロスさん。今度は娘を連れてコンサートに行こうと計画していました。カルロスさんの歌声をもう聴けないことが残念でなりません。

 カルロスさん、たくさんの人があなたの歌を愛していました。どうぞ、安らかにお眠りください。

 

 

2021年12月13日月曜日

「二月の勝者」は現実そのもの

 土曜日午後10時に日本テレビで放映されているドラマ「二月の勝者」ー。東京の中学受験塾に通う子供たちと、塾講師、そして家族を巡るこのドラマは、東京の塾激戦区に通う子供たちの実情をよく表しています。

 ママ友のほとんどが見ていて、先日久しぶりに開かれたランチ会でも話題になりました。昨春息子が中学受験を終えたママは「6年生の親にとってはリアル過ぎて、見ると辛くなるかもね」とコメントしていましたので、かなり現実に即した内容なのでしょう。

 私の小4の息子も中学受験に向けて塾に通っていますので、私は原作の漫画を読んでいました。既刊14巻は全て購入したほど、関心があります。

 原作を読んでいますのでテレビドラマにはさほど興味を持っていなかったのですが、ママ友たちに勧められ、先々週見始めました。テレビドラマですので、多少の誇張はありますが、現実は本当にあの通りと感心しました。すっかり”ハマって”います。

 先々週は、塾の入り口に貼られたクラス替えの結果を見て、子どもたちが喜んだり、落胆したりするシーンで始まりました。息子の塾でも紙こそ貼られていませんが、クラスは毎月行われるテスト結果により、成績順に割り当てられます。その結果で親子共々一喜一憂するのは同じです。

 息子の塾のホームぺージで、テスト結果の詳細とクラス分けの基準点について見られるようになっています。ですので、自分の子どもは何点足りなくてクラスが下がった、もしくは、ギリギリの点数でかろうじて同じクラスにとどまったなど即座に分かります。

 テストの解答の一つ一つには、ご丁寧にも正答率がついています。ですので、たとえば92%の子どもが正解だった問題でミスしたけれども、8%の子どもしか答えられなかった問題で〇をもらった。単純ミスをいくつか無くせば、上のクラスに上がれる…などと分析出来てしまうのです。

 これが親の精神衛生上良いかどうか分かりませんが、しっかりとした親はこういうのを分析して、子どもの得意なところや弱点を知り、効果的な勉強をさせているかもしれません。

 前回のテストで、息子は苦手な国語社会のクラスを1つ下げてしまいました。意味のなさない、ひらがなが並ぶ息子のテスト解答用紙を見て、ため息が出るばかり。正答率を見て分析どころではありません。「これを読む先生もすごい」なんて感心してしまうぐらいの状態です。

 3カ月前には得意な算数理科のクラスを2つも下げてしまい、そこからなかなか上がりません。時折、息子は「問題がよく分からないんだ」と言っており、国語の習得が遅いという問題が全てに波及しているような気がしました。娘もちょうど小学校4年生あたりで、国語に遅れを取り、それが今でも響いています。ここで手を打たなければ大変なことになるかもしれないーと考えました。

 中学受験を昨春成功裏に終わらせた男子を育てるママ友2人にラインで聞いてみました。すると1人のママは、「男子は国語駄目なのよ。ましてや塾の問題は、”御三家”狙う子に合わせているから、難しいのよねえ。うちは集団塾に加えて個別指導塾に通わせていたわよ」とのこと。もう1人も「うちは偏差値30台まで落ちたから、5年生から個別指導塾にも通わせた。6年生になってからは過去問だけやってもらったわ」ー。偏差値30台の子が身近にいたというだけで、気持ちが落ち着きました。そして、賢いママは早々に次の手を打っているのです。ここは見倣わなければ…。

 右往左往していた私ですが、ママ友に勧められた国語専門塾に連絡を取り、先日、息子に体験をさせました。入会する予定です。息子には週2回行っていた水泳教室を当面の間週1回で我慢するよう伝えました。

 息子は「偏差値30台まで来たから、今度は20台を目指すね」などと初めはふざけていました。が、私に「そっちの方向、やめてほしいんだけど」と呆れられ、「分かったよ。今はプールより、国語の塾に行ったほうが良いと僕も思うし」と少し残念そうな表情で納得しました。自分でも、授業で分からないことが増えているのが、嫌なのでしょう。中学受験は本当に大変です。息子は、いいえ、私はこの受験を乗り切れるのでしょうか。

 さて、息子の通う公立小学校ではたくさんの子どもが中学受験をします。ですので、息子の仲の良いお友達は全員、塾に通っています。皆4年生のうちは塾に加えてサッカーや水泳、楽器などの習い事も続けていますので、遊ぶ時間もほとんどなくなっています。が、一昨日、息子が「〇〇君に、漫画買いに行こうって誘われた!」と喜び勇んで帰ってきました。

 本当はその日に塾の小テストがあったので復習させる予定だったのですが、友達との遊びは優先順位1番。塾の道具を急いでリュックに詰めさせ、待ち合わせ場所の駅前に車で送りました。息子の勘違いで、行っても誰もいなかったーということがあると可哀想ですので、そのお友達のママに電話をしてみました。すると、その子もママにうちの息子と漫画を買いに行くと報告しているようです。安堵するとともに、習い事までの隙間時間に一緒に出来ることを見つけるなんて、賢い子だなと感心しました。

 駅前の広場で男子2人が走り回っていました。その友達を見ると私まで嬉しくなりました。「いってらっしゃい!塾に遅れないようにね」。友達の方に向かって走る息子のリュックが、上下に弾んでいました。

 

2021年12月1日水曜日

「空気読めない?」

  小4の息子が通う地元の公立小学校では、3年生の3学期から多くの子どもが中学校受験に向け塾通いを始めます。息子も、息子のお友達も、近所の同級生も皆どこかの塾に通っていて、塾に行っていない子はほとんどいません。ですので、放課後にお友達と遊ぶことがほとんどなくなってしまいました。

 先日、久しぶりに学校が早く終わる日がありました。夜6時15分から始まる水泳教室まで時間がありましたので、前日息子に「誰かお友達を誘って、公園にでも行っておいで!」と勧めました。息子は「うん!同じクラスの子に声かけてみる」と嬉しそうでした。

 翌日の放課後、息子にお菓子を持たせて送り出しました。息子は張り切って自転車に乗って出かけました。ところがしばらくして、息子が落ち込んだ様子で帰ってきてしまったのです。

「どうしたの? お友達いなかったの?」

「いや、いたよ」

「皆ゲームを持ってきていて最初は皆がゲームをやっているのを見ていただけ。『せっかく公園に来たから、遊ぼうよ』って誘って、『どろけい』をすることになったんだ」

 「どろけい」は、子供たちの間で人気の、泥棒と警察の2グループに分かれて遊ぶ鬼ごっこです。

「楽しそうじゃない」

「うん、最初は楽しかったんだ。でも、しばらくして、誰も探しに来ないから、様子見に行ったら、皆ゲームに戻っていて『とっくの前に終わっている』と言われた。だから、帰ってきたんだ」と残念そうな顔で言います。

 息子は外遊びが大好きですが、どうもお友達は皆ゲームとかが好きなようで、一緒に遊んでくれないようなのです。

 その話を夜、娘にしてみました。娘は「私もそういうことよくあったなぁ。私たち、空気読めないのかなぁ」と苦笑いします。

 私も遠い昔のことを思い出しました。小学生のときです。お友達にグラウンドで遊ぼうと誘われて、喜んで行ったら、誰もいなかった。グラウンドの端にあった鉄棒にぶら下がってグラウンドを眺めました。結局、待っても、待っても誰も来ませんでした。今でも、折々に悲しい気持ちで眺めた広いグラウンドを思い出します。

 息子も将来、待っても待っても友達が探しに来ない広い公園のことを思い出すのかなぁと考えると、ちょっぴり切なくなりました。

 娘の言葉に呼応し、「ママも同じだよ。友達に誘われてグラウンドに行ったけど、誰もいなかった。寂しいよね、そういうときって」と言うと、娘が「じゃあ、3人とも空気読めないのかなぁ?」「そうだね」と3人で大笑いしました。

 少ししてから、息子がまた寂しそうな表情に戻り寝室に行ってしまいました。様子を見に行くと、息子はベッドにもぐりこんでいます。布団をひっくり返して、ぎゅっとハグしました。息子はまだ、抱き締められるくらい小さくて(181㌢の娘をハグするときは背伸びし、娘も前かがみになります)、愛おしさで胸がいっぱいになりました。

 息子にとっては少し寂しい日でしたが、娘と3人でそれを笑って受け止め、穏やかに一日を終えることができました。たぶん、これで息子は大丈夫だと思うようにしています。