2024年3月12日火曜日

母の願い

  先週、母と一緒に東京・四ツ谷にある、真言宗の納骨堂に見学に行きました。

 2013年に他界した父の遺骨は現在、札幌の納骨堂に納めています。母が東京の我が家の近くに引っ越してきたのは新型コロナが蔓延する半年前。不要不急の外出が制限される中、納骨堂にお参りに行くことが叶わず、ようやく行くことが出来たのが昨年、札幌の実家を売却したときでした。

 それから母もいろいろと考えたに違いありません。私に真言宗の納骨堂を都内で探してほしいと頼み、インターネットで探して見つけたのが先週、見学に行ったところでした。

 6階建ての建物の2階から6階までが納骨堂になっていました。陽当たりの良さや水場への近さなどを考え、5階の部屋を4月から契約しました。即決でした。結構な金額でしたが、母が現金を準備してきていました。母にとって、自分の家を手離した後、札幌に残してきた父のことが心配だったのでしょう。また、自分の今後についても熟慮したことと思います。

 3月30日に札幌に日帰りで行き、父をこちらに連れてきます。母にせっかくの機会なのでむかわ町にいる叔父(母の兄)に会いに行こうと勧めましたが、「いつも電話で話しているからいいの」と言います。また、札幌にいるお友達に会うよう勧めましたが、それもしなくてもいいといいます。理由を聞きますと、「会った相手もこれが最後…と思う。もうお互い年だから、そんなことはしたくない。電話でお話しして元気でいることを確認できたらそれでいい」と言います。

 私は会えるときに会いたい人に会っておこうと思うのですが、85歳という母の年齢になると、いろいろ考えるところがあるのでしょう。

 父の遺骨をどうこちらに運ぼうかーと母といろいろ話しています。お寺のご担当の方によりますと、機内では客室乗務員さんが預かってくれる、または、座席の足元に置く形もできるそうです。上の収納棚に入れると横になってしまうのが心配ですし、かといって風呂敷で骨壺を包んで、もしくはバッグに入れて膝の上に載せても、きっと周りの人も落ち着かないだろうなーとも考えます。ゆうパックで送ることも出来るそうです。

 父をこちらに連れてくることができると、私も安心します。母は12体入るというゆったりサイズの部屋を契約しました。「お母さん、私も入れてね」と伝えています。自分が入る場所が決まり、それが自分の家から比較的近いとなると、安心するものだなぁと思います。母も帰りに「これで安心した」という言葉を連発していました。

 四ツ谷駅近くのイタリアンレストランに寄り、夕ご飯を食べました。スパークリングワインを注文し、「良かったね」と言いながら、乾杯しました。

 娘のオーストラリア留学、息子の中学受験と目まぐるしい忙しさの中で、母が願っていた都内の納骨堂探しがなかなか出来ませんでした。子どもたちのことがひと段落し、母の願いを叶えてあげることが出来、良かったとほっとしているところです。

 

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