2023年7月26日水曜日

患者に戻る日

   私が通う大学院の研究室は、東京・築地の国立がん研究センターにあります。週に3日ここに通い、週1日は東京・本郷にある大学に行きます。がん研究センターには研究棟、診療棟、病院の3つの棟があり、今日は研究棟ではなく、2つ隣の病院に行きました。3ヶ月一度の検査・診察、薬を処方してもらう日だからです。

 私は20年もこの病院に通っていますので、病院のシステムの変遷を良く知っています。以前は国立がんセンターでしたが、2010年に独立行政法人となり名前も国立がん研究センターに変わりました。2015年には国立研究開発法人になりました。私の診療科や年に一度行く内視鏡検査の場所、そしてお店も変わりました。昔ながらの売店はコンビニエンスストアとカフェになりました。

 20年前は19階に大風呂があり、入院治療中に体調が良い日はのんびりとお風呂につかったものです。同じ19階にはレストランがあり、そこで食べるエビフライ定食がとても美味しかった。向かいにある築地市場から仕入れているから美味しいのだと思っていましたが、各階の大きな窓から見下ろすことができ、いつも元気をもらっていたその築地市場もなくなってしまいました。

 以前は正面玄関を入り真っすぐ進むと再来受付機がありましたが、今は左側に設置されています。受付機自体も変わり、診察カードを入れると、呼び出し機が出てくるようになりました。長年の習慣が抜けず、ついこの呼び出し機を取るのを忘れてしまいます。今日もうっかりし、案内係の人に呼び止められました。

 案内係の人も、他のスタッフも、以前は自分よりずっと年上だったのに、年を重ねていくうちに今はほとんどがわたしより若い。そんなことをしじみじみと考えていると、自分は生きているんだと感謝の気持ちでいっぱいになります。私がこうして20年も生きている間に、ここに通っていたどれだけの人が亡くなったのだろう。私はその方々の分まで、しっかりと生きなければーと気を引き締めました。

 今日の血液検査も異常なし。この病院で診てもらっている悪性リンパ腫も2つの自己免疫疾患も再発の兆候はありません。主治医には10月の内視鏡検査の予約と薬の処方もしてもらいました。今日は思い切って、現在服用している薬をやめられないか、相談してみました。主治医からは、「10月の内視鏡検査の後に検査をし、それで結果が良ければやめることを検討してみましょう」という前向きな言葉をいただきました。

 20年前にがんを発病し国立がんセンターで治療を開始し、20数年後にすべての病気を完治させ、研究者として国立がん研究センターを卒業するー。そんな壮大な人生プランを実現させようと頑張っています。

 皆さん、応援をよろしくお願いします!

国立がん研究センター中央病院の再来受付機
再来受付機から出てくる呼び出し機

血液検査の後、診察までの時間に毎回カフェで食べる「北海道チーズケーキ」

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