2023年6月22日木曜日

母の存在意義

 「ママ、今日これ縫っておいてね」

朝、息子がそう私に頼み事をして、家を出ました。「いってらっしゃい!」。すっかり小さくなってしまったランドセルを背負った息子を見送り、家に入ります。

 木曜日は週に1度の平日休みの日。この日は遅れ気味の仕事や溜まった家事、期限が迫った銀行振込などの「To Do List」を一気にやる日。美容室や歯医者さんの予約も入れますので、「To Do List」の翌日以降への持ち越しももちろんありますが、頭の片隅にある「やらなきゃ」を少しでも終えることが出来るとても大切な日なのです。

 でも今日の優先順位1番は息子の一言で入れ替わり、お財布のマジックテープの付け替えになりました。先週息子に頼まれて、日曜日に手芸屋さんに行き材料を買ってきましたが、いつものようにキッチンのカウンターに積んでおき、すっかり忘れていたのです。

 このお財布は昨年の夏、家族でイギリス・アイルランド旅行をしたとき買ってあげたもの。経由したヘルシンキ空港のお土産屋さんで見つけて、息子にはお財布、娘にはポシェットをお揃いで買いました。お財布にはストラップがついているので、息子が毎日使ってくれていて、使用感たっぷり。でも、マジックテープが機能しなくなるまで使ってくれて、嬉しい。

 付け替えには30分ほどかかりました。布地もマジックテープも硬い素材なので、縫い付けるのに時間がかかりました。でも、無事仕上がりました。

息子のお財布と裁縫箱

 子どもたちも少しずつ自立してきていて、あまり私に頼み事をしません。娘は料理やお菓子作りが得意ですし、息子も私がいなくても自分でうどんを作ったりして食べます。2人とも掃除や整理整頓が苦手ですが、それは出来なくても生きていけます。夫も料理好きで、ひと通りの家事は出来ます。ですので、実は私がいなくても、家は回っていくのです。

 そんな中、縫い物とアイロンがけだけは「ママ~」と頼んできます。今朝、息子の使い込んだお財布に、マジックテープをひと針ひと針縫い付けながら、「私の母としての存在意義は縫い物にあるのかも」と思わず苦笑しました。

 完璧な専業主婦だった私の母は、私がどんなに社会や家庭で頑張ろうと認めてくれない人でしたが、私を「何でもこなせる専業主婦」にするために料理や裁縫など家事全般をしっかり教えてくれました。今はそのことに感謝。


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