2021年4月10日土曜日

池江さんの復活に思う

 競泳の池江璃花子さんが見事復活を果たしました。白血病の厳しい治療を乗り越え、再び五輪代表をつかんだ池江さんの泳ぎを見て、多くの人が感動をもらったと思います。がんを患う若い世代の方々も勇気をもらったでしょう。

 池江さんが乗り越えた厳しい闘病生活に思いをはせました。病気は治るだろうかと不安に押しつぶされそうな日々だったと思います。治療の副作用も辛かったでしょう。病気が治ったとしても以前のような泳ぎは出来ないかもしれないと絶望的な気持ちになったこともあるだろうと想像します。

 頑張った結果、帰りたい場所に帰れた池江さん。本当に良かったなと思いました。若くしてがんになると、以前のように生活すること、仕事をすること、結婚して子どもを産むという当たりまえのことに制限が出てくる場合があります。身体機能の一部を失ってしまった事実を受け止め、これまで描いてきた将来の希望や夢を諦め、気持ちを切り替えて別の目標を見つけて生きていかなければならない人もいます。

 「がんになって人生の大切さに気が付いた」という言葉はよく聞きますが、それは中年やお年寄りががんになった場合に言える言葉。まだ人生が始まったばかりの若い世代にとってのがんの発病は、本当に酷だと思います。

 私が血液がん・悪性リンパ腫の診断を受けたのは38歳。闘病は長く約8年に及びましたが、治療後授かった2人の子どもと協力的な夫と幸せな日々を送っています。仕事は発病1年後に辞めましたが、数年前に再開し現在は以前から希望していた大学院で学んでいます。

 人生の方向性がある程度定まる年齢で発病し、時間はかかったものの病気を克服でき、そ後社会復帰を果たした私でも、いつも戻ってしまうのは38歳の自分です。あのとき病気にならなければ、と考えて落ち込むことは多い。

 特に仕事については、長い闘病期間によるブランクは致命的です。病気との闘いが終わって世の中に出てみると、発病前に一緒に働いていた人たちが遠く及ばない所で活躍している。どんなに頑張ろうとあがこうと追いつかない場所です。でもその現実を自身に納得させて生きます。簡単ではありません。

 病気との闘いが終わったら帰りたい場所がある。でも、もうそこには帰れない。病気との闘いが終わったら、叶えたい夢があった。でも、もうその夢は追えない。そういう若い方々のために、私たち大人は何が出来るのでしょうか。考える日々です。

 

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