2017年12月31日日曜日

2017年、私の挑戦② 仕事を再開

 2017年の最も大きな挑戦は、仕事を再開したことです。今夏から、ニュースサイトで医療記事を書いています。きっかけは、ある出会いでした。

 春、久しぶりに何か学びたいと思い立ち、都内の大学の社会人講座に申し込みました。新聞広告が、たまたま目に留まったのです。「面白そう」と思い、夫に許可を得て、申し込んだ口座は2つ。1つは「今、ジャーナリズムを考える」(10回コース)、もう1つは「人体の神秘に迫る~がんと日本人~」(5回コース)でした。

 いずれも土曜日開催のため、夫に子供たちの世話を頼みました。夫は、私が仕事を辞めたことをとても悔しく残念に思っていることを、十分知っています。ですので、体調が良くなってきた私が社会復帰に向けて一歩踏み出すことを、とても喜んでくれます。そのときも毎回、気持ち良く私を送り出してくれました。

 「今、ジャーナリズムを考える」は、大学のメディア社会学科の教授を中心に、元新聞記者やジャーナリストらが講座を受け持っていました。どれも濃い内容でしたが、一番良かったのが、戦争を長く取材してきたジャーナリストによる講座でした。

 テーマは、「ロシア政治の闇」でした。とても迫力のある、興味深い内容でした。講座が終わった後は、参加者から質問が相次ぎました。私も、質問しました。その数日前にニュースになった北方領土に関するプーチン大統領の発言についてどう考えるか、という質問でした。

 講座が終わった後も、ジャーナリストを囲んで、参加者が意見交換しました。次の講座があるため、講義室を開けなければならず、「皆さん、もしよろしければ、続きを構内のカフェでしませんか?」と彼が呼び掛けました。その呼び掛けに、「ぜひ、お願いします!」と手を挙げたのが、私と若い女性の2人でした。

 カフェで、コーヒーを飲みながら話は盛り上がりました。彼は元新聞記者だったころから、親近感もわきました。私ともう1人の女性が自己紹介をしました。私は元新聞記者であること、厚生労働省担当だったこと、がんや自己免疫疾患などを患いその闘病記を出版社のノンフィクション賞に応募して最終候補に残ったことなどを話しました。私は、次の「がんと日本人」の講座があったため、彼のメールアドレスを聞いて、途中で退席しました。

 帰宅後、お礼のメールを送ったところ、すぐ返信が来ました。「新しいニュースサイトを開設予定です。ご興味があれば、デモサイトをのぞいてみてください」という内容でした。そして、何度かのメールのやり取りの後、「医療記事を書ける人をちょうど探していたところです。ニュースサイトの代表も交えて、ぜひお会いしましょう」との誘いを受けました。3人で会いました。代表は、民放テレビで解説委員をしているジャーナリストでした。

 ニュースサイトの概要を聞いた後、「医療記事を1本書いてください。2000字、写真付きで」と頼まれました。もちろん、「ぜひ、書かせてください」と即答しました。取材など、10年以上もしていませんので、自信はありませんでした。が、書く機会を逃すわけにはいきませんでした。

 会合の帰り、紹介をしてくれたジャーナリストに「2000字はどれくらいの長さですか?」という初歩的な質問をしました。新聞記事は「●行」と数えるため、「●字」と言われても大まかな長さが分からなかったのです。その後も、メールで「取材のため名刺を作ります。肩書きはどうしたらよいでしょう?」という間の抜けた相談までしました。彼は、いつでも迅速に、丁寧に、誠実に答えてくれました。

 書くテーマは迷いました。新聞や雑誌・書籍で医療関係のニュースは追っていたつもりですが、ブランクが長過ぎて、何をテーマにしてもしっかりとした記事を書ける自信がなかったのです。夫に相談しました。夫はネットで海外ニュースを日々読んでいます。英米を中心にローマ法王やトランプ米大統領までコメントを出すほど大きな話題になっているニュースはどうだろうか?と提案してくれました。新聞のデータベースで調べると、日本ではほとんど記事になっていませんでした。人工呼吸器をつけて生きている、進行性の難病を患う乳児の話です。

 テーマをそれに決めました。インターネットで英米の新聞・雑誌記事を探してプリントアウトして読み込み、英国の病院や裁判所、大学などのサイトを調べて関連資料を探して読み、日本での取材先を探して(困難を伴いました)取材をして、1週間家にこもって記事を書きました。

 家族で他県の保養地でのんびりとする予定でしたが、私は行かずに、家で資料の読み込みと記事執筆に集中しました。夫はそのときも快く、子供たちを連れて行ってくれました。

 そして、ようやく記事が出来上がり、投稿したのは8月2日。その後は、取材すると次のテーマが見つかるーという良い循環の中で、1カ月に1本程度ですが、家事・育児をやり繰りしながら下調べや取材・執筆をして、出稿しています。現在は、少し長めの原稿に取り組んでいる最中です。

 ブランクの長さにも関わらず、ジャーナリズムの世界に再び呼び戻してくれた2人のジャーナリストには感謝の気持ちでいっぱいです。また、全面的に協力してくれる夫にもとても感謝をしています。

 先日、「お茶を一緒にした女性とは連絡を取っているのですか」とジャーナリストに聞いてみました。その女性は熱心に彼に質問し、自分の意見も持っている人でした。彼によると、その女性はあの後会社を辞め、アメリカに留学したそうです。彼女も、あの講座で何かきっかけを掴んだことが、人生の転機となったのかもしれません。

 考えているだけでなく実際に行動することで何かに出会えたり、きっかけがつかめる。その出会いやきっかけを大切にすることで、前に進むことが出来る。今年はそんなことを学んだ1年でした。

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