2017年は、2つの新しいことに挑戦しました。1つは念願のトゥシューズを履いたことです。そうです。あのバレエのトゥシューズです。
私がバレエを始めたのは、49歳のときです。40代にそれまで躊躇して出来なかったことを思い切ってやってみようと挑戦したことの1つでした。気になっていた近所のバレエスタジオの門を叩きました。体験レッスンを申し込むための、教室の主宰者へのメールには「バレエは初めてです。40代です」と書きました。
「今年、50歳になります」なんて、書きませんでした。何せ、「40代に始める」というところに、意味があるのですから。
ちなみに、40代最後の年にした、それまで躊躇して出来なかった、もしくは機会を逸して出来なかったほかの2つは、①コンバースのスニーカーを履く②ダッフルコートを着るーです。いずれも、”若い人”の装いです。これらもハードルが高いと感じていましたが、バレエと同様、「挑戦してみたら、意外と普段の生活にすんなりと馴染む」ものでした。
そのスタジオの主宰者は、かつてイギリスのバレエ団に所属し、後進を育成するために帰国してスタジオを開いたという容姿の美しい30代の女性でした。もちろん、子供のレッスンが主ですが、大人向けのレッスンも行っています。
午前中のレッスンを体験し、さっそく入会を申し込みました。午前9時半から始まるレッスンに参加していたのは主婦やパートタイムで働いている人がほとんど。子供のころにバレエを習っていたという人も幾人もいました。
1年ほど週1回のレッスンをこの時間帯に受けていましたが、途中で夜のレッスンに切り替えました。夜のレッスンにはフルタイムで働いてへとへとの状態のワーキングウーマンが来ます。レッスン中の、「うちの上司、使えなくてさぁ」「最近の若い新入社員は・・・」「今度こそ、部署替えだと思う」などという、話を聞くのが面白い。
私は主婦ですのでこれらの話には参加できませんが、ワーキングウーマンの話を聞くとほっとするのです。夜のレッスンに切り替えた理由は、これです。場に馴染みやすかったのです。
週1回、夫が早く帰って来られるときに子供たちを頼み、午後7時半から8時45分までのレッスンに参加します。スタジオは自転車で数分の場所にありますので、「雨が降ったら、行かない」という”緩い”感じで、3年間続けました。そして、3年を過ぎた今夏、恐る恐る先生に聞いてみました。
「入会して3年経つのですけれど、そろそろトゥシューズを履いてもよろしいでしょうか」、と。
勇気が要りました。何せ、普通のバレエシューズででさえ、きちんと踊れないのですから。ですので、策を練りました。同時期に入会した女性を誘ったのです。彼女も、私より少し若いぐらいの”すっかり大人”の女性です。
「いいですよ。今度、シルビア(バレエ用品を売る店)さんがスタジオにトゥシューズを販売に来てくれるんですよ。そのときにフィッティングしてもらったらどうですか?」
意外にもすんなり「OK」が出ました。でも、側で会話を聞いていた入会2年の女性の、「先生、私も始めていいですか? 私、来年還暦なんです。それまでにトゥシューズ履きたいんです!」という切なる願いは聞き入れられませんでした。先生曰く、「今の状態で履くと怪我をするかもしれない。危ないのでもう少しレッスンに慣れてから」ということでした。
「還暦」という言葉を持ち出して、先生の情に訴えたその女性の度胸には感心しました。私も50代に入りずいぶん図々しくなったと思いますが、上には上がいるものです。
さて、トゥシューズを履いた感触はというと、やはり「痛い」のが一番の感想。でも、うまく立てたときに鏡に映った自分は、少し普段より綺麗に見えるような気がします。首と背筋がすっと伸びていて、足もトゥシューズ分だけ長くなるからです。つま先だけで立つためにお腹に力を入れますので、普段はたるんでいるお腹も一瞬だけ引き締まります。フロアに降りた瞬間、お腹はまた緩みますが。
ぼちぼちと続けているバレエ。数年後には発表会に出られるように、頑張ります。
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