クリスマスの朝、息子の弾んだ声が娘の部屋から聞こえてきました。イブの夜はサンタさんが来るのを待って、娘の部屋で一緒に寝たのです。息子が嬉しそうにサンタさんからのプレゼントを持ってきて、私と夫に見せてくれました。
「サンタさん、来てくれたんだね。良かったね。おねぇねぇにもプレゼントくれたみたい?」
「うん」
娘の部屋をのぞくと、娘は起きていましたが、まだベッドの中。でも、「サンタさんがプレゼントくれたの」と嬉しそうな、そしてほっとしたような表情を浮かべています。
前日は2人ともサンタさんを迎える準備で大忙しでした。娘は1時間以上かけて、サンタさんにイラスト入りの手紙を書きました。
部屋の窓の鍵を開け、サンタさんが入って来やすいように、窓の下に踏み台を置きました。サンタさんにはアップルパイとクッキーと牛乳を、トナカイさんにはニンジンを用意し、机の上に置いておきました。そして、インターネットでサンタさんの居場所をチェックしながら、「いま、太平洋を渡っているよ!もう、寝なきゃ」と興奮しながら2人で一緒にベッドに入り、ようやく10時過ぎに眠りについたのです。
2人が窓の下に置いた踏み台には、ニンジンのかけらがいくつか落ちています。
今年は2人ともサンタさんに手紙を書いたのがクリスマスイブだったため、机の上に置いておきました。私も夫も「サンタさんに送って!」と頼まれましたが、「もう、今から送っても間に合わないよ」と机の上に置いておくように説得したのです。
サンタさんは手紙は読んだらしく、封は切ってありました。が、持ち帰らなかったようで、皿の横に置いたままになっていました。娘のサンタさんへの手紙はとても良く描けていました。「サンタさん、持っていかなくて良かった。素敵に描けているから、額に入れて飾ろうね」と私。
娘はプレゼントの袋を開けた瞬間、歓声を上げました。魔法の杖の使い方説明書と「ハリー・ポッター」の本が入っていたのです。娘は3年前にサンタさんにお願いして魔法の杖をもらったのですが、何度杖を使っても魔法をかけることが出来ず、翌年とその次の年に魔法の杖の使い方説明書をお願いしていたのです。今年、やっと念願がかないました。息子には「フラッシュ」の本でした。
「サンタさん、いるのかなあ?」とイブの夜、少し不安そうに私たちに聞いた娘。
「友達が皆、サンタさんは親なんだ、親がプレゼントを用意してくれるんだって言うんだよね。私はサンタさんはいるって信じているんだけど」
夫が答えました。
「うーん、ティーンエイジャーは微妙な年齢だからなぁ。もう、プレゼントをもらえないかもしれない。ダディもプレゼントをもらえなくなったのは君ぐらいの年だった」
「あら、サンタさんはサンタさんを信じている子供にはプレゼントをくれるらしいわよ」と私。
3人でそんな会話をした翌朝、娘は枕元にプレゼントを発見し、ほっとしたようです。
うちの子どもはまだサンタを信じているかー。これは小学校高学年ぐらいの子どもを持つ多くの親がクリスマス前に考えるテーマではないでしょうか? 私も娘の学校のママ友達と、忘年会で盛り上がりました。
「うちの娘は友達からサンタは親だって言われて、今年はもう信じていないのよ」
「あら、うちには去年からサンタは来ないわよ」
「えっ?そうなの?」
忘年会に参加していたのは12、13歳の子どもを持つ母親5人。その中で、サンタさんの存在を信じていたのは、13歳の私の娘だけでした。娘は「サンタさんは絶対いる」と頑なでした。いいえ、いると信じたかったのだと思います。が、だんだんその気持ちも揺らいでしまい、クリスマスイブの「サンタさん、いるのかなあ?」という弱気な発言になってしまったようです。
さて、サンタさんからプレゼントをもらって喜んだ娘は、さっそく魔法の杖の使い方説明書を読み、杖を使ってみることにしました。まずは、鍵のかかっているドアを開けることにしました。息子が寝室に入りドアを閉めて鍵をかけました。娘がドアの外から魔法をかけます。
「Alohomora!」
「開くかなあ?」
娘がドアノブを回します。
「開いたよ!開いた!」
「すごいねえ」と感心する私。
どうして魔法をかけられたのか分かりませんが、とにかくドアは開きました。魔法が効いたということで、私は娘に聞いてみました。
「ねぇ、ママの顔のシミも魔法で消えるかな?」
「・・・。たぶん、そういう魔法はないと思う」と娘は申し訳なさそうな顔で答えます。が、すぐにこりと笑って「でも、あるかもしれないよ。後から説明書をじっくり読んでみるね」と言ってくれました。
信じる者は救われるーというではありませんか。私もサンタさんの存在と魔法を信じることにしましょう。
0 件のコメント:
コメントを投稿