2026年5月4日月曜日

幸せなひととき

  5月2日午後、軽井沢に来ました。夫はひと足先に車で来ていましたので、私と息子が新幹線で向かいました。

 ゴールデンウイークとあって、東京駅は多くの人でごった返していました。乗車券を買うのも長蛇の列でしたが、幸運なことに自由席に座ることができました。

 新幹線の中での昼食は、私は冷蔵庫の残り物を詰めたお弁当でしたが、息子は毎回楽しみにしている「駅弁」。この日は、いろいろ迷って牛丼を選びました。

 昨日は夫と息子が薪割りをし、私は家の片付け。子どもたちが使ったおもちゃや着た洋服を置いてある屋根裏部屋で、幸せな時間を過ごしました。

 屋根裏部屋にいると、子どもたちが小さなころのことを思い出します。これを使って娘とお買い物ごっこしたなぁ、息子は寝る前にこの小さなフィギュアで戦闘ごっこしていたなぁ、とか。袋の中に入れてあった、義母から娘へのプレゼントだったお人形を取り出し、洋服を着替えさせ、セーターが汚れていたので手洗いをして外に干しました。


屋根裏部屋の「ドールハウス」。右のお人形は義母から娘へのプレゼント

 パズルや絵本を飾ってある小部屋には、娘が作った「Candy Machine」を置きました。この工作を置いたのは、娘が幼稚園児のころ、お絵かきや粘土遊びをしたテーブルです。

 買ったときは4、5千円だっと思いますが、昨年、塗り替えなどで修理に出したら、何と2万円。でも、その価値はあります。こうして、子どもたちが使ったものが、今まさに使っているかのように息を吹き返すのですから。

 この部屋の前には幅2㍍ほどのスペースがあり、三角屋根の中央部分幅50㌢の部分だけ、夫が立つことができます。私はその左右20㌢ぐらいまで立つことができるのですが、傾斜部分はかがんで移動します。

 ですので、屋根裏部屋で過ごすのは私だけ。子どもの物は何もかも捨てられない私のために、屋根裏部屋のリフォームをしてくれた夫に感謝です。

 息子がトイレトレーニングを終えときに残った数枚のおむつ。これも取ってあり、息子に見せると、「ママぁ、おもちゃを取っておいてくれるのは有り難いけど、さすがにこれは…」と苦笑していました。そうだよねえ。でもね、あれも、これも、愛おしくて、捨てられないのよね。



 

2026年5月3日日曜日

今週の1冊_無人島のふたり

  自分で闘病記は書きましたが、他の方の闘病記は読むと辛くなるので読まないことにしています。ですが、先日、尊敬するがんのママさんがフェイスブックで紹介していたので、図書館で借りて読んでみました。

 作家・山本文緒さんの「無人島のふたりー120日以上生きなくちゃ日記」です。山本さんは2021年、膵臓がんのため58歳で亡くなりました。この本では診断1ヶ月後から、亡くなる9日前までの約4ヶ月間の日々をつづっています。

 日記は山本さんの夫が東京のワンルームマンションを引き払うシーンから始まります。山本さんは軽井沢に住んでいて、仕事のときなど東京のマンションを使っていました。「できることなら自分で全部後始末したかったのだが…」と、体調が悪く、ままならない残念な気持ちを正直に書いています。

 日記の中には抗がん剤治療の後に髪が抜けるシーンも描かれています。バサバサと抜けるのでいっそ、と自分で引っ張って抜くのですが、人間の髪は想像しているより多く、全部は抜けない。そうしているうちに、疲れ切ってしまう。あぁ、分かるなぁと、私の経験と重なりました。

 山本さんは余命宣告を受けますが、「もう一度、自分の本が出版されるのが見たい」と力を振り絞って、短編集を作ります。一方で、軽自動車や鞄など、自分が楽しんできたものを手放していきます。でも、本来なら好きなものを買って、好きなことをして過ごしてもいいはずなのに、セールになったパジャマを買ったり、税理士に送る領収書を準備したり、ということをしてしまう自分に苦笑します。それが、読んでいる側には切ない。

 そして、体力が落ちつつある中、医師に「会いたい人に会い、やり残したことをした方がいい」と助言されます。山本さんはそれに対し、「ティーバッグのお茶が普通においしければいい」とつづり、一方で、「別れの言葉って、言っても言っても言い足りない」とも書きます。

 読んでいて辛くなるのですが、読後は重い感情は残りませんでした。山本さんの文章のうまさだと思います。本は「明日また書けましたら、明日」という一文で締められています。なんと、軽やかな終わり方。

 

 

2026年5月2日土曜日

食の探究

  冷蔵庫を開けると、奇妙な形の物体が入っていました。濃いピンク色でところどころに突起があります。


「これ、なあに?気持ち悪いんだけど、、、」

「あっ、それ、ドラゴンフルーツ。ダディに買ってもらった」

「そうなんだ。でも、見ているとなんだかザワザワするから、早く食べてくれる?」

「分かった。もう少ししたら、スムージー作るよ」

 こうして邪険にしてしまったドラゴンフルーツ。息子の手によりスムージーとして生まれ変わると、これが美味しいのなんの。

 濃いピンク色も鮮やかで、見た目も爽やか。息子によると、フローズンマンゴーとキウイを入れたそうで、スムージーの決め手となる酸味もバッチリ👌でした。

 飽くなき食への探究心。いいぞ、息子!

2026年5月1日金曜日

辞令交付式

  今日から、東大での勤務が始まりました。5月1日に勤務をスタートする研究員への辞令交付式があり、61歳の私にもこうして正式に辞令をいただけるのだなぁと胸がいっぱいになりました。

 私の記憶に鮮明に残っている辞令交付式は、新聞社に入社した20代のときのものです。地方勤務を希望していた私は、初任地として「室蘭報道部」を命ぜられ、期待に胸を膨らませ記者生活をスタートさせました。あのときの高揚感とは少し違いますが、静かな喜びに浸ったひとときでした。

 こういう形式的なものを嫌う人もいるかもしれませんが、私にとっては感謝しかありません。50代後半の医療者でもない私に医学系研究科博士課程で学ぶ機会を与えてくれ、還暦を過ぎて博士論文を提出した人間を評価し、博士号を授与し、こうして1年間の期限付きではありますが研究者としての機会を与えれてくれた東大に、心から感謝をしたい。そして、私をずっと支えてくれた家族や友人たちにも、心からありがとうを言いたい。

 仕事を終え帰宅したら、キッチンに真っ赤なバラが置いてありました。ひと足先に軽井沢に向かった夫からでした。カードにはこう記してありました。

 「博士号の取得と研究員としての仕事の開始、心からおめでとう。

 博士課程で何年間も苦しみながらも、辞めずに、たゆまぬ努力で目標を達成した君を

 心から誇りに思う。そして、家族全員が君が成し遂げたことを誇りに思っているよ」

 ありがたいなぁとしみじみとした気持ちになりました。

 これからも、家族を大切にし、そして仕事も一生懸命頑張ります!

2026年4月30日木曜日

ボタン付け

  中2の息子が、リビングにあるソーイングセットを開けて、針に黒い糸を通し始めました。ポロシャツのボタンが取れたので、縫うと言います。


「ママがやってあげようか?」

「大丈夫。自分で出来るから」

 あら、残念。息子は本当に手がかからないんです。先日も、トレーナーの上下を洗ったら、ズボンのほころびを縫ってあるのを発見。「自分で縫ったんだ、やるじゃない」と思う半面、「ママ、縫ってくれる?」なんて頼まれたら、喜んでやってあげるのになぁとも思ってしまいました。

 息子は小学校のころから縫い物が得意でした。4年生のときには学校代表で、タオル掛けを区の展示会に出品したほど。料理もお菓子作りも出来ますので、”家庭科男子”ですね。

 勉強が嫌いな”困ったちゃん”の一面もありますが、生活面での自立は早そうです。でも、なんとなく寂しいものですね。

 

2026年4月29日水曜日

精神科医の資質

  オーストラリアの大学に留学中の娘からフェイスタイムで連絡がありました。昨日の話題は娘がかかっている精神科医のことでした。

「ママ、私、オーストラリアで3人の精神科医にかかったでしょう。3人とも白人のオーストラリア人なんだけど、何というか、深みが足りない感じがするんだよね」

「どういう意味?」

 娘はパニック症、不安症、そして軽度のうつ病という3つの診断が下り、大学内のクリニックで初診時、再診時、そして担当医が不在のときの代診と3人の精神科医にかかりました。その3人について話しています。

「ほら、私、先生みたいに”権威のある人”と接するとドキドキしてうまく話せなくなったり、泣きたくなったりするじゃない? でも、精神科医は、"教員と学生は対等なんだから…”というスタンスなんだよね」

「そうなんだ」

「うん。オーストラリアやアメリカでは若い人も高齢者も対等に話す文化の中で子どもたちは育つでしょう? 逆に日本は、子どもは先生たちの言うことをきくものーみたいな上下関係の中で育つ。子どもの性格が形づくられるとき、そういう違いって結構大きいと思うんだよね。そういう文化の違いみたいのを、分かっていない気がする」

「確かに、そうかもね。ママも医療について海外の論文を読むけど、欧米の研究ばかりだと、偏っているなと思うこともあるよ。父権主義的な背景を持つアジアの研究が入らないと、考察が物足りないなぁと感じたりする」

「あっ、それ分かる。だから、精神科医のアドバイスを聞いていても、『分かっていないなぁ』と思ってしまうこともあるんだよね」

「おおっ、なかなか鋭いね」

「うん。だからといって薬をやめるわけでもないんだけどね」

 海外に出たことで、娘は初めて、日本人の特性について深く考えるようになったようです。その特性は日本で生まれ育った娘の中にしっかりと根付いていて、時にプラスに、時にマイナスに作用するようです。

 異なる文化の中で戸惑いながらも、自分の感じた違和感に目をつぶらず、しっかりと考える娘。成長しているなぁと頼もしく思ったのでした。


2026年4月28日火曜日

マカロン

  中2の息子がマカロンを作りました。とても良く出来たのですが、本人は不満足なようで、クリームを入れて完成させることは断念しました。

「綺麗に焼いてあるし、とっても美味しいけど、なんでダメなの?」

「前、1個買って食べたことがあるんだ。それと全然違う。ベタベタしている。前食べたのはもっとサクッとしていた」とのこと。でも、友人たちには食べてもらうといい、翌日、学校に持っていきました。

 洋菓子屋さんに行って、お小遣いで1個だけ買って食べたなんて、息子も可愛いことをするなぁと思いました。私はケーキ屋さんではショートケーキなど普通のケーキを買うので、マカロンは買ったことがありません。ですので、息子に言われて初めて、息子に食べさせたことがないのだーと気づきました。

 昨日、早速ケーキ屋さんに寄り、フランボワーズ味とピスタチオ味を一つずつ買って帰りました。息子と一緒に、一口ずつ食べました。「やっぱり、さくっとしているね」と私。「うん。それに表面がベタベタしていない」とうなずく息子。

 息子はまた、マカロン作りに挑戦するそうです。きっと次は成功するはず。楽しみです。