2021年5月26日水曜日

久しぶりに心が晴れた朝

  ずっと気持ちが晴れない日々が続いていました。友達と会っておしゃべりしたくても、コロナ感染の心配があって会えない。カフェでワインを飲んで気分転換することも、緊急事態宣言下お店はアルコールを提供していませんので出来ません。人との交流や、カフェで飲む1杯のワインで元気が出る人間は、こういう状態はなかなかに辛い。コロナ禍、私のような気持ちになっている人は少なくないだろうと想像します。

 今朝もいつもと同様スッキリとしない気分で起きました。それでも元気を出して、寝起きの悪い娘を起こし、息子に中学受験用の勉強をさせ、朝食用のスープを作りました。子どもたちに朝食を食べさせ、息子と夫、私の3人で家を出るというまさにそのときに、息子が「ママ、この前の土曜日の写真をプリントアウトしてほしいんだけど」と言います。

 土曜日の写真とは、息子と夫が地元を流れる川の川べりをサイクリングしたときのものです。さっそく夫が私の携帯電話に写真を送ってくれ、携帯からプリンターに画像を送りプリントしましたが、写真の半分だけプリントされて出てきました。川をバッグに自撮りした夫だけが写り、右側にいる息子がプリントされていませんでした。

 息子は「今日の『総合』の時間に使うんだ。今、多摩川について調べていて、写真とかがあったら持ってきてって先生が言ったんだ」と言います。時計をチラリと見ると、8時を過ぎていました。すでにパソコンをバッグに入れていましたが、「パソコンからだったら、プリントアウトできると思う。もう5分待って」と息子に言い、パソコンを取り出して立ち上げました。携帯の画像をパソコンで見られる自分のメールアドレスに送り、それを開いてプリントアウトの指示をプリンターに出しました。

 が、前回のプリントアウトが”未処理”となっているため、次のプリントアウトが何度やっても出来ません。未処理状態のプリントアウトの指示を解除しましたが、”未処理”が出続けます。これはおそらく、メーカーに電話して解除の方法を教えてもらうという手続きが必要な状態だろうと判断しました。息子に言いました。

「プリンター壊れちゃったから、プリントアウトできないの。ごめんね。多摩川の写真が欲しいんだよね。そのダディだけ写った写真を持っていったら?」

「もう、いい。大丈夫」と息子は悲しそうに言いました。

 時計を見ると8時10分です。学校に遅れそうです。夫が言いました。「ママの自転車で送ってもらったら?」「そうするね」と言い、息子を後ろのシートに乗せて私は自転車をこぎました。本来は駄目なのですが、周りには登校中の子どもがいないので、とにかく学校の近くまで行き、そこで息子を降ろそうと思いました。後ろの息子に言いました。

「昨日言ってくれたら、出来たのに」

「ママ、もう寝ていたんだもん」

「じゃあ、今朝は?早くに起きたじゃない?」

「だって、ママが勉強しなさいって言ったから」

「でも、勉強している間にママプリントアウトできたよ。それに、人のせいにするのは良くないよ」

「もう、いいんだ」。息子の声は沈んでいます。

 ランドセルを背負って歩く子どもが見えましたので、息子を降ろしました。息子はそこから全速力で走ります。私も息子の横で自転車をこぎます。そして、学校に向かう交差点で息子は「じゃあ、行ってきます」と言って行ってしまいました。普段なら小学校の門の前まで送りますが、私も今朝はそういう気分になれなくて、交差点で「いってらっしゃい」と息子を送りました。

 そのまま最寄りのカフェ(時折、朝そこで勉強します)に行こうと思いましたが、自転車の向きを変えて、自宅に戻りました。息子は今日その写真が必要なんだ、それを準備してあげるのが母親としての私の役目だと思ったからです。

 少し時間がかかりましたが、プリントアウトできました。最初はLサイズにしていましたが、皆の前で見せられるようにA4サイズにプリントアウトしました。

 自転車用のヘルメットを被った写真の中の息子は嬉しそうでした。私と一緒の自撮り写真では見せない、誇らしげな顔で写っていました。もしかしたら、息子は後ろに写っている多摩川ではなくて、ダディとヘルメットを被って一緒にサイクリングした様子をクラスメートに見せたかったのかもしれないと思いました。

 少し寂しい気持ちになりましたが、交差点で思い直して自転車を反対方向に向け、自宅に戻りプリンターを直して、息子が欲しがった写真をプリントし、それをクリアファイルに入れて学校に持って行く自分をちょっぴり誇らしく思いました。

 学校に行くと、ちょうど朝会の最中でした。私に気付いた先生が息子を呼んでくれました。照れくさそうな息子に写真の入ったファイルを渡しました。「お母さんにありがとうでしょ」と先生が言います。「ありがとう」。息子が小さな声で私に言いました。

 3階にある4年2組の教室から、廊下を歩き階段を下りて一階に行きました。玄関に向かう途中にある図書室が目に入りました。明日は月に1度の子どもたちへの絵本の読み聞かせの日です。もう読む本は決めてありますが、来月のため(来月は息子のいる4年2組です!)に本を借りて行こうと思い立ちました。お母さんたちが活動する読み聞かせのサークルの会員ならば、学校の図書館の本が借りられるのです。

 そこで「話題の図書」に手を伸ばしてみました。良い本がたくさんありました。出版社やカテゴリーごとに並べられている書店とは違い、司書さんが選りすぐった本です。2冊を借りました。

 その足で、近くのパン屋さんに行きました。今朝は自分用だった最後の1枚のレーズンパンを焦がしてしまい、朝食はとっていません。トーストと紅茶のセットをオーダーしました。席につき、トーストをほおばりながら、本を読みました。心がほっこりと温かくなる物語でした。あとがきに書かれた著者の話も素敵でした。

学校から借りた本とパン屋さんで注文した朝食

 目覚めたときは鬱々とした気分でしたが、ちょっとした思い付きや判断に沿って行動してみると、気持ちがすっきりと晴れやかになりました。人生は実はこうした何気ない日常の積み重ねなんだ。自分の気持ちも、ちょっとしたことで立て直すことが出来るんだと気付いた朝でした。


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