2019年3月30日土曜日

授業参観、息子が発表したのは、、、

 息子が通う地元の公立小学校で3月9日(土)、「学校公開」がありました。いわゆる、授業参観です。そこで、小学校1年生の息子たちが披露してくれたのは、「僕(私)が1年間で成長したと思うこと」でした。

 担任の先生には「学校公開の日までお父さん、お母さんには内緒ね」と言われていたらしく、息子からはそのような発表があることすら聞かされておらず、「生活科の授業がある」とだけは聞いていました。

 出席番号順に行われた発表では、「縄跳びの連続跳びが出来るようになった」「字がきれいに書けるようになった」「漢字を書けるようになった」など、1年生らしい発表が続きます。見ている親にとってはやはり、「子どもらしい発表」が一番心穏やかに参観できるようです。

 子どもたちの発表の合間にお母さん、お父さんたちの表情を見ると、「縄跳び」を披露している子どもの親の表情は楽しそうです。息子や娘ができても、できなくても、親にとっては「ああ、良かった」と安心できる発表なのではないでしょうか? 縄跳びを発表していた生徒は、クラスの4分の1はいたような気がします。

 子どもたちの発表を見ていて思い出されたのは、1年生になったばかりの1学期の発表です。そのときのテーマは、「自分にとって大切なもの」。「家族」「ぬいぐるみ」「おもちゃ」など誰もが思い付くようなものについて発表した子どもたちの中で、とても印象的だったのは、「お金」と言った女の子の発表です。「お金があれば、好きなものが買える。だから、私にとって一番大切なのはお金です」といった発表だったと記憶しています。それを見ていた母親の頬は赤く染まり、発表の最後には引きつったような表情になってしまいました。

 その子が今回、「自分が一番成長したと思うことは、一輪車が出来るようになったことです」と子どもらしい発表しました。私は思わず、そのお母さんの顔を見ました。そのお母さんの表情はとても嬉しそうで、私は自分の子どものことのように安堵したのでした。

 さて、出席番号23番の息子の番がやってきました。息子が発表したのは、なんと「計算カード」です。36枚の計算カードを1枚1枚めくりながら答えを言い、終了する時間を測るのです。挑戦したのは足し算より少し難しい、引き算でした。

 まずは、発表です。息子は黒板の前に立って言います。
「ぼくがこの1年間で出来るようになったのは、計算です。幼稚園のころは出来なかったけど、お母さんが毎日1時間ぐらい練習すると出来るよ!とアドバイスしてくれたので、頑張ったら早くできるようになりました」

 「1時間」という息子の言葉に、お母さんお父さんの視線が一気に私に集まりました。仰天した私は「そんなこと、ありませんよ」と手を顔の前で大きく振りました。担任の先生もにこにこ笑って、こちらを見ます。

 先生が息子に聞きます。
「目標の時間は?」
「1分以内です」
と息子。

そして、スクリーンに映し出されたストップウオッチのボタンが押されます。

「11ひく2は、9」
「13ひく9は、4」
「16ひく8は、8」
・・・。

 息子は必死に暗算をしていきます。クラスメートがかたずを飲んで息子を見守っています。
そして、最後の1問を終えた息子。先生のストップウオッチのボタンが押されました。
出来映えは、2分4秒。

 目標の時間には及びませんでしたが、クラスメートとお父さんお母さんたちの注目が集まる中、
息子は頑張りました。ちなみに、計算カードを発表していたのは息子だけでした。それにしても、なぜ、息子は縄跳びや一輪車ではなく、計算カードにしたのか、謎です。

 息子の後には、「服をたためるようになった」という男子の発表。「服は脱ぐと裏返しになるけど、それをもう一度表に返してたたみます。そうすると、お母さんがお洗濯をするときに楽だし、汚れも良く取れるのです。僕はお母さんの仕事を楽にしてあげたい」。
なんと、気持ちの優しい子でしょう。その子は、皆の前で、とても素早く、そしてきちんと服をたたんで見せてくれたのでした。

 さて、発表終了後、教室を出ると何人ものお母さんが私のところに寄ってきて、「1時間も勉強しているの?」と聞きます。私は「教育ママ」(懐かしい言葉ですね)だと思われたのでは?と恥ずかしくなり、また、大きく手を振って、「そんなことありませんよ」と顔を引きつらせたのでした。1時間なんて、とんでもありません。15分の勉強ですらいやいやするのですから。

  「大げさなのは父親譲り」と、私は夫の顔を思い浮かべながら、お母さんたちにあれこれと言い訳をし、私は心の中で、「あぁ、縄跳びにしてほしかった」と思ったのでした。

2019年3月24日日曜日

娘の優しさ

 夕ご飯の後、2階にある小さな”仕事場”でパソコン作業をしていると、娘が「ママ~」と言いながら階段を上がってきました。

 「これ、どうぞ」
そう言って、テーブルの上に置いてくれたのはお盆の上に載ったポップコーンと紅茶と小さなメモ。紅茶は数年前に子どもたちが母の日にくれた「Special Mum」というロゴが入ったマグカップに入っていて、ちゃんとコースターの上に載っています。


 メモには「まま、仕事がんばってね」とかわいらしいハートマークをたくさん付けてくれました。娘はこのようなさりげない優しさを示せる子なのです。
 
 息子と娘は一階のダイニングで、パソコンで映画を観ていました。ポップコーンの袋を開けたときに、「ママにも」と思ってくれたのでしょう。心がほんわかと温かくなりました。

 数日後。学校から帰宅した娘に「かりんとう買ってきたよ。おやつに食べてね」(近所のはちみつ屋さんで売っている娘の大好物)と言い、また2階に上がって作業をしていると、「ママ~」と言いながら、階段を上がってきました。

 テーブルに置いてくれたお盆の上には、かりんとうと紅茶とお花と小さなメモ。

「ママ、お花は拾ってきたんだからね。最近、暖かくなってきたから、いろんなお花が落ちているの」

我が家は住宅街にあり、玄関前の道路は地元の小中学校へ向かう通学路です。長くて真っすぐな道路の両側には住宅がひしめき合うように建っており、各家の敷地から出た木々からたくさんの花が道路に落ちるのです。

娘は地元の小学校に通っていたとき、いつも帰宅途中に道に落ちている綺麗な花を手の平いっぱいに載せて帰り、私にプレゼントしてくれました。「他の人のおうちに咲いているお花は摘んでは駄目よ」という言い付けをしっかりと守ってくれて、花びらの一部が茶色になっていて、でも、まだまだ綺麗な花を選んで持ち帰ってくれました。

中2になった今もその言い付けを守り、そして、母親に花を拾ってくれるという優しさを持ち続けてくれる娘。温かい紅茶を入れてくれる娘。私は、ほっこりとした気分に浸りながら、かりんとうをほおばり、紅茶をすすったのでした。

2019年3月18日月曜日

近所の本屋さんに並んだ!

  近所の本屋さんに注文した本を取りに行った10日、ついでに書棚を眺めていると、なんと私の本が並んでいました。それも本棚の真ん中に、表紙をこちらに向けた形で置かれていました。
 

 この本屋さんに、”営業”に行ったのは3日前の7日。私とほぼ同時期に”ひとり出版社(他に社員を雇わず、ひとりで本を作り、出版する出版社)”を立ち上げ、1冊目の本を出版した女性と前日お茶を飲み、お互いに作った本を近所の本屋さんに注文しようと話していたのです。

 そして行った、最寄り駅のビルの2階にある「くまざわ書店」。「ここは勇気を振り絞って、営業をしよう!」と心を決めて、本を並べている女性に聞きました。

「わたし、まりん書房の村上と申します。本の仕入れ担当者の方はいらっしゃいますか?」
生まれて初めての営業。緊張します。
「はい」とにこやかに答えてくれた女性が、後ろの男性に声を掛けました。

その男性は30代くらいでしょうか? ニコリともせずに、私を見ました。私はドキドキしながら、名刺とチラシを差し出し、言いました。

「まりん書房の村上と申します」
「はぁ」
その男性は私の名刺を受け取り、チラリと見て、シャツのポケットに入れました。
「この近所で、出版社を始めました。これが最初の本です。よろしければ、置いていただけませんでしょうか?」
「はぁ、検討してみます」
とだけ言い、その男性は私に名刺をくれることもなく、レジの方に行ってしまいました。

 先日、ひとり出版社の若手経営者4人と「オンライン・ミーティング」(初体験でした。こんなことができるんですね)で話していたとき。
「書店に営業に行っても、歓迎されないこと多いよね」
「店員さんは忙しいからね」
「つれない対応されると、辛いよね」
そんな話を聞いたばかりでしたので、「やっぱり」という気持ちで、私は本を注文しにレジに向かいました。

 その店にはレジは2つあり、その1つの前で男性が立っていました。列に並んで待つと、私の順番が来て、その人のレジになりました。本を注文しようとした私の顔を見上げたその男性は、「あっ、これ名刺です」とぼそっとした声で話し、カウンター越しに私に名刺をくれたのです。

 その人は、私が名刺を差し出したときに、たまたま名刺を持ち合わせていなかったのですね。私が挨拶したときは、「あっ、今、名刺持っていないので、ちょっと待ってください。持ってきますから・・・」などという対応をするでもなく、たまたま、私がカウンターに来たから、名刺を渡してくれたのでしょう。でも、なんかとても嬉しかった。名刺を見ると、店長さんでした。

 さて、3日後の7日午前10時過ぎ。その本屋さんから電話がありました。女性店員からの電話で、注文した本が届いたとのこと。店長さんからの「本を仕入れましたよ」という電話かな、と少し期待しましたが、違いました。

 午後、お店に行きました。そして、書棚を見ると、なんと河野恵子さんの本の横に私の本が。
店長さんはレジに立っていました。私は側に駆け寄り、お礼を言いました。
「ありがとうございます!こんな良い場所に置いてくださって嬉しいです」
「いえいえ」
その店長さんは少し照れたような表情で答えてくれました。

 私はほんわかとした気分で注文した本を買い、その後スマホでパチリと書棚の写真を取り、帰路に着いたのでした。

 

2019年3月14日木曜日

本、ようやくアマゾンに入荷

 いつも「アラフィフママの育児日記」をご愛読くださり、ありがとうございます。今日はいつもとは違うスタイルで、読者の皆様にご連絡です。

 拙著「がんと生き、母になる 死産を受け止めて」がようやくアマゾンに入荷しました。予約をいただいていた方には本日発送になったようです。このブログを読んでくださった方で、早々にご注文をいただいた方、本当に申し訳ございませんでした。もう少しお待ちください。

 もしかしたら、「在庫なし」「取り扱いなし」のメッセージがアマゾンから届いた方もいらっしゃったのではないでしょうか?

 在庫は版元にたくさんあるのに、流通の問題で、アマゾンに「取り扱いなし」「在庫なし」の表示がなされることを、最近知りました。これは小さな出版社の経営者が皆、頭を抱えている問題らしく、私も連日アマゾンの「在庫なし」にじりじりとし、それが昨日いきなり「取り扱いなし」に切り替わったときは仰天しました。

 うちのような零細出版社は、本を書店に届ける「取次」をどうするのか、は大きな問題です。「リアル書店」への販路は何とか確保できていますが、「ネット書店」への販路がややこしく、「新人」の私は、まだ、十分その仕組みを理解できていないのが現状です。読者の皆様にご迷惑をおかけしています。 

 もし、この本に興味を持ってくださる読者の方がいらっしゃいましたら、最寄りの書店さんにご注文していただくか、もう一度アマゾンをのぞいてみてくださいますか?14日現在、12冊の在庫があります。

  本の内容は https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784991057809
 で読めます。

 もし、アマゾンで注文されたい場合で、再び在庫切れになってしまった場合は、おそらく補充に日数がかかると思われますので、info@marinbooks.co.jp
にご一報ください。在庫の補充は版元の思うように行かないところが、ネット書店の難しさなのです。

 てんやわんやの毎日で、しばらくブログも更新できていませんが、もうすぐ再開します。
 皆さまにもう一つ、大きな報告もあります。もう少しお待ちくださいませ。
 

2019年3月1日金曜日

本が出来た!

 本が出来ました。12年かけてまとめた本です。タイトルは「がんと生き、母になる 死産を受け止めて」。自分が伝えたいことを本にして、読者の方のお手元に責任を持って届けようと立ち上げた「ひとり出版社」もゆっくりとした歩みではありますが、動き出しました。

 父の命日3月24日(今年は7回忌です)を初版の発行日にしたこの本は順調に印刷が進み、3月1日の今日、搬入となりました。

 書店への取次を代行してくれる会社を通じて、1カ月ほど前、全国1600店の書店に本の内容を書いたチラシをファクスしました。数日後、図書館に本を納める会社の仕入れ担当者の方から、電話をいただきました。

「300冊注文します。この本はがんを患う若い女性の方々の励みになる本だと思います。追加注文をする可能性があります。在庫はありますか?」

 多くの人に読んでいただくため、ぜひ置いてほしいと願った図書館。そこに納入する会社から電話をいただき、飛び上がらんばかりに喜びました。

 今日、その担当者の方に届いたばかりの本を1冊、ご挨拶かたがた届けました。そして、夫と娘、まだ小1の息子にもプレゼントしました。
「読めないけど、ありがとう」と夫。そして、本をパラパラとめくり、天国の息子の母子手帳の写真と、空っぽのベビーベッドの写真を見て、涙をこぼしました。

 娘も「ママ、ありがとう」とハグをしてくれました。夫と私のやり取りを聞いていた息子は「おねぇねぇは読めるよね」と聞きます。インターナショナルスクールに通う娘は「読めないよ。漢字あり過ぎだもん。でも、ママ、机に大切に飾っておくね」と自分の部屋に持っていきました。この本は娘のために書いた本です。肝心の娘が読めないなんて、、、。でも、人生はこんなものなのでしょう。大切なのは、娘に残すために、書き切り、本という形にしたということ。娘が大人になり、読みたいと思ったときは、辞書を引き引き、読んでくれると期待しましょう。

 私は息子に言います。「ママが一生懸命書いたのに、家族が誰も読めなくて残念だなあ」。「ダディもおねぇねぇも読めないのは寂しいから、この本を読めるように日本語を頑張ってね」とプレッシャーをかけます。「うん!」 まだ、プレッシャーが重荷にならない息子は、嬉しそうに本を自分の部屋に持っていきました。

 父の遺影には本が届いてすぐ報告し、本を父の前に置きました。私の健康を何よりも心配する母には、春休みに帰省したときにさりげなく伝えようと考えています。

  アマゾンや楽天などネット書店でも注文を受け付け始めました。このブログを読んでくださっている方。ご興味があれば、ぜひ、読んでみてください。
 
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