2023年5月9日火曜日

だってママだもん

  私は週3回研究室に通い、週1回は大学に講義を受けに行っています。いずれも往復2時間の道のりで、朝は満員電車に揺られていきます。コロナが蔓延していたときは、スカスカだった朝の電車は今では、かつてのように体を電車の中に押し込まないと乗れません。社会はコロナ前の状態に戻りつつあります。

 先日あまりに混み過ぎて電車に入れないでいると、駅員さんが「いいですか、押しますよ!」と私の体を押し込んでくれました。でも、バッグの端が入らず、ドアが完全に閉まらないため、ドアの開閉が続き、焦りました。ぎゅうぎゅうに押し込まれた乗客を溢れさせずに電車の中に押し込んでおく役割を担うドア。その開閉が続くと、体が外に出そうになります。で、頑張ってカバンを引き寄せていると、今度は私の横に立っている女性のカバンの端がドアの外に出てしまったままドアが閉まりました。が、そのときは、もう、感知しなかったらしく、ドアは1センチほど隙間が空いたまま、電車走り出したのでした。

 そういえば、以前学生のカバンに掛けてあったマスコット人形がドアの外に出たのを目撃したことがありました。マスコットとカバンを繋いでいるのは細いストラップ。これもドアが感知しなかったらしく、次の駅まで学生とマスコットはドアで隔てられたまま、だったのでした。

「朝、満員電車に揺られるのがイヤだから」起業した、フリーランスの仕事を選んだという話をよく聞きます。が、私にとって満員電車は「自分は健康なんだ」と実感できる場所。体調が悪いときは、空いた電車に乗っても不安なもの。自分の体を満員電車の中に押し込んで目的地に行けるなんて、健康で元気な証拠です。

 さて、今朝電車を待っているときに、清々しいほど荷物が小さい男性を見かけました。電車で見かけるサラリーマンらのほとんどがビジネスバッグを持っているか、リュックサックを背負っています。女性も大体が大ぶりのバッグを下げています。

 しかし、その男性は片手にスマホを持ち、小ぶりのウエストポーチを背中に斜め掛けしています。いかにも仕事のできるという雰囲気です。IT企業の社員という風貌で、「スッキリとした雰囲気で、いいなぁ」と思いました。 

 私のほうは、お弁当やコーヒーボトルを入れた大ぶりのバッグを肩から下げ、パソコンと資料がぎっしり詰まったビジネスバッグを手に持っています。先日、苦笑しながら娘に「ママのこの荷物の多さ、いかにも仕事の出来ないオバサンという感じだよね」とつぶやいたときの娘の答えを思い出しました。娘はこんなことを言ってくれました。

「ママ、そんなことないよ。価値観なんてぐるりと回るから、また、荷物をたくさん持っている人は仕事の出来る人ってなるんだよ」

 こういう娘の励ましって、本当に胸に沁みます。そういえば、娘は以前、私が落ち込んでいるときにとても素敵な励ましの言葉をくれました。私は悩み事があると、娘に相談するのです。

「あぁ、今回はやっぱり無理かなぁ?」

「大丈夫。ママなら出来るよ。だってママだもん。沢山のこと乗り越えてきたママだもん」

 娘にどれだけ励まされてきたことか。これらの言葉は大切にメモしています。もちろん、スマホの「メモ」にも書いておき、気持ちが塞いだときは、それを見ます。すると、心がふんわりと温かくなるのです。


 

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