2023年5月23日火曜日

プロムの夜

  インターナショナルスクール12年生(日本の高3)の娘の学年末のテストが終了、19日の夜、ダンスパーティ「プロム」が横浜市内の式場で開かれました。

 この日のために、ドレスを昨年末に買っていました。12年生のドレスコードはロングドレスですので、娘はシンデレラのような水色のドレスを選びました。身長183㌢の娘に合うロングドレスをなかなか見つけることが出来ず、かといって、アメリカの物をネットで注文して、取り寄せるのも残念。そんな風に考えて困っていたところ、横浜・元町にあるコンサートやパーティ用のドレスを販売する店で見つけたのです。お直しを何回かお願いし、娘にピッタリのサイズにすることが出来ました。そして、プロムの日を家族で楽しみにしていました。

 娘は「300円ショップ」で買ったという髪飾りとイヤリングを準備していました。前日、ドレスを試着してみると、首元にパールネックレスが必要ということが分かり、さすがに私のパールを貸すことは出来ないので、娘と一緒にデパートへ買い物に行きました。可愛らしい、フェイクパールネックレスを見つけ買いました。

 ダンスパーティの前には、男子から女子へ「一緒にプロムに行こう!」とお誘いがあったようですが、残念ながら娘にはお誘いがありませんでした。私も気にして、「どう、誰かから誘われた?」と聞いてみましたが、「ぜーんぜん!」と言い、気にもしていないようでした。

 娘も娘のお友達たちも誘われなかったらしく、皆、「自分のために」美しく着飾ったよう。

 パーティ会場は、横浜市内にあるおしゃれな結婚式場でした。着替え室でお化粧したり、髪を巻いたりする娘の世話をする私は、まるで新婦の母のような気分でした。準備が終わって、ドレスを着た娘はとても綺麗で、すっかり大人になったなぁと感無量でした。

 会場の中には、親は入れません。娘たちに付き添ってきたお母さんたちと「せっかくだから、見たいですよねぇ」と言い合いながら、子どもたちの後ろ姿を見送り、会場を後にしました。

 さて、6時から始まったパーティは9時半に終わることになっています。娘によると、華やかな女子のグループは市内のホテルの部屋を取って、そのまま泊まることになっていたよう。娘は仲良しのレイちゃんの家に泊まりにいくことになっていました。前日から、アニメをパソコンにダウンロードして、一緒に見るのを楽しみにしていました。

 こうして、皆、お友達の家やホテルに泊まるので、親は迎えに行くなんて野暮はことはしません。でも、行きましたよ、私は。だって、一生に一回の娘のプロム。どんな風に皆、会場から出てくるか、見たいじゃないですか。

 会場の外の椅子に息子と一緒に座って待っていると(こういうとき小6の息子がいると便利です)、ハーフのイケメン男子が、日本人の清楚な女子を連れて出て来ました。2人とも私のことを知っているので、ペコリとあいさつをしていきました。「なっ、なんで、いるの?」という表情でしたが、私はもちろん気にしません。にっこり笑って2人に手を振りました。玄関前には黒塗りのハイヤーが待っていて、2人はそれに乗り込みました。どこか別のおしゃれなお店にでも行ったのでしょうか? それとも、女子を家まで送ったのでしょうか? 気になりますねぇ。

 さて、続いて出てきたのは、ハーフの男子と11年生の女子です。11年生の女子のドレスコードはミニかひざ丈ですので、「そうかぁ、●●君は11年生と付き合っているのね」。ふむふむ。●●君は一人っ子ですので、両親はさぞ来たかっただろうなぁと想像しました。きっとぐっと我慢したのでしょう。

 パーティには自分の彼女や彼を連れてきても良いことになっていて、事前に学校側に連れてくる相手をグーグル・フォームで知らせてあります。で、カップルはテーブルで隣同士に座ることになっています。こういうところはやはり、インターです。

 続いて出てきたのは11年生の男女。そして、娘たちも出てきました。娘は嬉しそうに私と息子に抱き着いてきました。そして、パーティでは誰が誰とスローダンスを踊ったとか、誰がプロムクイーンに選ばれたとか、いろいろと教えてくれました。娘のテーブルに誰がいたのかと聞くと、「私のテーブルはね、あまりパッとしない子たちを集めたという感じだったよ」と苦笑していました。

 人気者の女子たちをうらやんだりせず、その子たちがどれほど素敵だったかを目を輝かせて話し、男子に誘われなかったこともスローダンスを踊れなかったことも残念がることもせず、パッとしない子が集められたテーブルに自分がいることを苦笑いして話すことが出来るー。こういうところが娘の良いところだなぁとしみじみと感じました。娘は、お友達たちと楽しい時間を過ごせたようで、本当に良かった。ドレスもあちこち見に行き、苦労して娘に似合うデザインを探したかいがありました。

 皆、ドレスを着たまま会場を出ていきましたが、娘はさっさとジーンズに着替えました。そして、レイちゃんとマクドナルドに行くんだと言い、機嫌良く街の方へ向かっていきました。その後も、女子のグループや男女のグループが、次々と街に消えていきました。きっと、どこかの店に繰り出したり、お友達の家に泊まって語り合うのでしょう。

 娘からドレスとパンプス、化粧品ポーチが入った大きな袋を預かり、夫の待つ車へ。夫はパーティが始まる前には会場に来ましたが(来た父親は夫ともう1人だけ)、さすがに、パーティ後に行くのは憚られたらしく(行った親は私だけでした)、駐車場に停めた車の中で待っていました。

 自宅へ戻る車の中、娘から聞いた話を夫にしていると、娘から写メールが送られてきました。ビッグマックを頬張る娘とレイちゃんの自撮り写真でした。その写真を見ながら、「今日も、娘が楽しい一日を過ごせて良かった。私も、楽しい気分を味合わせてもらったなぁ」と幸せな気分になったのでした。

2023年5月18日木曜日

家庭科実習

  昨日、小6の息子の家庭科実習を手伝いました。息子たちが作ったのは、お味噌汁。前日先生が準備してくれただし汁を使うという本格的な作り方を習った子どもたちは、それは楽しそうに調理をしていました。

 昨年から始まった家庭科授業。これまでも野菜の茹で方や、ミシン縫いなどの実習をお手伝いしてきました。息子は料理も縫い物も得意で、家庭科の授業では生き生きしているので、息子の様子を見るのを楽しみに、ボランティアの募集があれば手を挙げます。

 昨日、子どもたちはいつものように2人ひと組になってお味噌汁を作りました。息子のクラスの生徒は32人。お手伝いはもう1人のお母さんと2人。そのお母さんと一緒にまずはダイコンと油揚げ、ネギを16個のトレイに分けます。だし汁1人200m 2人分を鍋に入れます。そして、味噌を大さじスプーン1杯分を小皿に取り分けます。そして下準備を終わったころに、子どもたちが家庭科教室に入ってきました。

取り分けた米麹の味噌。その他に麦麹味噌、八丁味噌、白味噌も

 先生が私たちを紹介してくれました。「今日はマイヤー君のお母さんと、●●君のお母さんがお手伝いしてくれます」。息子が私に向かって小さく手を振ってくれました。高学年になると、お母さんが学校に来るのを嫌がる男子もいるようですが、息子はまだ私が授業参観やお手伝いで学校に行くのを喜んでくれるのもう嬉しい。

 子どもたちは包丁でダイコンを「いちょう切り」か「短冊切り」にし、ネギを「小口切り」に、油揚げを「細切り」にします。もう一人のお母さんと「切り方も習うなんて、ありがたいね」と言い合いながら、子どもたちに「ダイコン、もう少し薄く切らないと煮えないよ」と”指導”して回ります。

 普通の教科の授業参観では全く発言せず、存在感がない息子。その息子の様子を見に行くと、ちょうど手際良く野菜を切っているところでした。隣の女子に「マイヤー君、上手だね」と言われ、「僕、いつも家で料理しているんで」とちょっぴり自慢げに答えていたのが、親の私としてはとても嬉しかった。

 これからは「料理男子」の時代。「息子よ、その調子で頑張れ!」と心の中で応援したのでした。

 

2023年5月9日火曜日

だってママだもん

  私は週3回研究室に通い、週1回は大学に講義を受けに行っています。いずれも往復2時間の道のりで、朝は満員電車に揺られていきます。コロナが蔓延していたときは、スカスカだった朝の電車は今では、かつてのように体を電車の中に押し込まないと乗れません。社会はコロナ前の状態に戻りつつあります。

 先日あまりに混み過ぎて電車に入れないでいると、駅員さんが「いいですか、押しますよ!」と私の体を押し込んでくれました。でも、バッグの端が入らず、ドアが完全に閉まらないため、ドアの開閉が続き、焦りました。ぎゅうぎゅうに押し込まれた乗客を溢れさせずに電車の中に押し込んでおく役割を担うドア。その開閉が続くと、体が外に出そうになります。で、頑張ってカバンを引き寄せていると、今度は私の横に立っている女性のカバンの端がドアの外に出てしまったままドアが閉まりました。が、そのときは、もう、感知しなかったらしく、ドアは1センチほど隙間が空いたまま、電車走り出したのでした。

 そういえば、以前学生のカバンに掛けてあったマスコット人形がドアの外に出たのを目撃したことがありました。マスコットとカバンを繋いでいるのは細いストラップ。これもドアが感知しなかったらしく、次の駅まで学生とマスコットはドアで隔てられたまま、だったのでした。

「朝、満員電車に揺られるのがイヤだから」起業した、フリーランスの仕事を選んだという話をよく聞きます。が、私にとって満員電車は「自分は健康なんだ」と実感できる場所。体調が悪いときは、空いた電車に乗っても不安なもの。自分の体を満員電車の中に押し込んで目的地に行けるなんて、健康で元気な証拠です。

 さて、今朝電車を待っているときに、清々しいほど荷物が小さい男性を見かけました。電車で見かけるサラリーマンらのほとんどがビジネスバッグを持っているか、リュックサックを背負っています。女性も大体が大ぶりのバッグを下げています。

 しかし、その男性は片手にスマホを持ち、小ぶりのウエストポーチを背中に斜め掛けしています。いかにも仕事のできるという雰囲気です。IT企業の社員という風貌で、「スッキリとした雰囲気で、いいなぁ」と思いました。 

 私のほうは、お弁当やコーヒーボトルを入れた大ぶりのバッグを肩から下げ、パソコンと資料がぎっしり詰まったビジネスバッグを手に持っています。先日、苦笑しながら娘に「ママのこの荷物の多さ、いかにも仕事の出来ないオバサンという感じだよね」とつぶやいたときの娘の答えを思い出しました。娘はこんなことを言ってくれました。

「ママ、そんなことないよ。価値観なんてぐるりと回るから、また、荷物をたくさん持っている人は仕事の出来る人ってなるんだよ」

 こういう娘の励ましって、本当に胸に沁みます。そういえば、娘は以前、私が落ち込んでいるときにとても素敵な励ましの言葉をくれました。私は悩み事があると、娘に相談するのです。

「あぁ、今回はやっぱり無理かなぁ?」

「大丈夫。ママなら出来るよ。だってママだもん。沢山のこと乗り越えてきたママだもん」

 娘にどれだけ励まされてきたことか。これらの言葉は大切にメモしています。もちろん、スマホの「メモ」にも書いておき、気持ちが塞いだときは、それを見ます。すると、心がふんわりと温かくなるのです。


 

2023年5月4日木曜日

夫がいない日は

  夫が先週、12日間のアメリカ出張から戻ってきました。夫がいない間は、夫が好まないため作らなかった料理を子どもたちに作りました。とても嬉しかったのは、子どもたちがオムライスを好きになってくれたことです。

 日本人の母としては、普通、日本の子どもたちが好きであろうオムライスや太巻きを我が子どもたちが好まないことをとても残念に思っていました。これらの料理は特別感もあり、子どもの日などイベントがあるときに作りたいもの。でも、子どもたちが好まないので、ラザニアやミートパイなど、”あちら”の料理を作り続けてきました。

 夫が好まない料理は子どもたちも「美味しくない」と思うようで、本当に不思議です。そして、悔しいことに、夫が好むようになると子どもたちも食べるのです。たとえば、夫が同僚と行った居酒屋で食べたお茶漬けが美味しかったと言い、お茶漬けを食べるようになると、子どもたちも大好きになりました。和風パスタも同様。たらこパスタだけは夫が食べるので、子どもたちも大好物です。

 今回作った夕食のメニューは、焼きそば、オムライス、天ぷら蕎麦など。夫は「太る」のが理由で焼きそばは好みませんし、焼きそばに入れる豚バラ肉も「脂身が多い」という理由で敬遠。ケチャップご飯は嫌いですし、蕎麦はつゆなしで食べます。

 蕎麦の食べ方には、音を立ててすするのが良い、いやいや、食事のマナーとしては音を立てずにすするほうが良いなどという意見のやり取りもありますが、そもそもそこで議論されている蕎麦は麺とつゆがセット。つゆなしで食べるなんて、蕎麦を食べていることにもなりませんので論外でしょう。

 今回、夫が旅立った初日は脂の乗った豚バラ肉をたっぷり入れて「マルちゃん焼きそば」を作りました。豚バラ肉を最後に買ったのは何年前か分からないほどでしたが、今回、張り切って買ってきました。子どもたちからは「ママ、このお肉美味しいね」と大評判。「これは豚バラ肉と言って、じいじが大好きだったお肉なの」と子どもたちに説明しました。母が作った豚バラ肉の料理を「美味しい」と食べていた父を懐かしく思い出しました。

 翌日はオムライス。鶏肉と玉ねぎを炒めてご飯を加えて、ケチャップをたっぷり入れて炒めました。そして、薄焼き卵でくるみ、その上にさらにケチャップでハートマークを付けました。これまで敬遠してきた娘は、「ママ、私、オムライス大好きになった。また、今度作って!」。そうでしょう、そうでしょう。

 3日目はマイタケとカボチャの天ぷらを揚げて、蕎麦とつゆをセットで食卓に載せました。子どもたちの「美味しい!」という言葉と、蕎麦をすする音が何とも言えず、嬉しかったのです。

子どもたちと食べた天ぷら蕎麦